良い実習日誌のためには見学時のポジション取りが大切!|歯科衛生士学生 学校生活の極意【実習日誌(実習簿)編#2】

これまでたくさんの学生を指導してきた太陽歯科衛生士専門学校の山田美穂先生が、歯科衛生士学生の皆さんが感じている悩みや不安にお答えします。


実習日誌(実習簿)編#1 実習日誌って何のために書くの?
実習日誌(実習簿)編#2 良い実習日誌のためには見学時のポジション取りが大切!(こちらの記事)


良い実習日誌のためには見学時のポジション取りが大切!

2回目の今回は、実習中に考えて欲しいポイントについてお話したいと思います。
日誌には、見学したことや実践したことを記録しますよね?
例えば治療のアシスタント業務につけば、治療を『特等席』で見ることができ、後から記録がしやすいでしょう。ではそれ以外のとき…あなたはどうしていますか?

「見学」とはなんでしょう?

「見学」みなさんはこの言葉について、どう捉えていますか?
言葉の意味を検索してみると

  • 実際を見て、それに関する知識を得ること。
  •  体調などの都合で、体育実技などを実際に行わないで、見て学ぶこと。

などと説明されています。
『見て、学ぶ』言葉では簡単ですが、さてみなさんはコレ…できていますか?

ただ「見ているだけ」では学びにならない

みなさんの見学は、本当の意味での『見学』になっているでしょうか。
「見ていれば、学びになる」そんな楽チンな学びは、残念ながら存在しません。
「見るべきものを見なければ、学びにならない」のです。

『え?…何を?』

と思ったあなた! それ! そこなんです!!
ただ診療に視線を向けている(眺めている)だけでは【学び】は降ってきません。
「何を見るか」が決まっていないと、そこに【学び】は生まれないのです。

どんな見学の仕方があるだろう?

「何を見るか」と言われてみなさんの頭にはどんなバリエーションが浮かびましたか?

『何見るって、処置見るしかないじゃん』
まぁ、そうですよね。

『見学って見てるだけで退屈なんだよね』

なんて方もいますかね?

でも…『何が見えていますか?』

例えばう蝕治療の見学に入るとしましょう。
あなたにとって吸収すべきことはなんですか?

スムーズにアシスタントをこなすタイミングですか?
先生の理想通りにセメントを練り上げることですか?
バキュームを置く位置ですか?
歯科衛生士が患者さんのどこを見ながら声がけをしているかですか?

どうでしょうか。今あげた4つの項目だけ考えても、見るべき先も対象までの距離も違うと思いませんか?
そして、これらは無意識に吸収できることでしょうか?

歯科衛生士のメインテナンスを見学するとしたら?

歯科衛生士と患者さんのコミュニケーションを見る?
リスクアセスメントの内容を見る?
メインテナンスで使用する、超音波スケーラーのチップの選び方や当て方を見る?

もうわかりましたね。
前回も書きましたが、大切なのは【目的】です。
目的が決まれば、見学時の距離が変わります。
目的が決まれば、耳を傾けるべき内容が変わります。
同じ処置の見学であっても、目的が変われば眼を向ける方向が変わり退屈することなんて絶対ないはずなんです。

「私の実習先は、見学ばかりで何もさせてくれない。」という声を学生さんから聞くことがあります。
医院にとって、最優先すべきは患者さんです。遠くからボーっと眺めているだけの実習生に「よし!次は任せてみよう!」となりますかね?「この子、やる気ないな…。」って思われないでしょうか?
いつも目的を持って意欲的に見学をしている。学んだこと・教えてもらったことを実習記録にきちんとまとめている。それが伝わった時に、チャレンジする機会をもらえたりするのではないですかね?

見学時のマナー

さぁ、目的を持って見学しよう! と思ってくれたみなさん。
グイグイいく気満々になっていますか?
やる気いっぱいのみなさんへ、ちょこっとだけ注意事項です。

見学に入る際は、施術のメイン担当者に断りを入れましょう

中には「人に見られることに抵抗を感じる」患者さんもいらっしゃいます。また全身疾患など、かなりセンシティブな内容を話していて、担当の歯科医師や歯科衛生士が見学を許可しないパターンも考えられます。
そんな時は、少し離れたところで患者さんとの会話のやり取りについて学ぶほか、施術が終わった後に患者さんの状態を聞いたり、カルテを見せてもらったりすると、その患者さんのケースを知ることができるでしょう。

メモを片手に覗き込むのはやめましょう

見たこと、聞いたことを忘れないようにその場で記録をしたくなりますが、施術中は「見学」することに集中しましょう! これは患者さんへの配慮という意味もありますが、メモをしている間に大事なことを聞き逃したり、見逃してしまったりするからです。施術が終わってから、簡潔にまとめたメモを書いておきましょう。見学しているときに「どうまとめよう?」と意識することも大切ですね。

質問は患者さんが診療室から出てからにしましょう

まぁ、これは当然ですね。

どうですか? 見学ひとつとっても自分の心持ち次第で、たくさんのことを吸収できたり、逆に何も吸収できなかったりします。ここまでお伝えしてきたことを考えたら、見学ってなかなかエネルギーのいることですよね? 脳みそフル回転! たくさんのことを学び取ってみてください!


次回は「やりがちNGに気をつけて! いざ書き出すときのポイント」をテーマにお届けします。
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先生紹介

山田美穂 先生

太陽歯科衛生士専門学校 教務課長・夜間部専任講師
日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士
全国歯科衛生士教育協議会認定歯科衛生士

やまだ みほ/休日の楽しみは愛犬とのんびり過ごすこと。「水曜どうでしょう」を観て笑い、疲れを吹き飛ばすのも自分流のリフレッシュ法。
★山田先生のインタビュー記事はこちら

学校紹介

太陽歯科衛生士専門学校(東京都荒川区)

昼間部・夜間部があり、セカンドキャリアを目指す学生や働きながら通う学生も多数。
ユニットやファントムなどの実習設備が充実しており、希望者は課外時間に実践練習を積むことができる。学生一人ひとりに合わせた親身な指導も特徴。
★学校HPはこちら

 

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