実習日誌って何のために書くの?|歯科衛生士学生 学校生活の極意【実習日誌(実習簿)編#1】

これまでたくさんの学生を指導してきた太陽歯科衛生士専門学校の山田美穂先生が、歯科衛生士学生の皆さんが感じている悩みや不安にお答えします。

実習日誌って、何のために書くの?

今回の連載では、臨床実習には必須ともいえる【実習日誌】や【レポート】について書かせていただこうと思います。臨床実習って行けば良いだけじゃなくて、何だか色々記録物や提出物がありますね。
なぜだろう? 面倒だなぁ…ね!
初回はその辺りからお話ししましょう。

臨床実習って何するところ?|歯科衛生士学生 学校生活の極意【臨床実習編】#1

決して無駄なことをさせているわけではないのです

さて、大体のみなさんは2年生の後期あたりから『臨床実習』が始まりますね。それまで学校の中で学んできた知識や技術が、実際に臨床現場ではどのように患者さんに対して活かされているのかを学ぶ大事な機会です。
既に歯科医院で歯科助手として勤務している方にとっても、歯科衛生士として現場に立つことで見え方が違うはずです。
そして、臨床実習は出席すれば良いだけでなく、ほぼ全ての学校で“毎日の記録”が課せられますよね。
【実習日誌】【実習手帳】【実習記録】【実習簿】……言い方はさまざまでしょうが、一体何のために記録をするのでしょうか。

「臨床に出たら、1日の症例を並べたり、術式を書いたりなんてしなくない? 意味ある?」

なんて思う方はいらっしゃいますかね? さすがにそこまで言っちゃう人はいないかな(笑)。

「毎日頑張って実習に行くんだから、いいじゃんそれで!」
「ただでさえ覚える事、たくさんあるのに〜!」

ぶっちゃけたところ、そんな気持ちも無くはないかもしれませんね。
『臨床実習・臨地実習』は、みなさんが歯科衛生士の養成校を卒業するために必要な“単位”の一つです。
みなさんが臨床現場へ毎日出ていくこと自体が出席状況としてもちろん重要ですが、そこで「何を学び」「何を感じた」かも大事な情報です。学校の先生方は、みなさんの提出する『記録』からそれを確認します。
ただ、たったそれだけのために実習記録をつけてもらっているわけではありません。

「臨床に出たら、1日の症例を並べたり、術式を書いたりなんてしなくない? 意味ある?」

本当に意味がないでしょうか? 症例を並べたり、術式を書いたりすることはないかもしれません。しかし、現場で歯科衛生士の先輩方は患者さんを担当した際、施術や説明をするたびにさまざまな“記録”をしていませんか? 【業務記録】や【歯科衛生士カルテ】などです。

先輩方が忙しい診療の合間や昼休み、終業後などに時間を作って、記録されている場面も見る機会があるでしょう。
訪問診療を行っているところだったらさらに、他職種の方との連携やご家族との情報共有のためにいろいろな工夫をしているはず。
みなさんの実習日誌と…似ていませんか?

記録を残すということ

内容は違えど、【歯科衛生士カルテ】も【実習日誌】も「その日の記録を残す」ことには変わりありません。歯科衛生士カルテに記録されるのは、その日の患者さんの口腔内状況、体調、生活背景、お話ししたこと、次回への目標など未来の来院日への申し送りのようなものですね。

一方みなさんが記録をするのは、その日見学やアシスタントについた症例やその術式などが多いでしょうか。他に、指導を受けたことやその日の実習に関する考察などを記載することもあるかもしれませんね。

とすればどうでしょうか、その記録の意味は。
みなさんが行う「その日の記録」は次の日につながります。そして後から見返したときにも、過去からステップアップのヒントがもらえます。ぜひ書きっぱなしにするのではなく日々の振り返りをしてください。そうすると振り返りに有効な情報を残そうという意識が生まれ、「記録しておきたいこと」が見えてきます。ほら、【歯科衛生士カルテ】の練習に思えてきませんか?

目的ができれば必然的に意味のあるものに

自分にとって有効な記録を取るには、見学やアシスタントをしながら「どこがポイントになるか」考えながら実習をすることが重要です。ポイントをブレずにチェックする力が必要になります。そうするうちに、合間を見て簡単にメモを残し、それを見ながら工夫して記録を書くといったことができるようになるはずです。

義務としてただ記録を取るだけになるのか、日々の成長の糧にしていけるのか、それはみなさん次第ということですね。せっかくなら意味のあるものにした方が、将来歯科衛生士になる自分のためになるのではないでしょうか?


次回は「実習日誌のためには見学時のポジション取りが大切!」をテーマにお届けします。
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先生紹介

山田美穂 先生

太陽歯科衛生士専門学校 教務課長・夜間部専任講師
日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士
全国歯科衛生士教育協議会認定歯科衛生士

やまだ みほ/休日の楽しみは愛犬とのんびり過ごすこと。「水曜どうでしょう」を観て笑い、疲れを吹き飛ばすのも自分流のリフレッシュ法。
★山田先生のインタビュー記事はこちら

学校紹介

太陽歯科衛生士専門学校(東京都荒川区)

昼間部・夜間部があり、セカンドキャリアを目指す学生や働きながら通う学生も多数。
ユニットやファントムなどの実習設備が充実しており、希望者は課外時間に実践練習を積むことができる。学生一人ひとりに合わせた親身な指導も特徴。
★学校HPはこちら

 

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