知りたい! 学びたい!その想いが走り続ける原動力|先生の履歴書《徳島文理大学》
歯科衛生士養成校の先生は、学生を指導する立場であると同時に歯科衛生士としての“先輩”でもあります。
この連載では先生に、ご自身のキャリアを振り返っていただきながら、歯科衛生士という仕事の魅力や可能性についてお聞きします。
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目次
先生紹介
徳島文理大学 保健福祉学部 口腔保健学科 講師
そがわ ゆか/歯科衛生士養成校を卒業後、働きながら学士(教養)・修士(口腔保健学)・博士(口腔保健学)の学位を取得。医療と音楽の道で迷ったほど、ピアノを弾くのが大好き。休日にはJ-POPの曲を演奏したり、海岸を散歩しながらビーチグラスを探したりするのがお気に入りの時間。
知りたい! 学びたい!その想いが走り続ける原動力
学びと刺激の多い環境で歯科衛生士の可能性に挑戦
もともと私は好奇心が旺盛なタイプ。新卒のときも「歯科医療全般を学んで幅広いスキルを身につけたい!」と思い、治療のアシストや訪問診療、歯科検診など、予防に限らず幅広く経験できる歯科医院を選びました。入職して間もなく結婚・出産したこともあって、当時は仕事を覚えることと子育てでとにかく必死。でも、毎日が新鮮で楽しかったですね。
そんななか、徳島大学病院への転職は大きな転機となりました。補綴や矯正、口腔外科など多岐にわたる診療科があり、一般歯科にはない難しい症例や全身疾患を抱える入院患者さんの口腔ケアを経験。さらに褥瘡(じょくそう)ラウンド、病棟カンファレンス、摂食嚥下チームでの症例検討会など他職種と協働する機会も多く、これまでと違う視点から歯科衛生士の仕事を見つめ直すことができました。
なかでも忘れられない出来事となったのが、血液がんの患者さんとの出会い。化学療法の影響で次々と口腔の問題が出てくる状況を目の当たりにして、「なぜこんなことが起こるのか」とショックを受けると同時に、「口腔健康管理の視点からがん治療に貢献したい」という思いが強く湧き上がったんです。そこで、病院勤務を続けながら大学院に進み、「血液がん治療における口腔健康管理」の研究に携わるようになりました。
前進し続けることで世界はどんどん広がっていく
研究と臨床の両立は忙しいながらもやりがいがあり、とても充実したものでした。だからこそ、当校の教職のお話をいただいたときは、大いに悩みました。それでも教員になろうと決めたのは、40歳という職業人生の折り返しに差しかかり、これまでに得た学びを誰かのために役立てたいと思ったから。後輩育成という新たなことにチャレンジできるのにもワクワクしました。
現在、教壇に立って7年目。主要三科をメインに、病棟での口腔ケアに携わってきた経験を生かして実習指導を行っています。まず教科書の内容を教えるのが大前提ですが、プラスして教科書には書かれていない「現場」のこと―そのケースで想定される周りの状況やケア時に留意することなど、私だからこそ伝えられる内容も盛り込むように心がけています。
教員と二足のわらじで研究者としての活動も続けています。目下の目標は乳幼児が遊びながら口腔機能の向上を図れる教育プログラムを開発すること。この研究が、歯科衛生士の役割拡大にもつながればと思っています。どれだけ年を重ねても、「もっと知りたい! いつも前へ!」という気持ちがあれば、可能性は広がっていくもの。私自身の経験からそう実感しています。これから歯科衛生士の道を歩んでいく皆さんにも、まずは何か一つやりたいことを見つけてほしいですね。目標に向かって歩み続けることで、どんどん世界は広がっていくはずですから。
十川先生が研究に用いているお手製の測定キット。釣り遊びのようにストローで吸い上げ、子どもの口腔機能(吸引力)を測定する。
スペシャルコラム
私の学生時代
子どものころは学校の先生になりたいと思っていたほど、勉強することも人に教えることも好き。コツコツと学んでいく、真面目な学生でした。テスト前になると毎回友だちの家に泊まって一緒に勉強したことは、今でも忘れられない思い出です。
学校情報
学校法人 村崎学園
徳島文理大学[徳島県]
歯や口だけでなく全身の健康との関わりや有病者の口腔管理についての指導も行い、専門性の高い歯科衛生士を育成。総合大学ならではの充実した学習環境とアットホームな雰囲気のなか、学生一人ひとりに親身なサポートを行っている。
★学校HPはこちら
*こちらは、2023年9月発行「就活BOOKクオキャリア秋号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は取材時のものとなります。