推される人になろう!|歯科衛生士学生 学校生活の極意【臨床実習編】#2
歯科衛生士学生の皆さんが、学生生活の中で必ず直面する「臨床実習」。
これから実習に行く方が感じている不安や、実習中の方が感じている疑問について、太陽歯科衛生士専門学校の山田美穂先生に伺いました!
歯科衛生士学生 学校生活の極意|臨床実習編
第1回 臨床実習って何するところ?
第2回 推される人になろう!(こちらの記事)
第3回 実習での出会いを大事に!
第4回 3年後の自分を想像してみよう!
★【社会人学生編】はこちら
目次
プロフィール
山田美穂 先生(Yamada miho)
太陽歯科衛生士専門学校 教務課長・夜間部専任講師
日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士
山田先生のインタビュー記事はこちら→https://www.webqua.jp/pocket/school/3096/
★太陽歯科衛生士専門学校(東京都荒川区)
https://www.taiyodhs.ac.jp/
昼間部・夜間部があり、セカンドキャリアを目指す学生や働きながら通う学生も多数。
ユニットやファントムなどの実習設備が充実しており、希望者は課外時間に実践練習を積むことができる。学生一人ひとりに合わせた親身な指導も特徴。
推される人になろう!
はじめに
皆さんには『推し』っていますか?
近年よく聞く『推しメン』なんて表現がありますね。『推し』と『ファン』とは何が違うのでしょうか?
私の個人的な解釈をお話しますと…。
『推し』は「自分が世の中へ売り出してやるぜ!」の如く愛情を注ぎ、活躍の場を得るための貢献(グッズを率先して買ったり、SNSで紹介したり)をして応援する人。言わば【育てる】感覚。
『ファン』は純粋に憧れの人。その人に会えれば幸せ。その人の存在が自分にとってのエネルギーになる。そんな幸せを【与えてくれる】感覚。
どうでしょうこの感覚…伝わりますか?
ではこれを臨床現場に落とし込んでみると…。
★実習生は、実習先の皆さんにとっての『推し』になろう!
★歯科衛生士は患者さんに、自分の『ファン』になってもらおう!
このふたつの表現のニュアンス、伝わるでしょうか?
要は、実習生として現場の方々から「応援される人になろう!」ということを言いたいのです。
「応援される実習生」って?
では「応援される実習生」って…どんな実習生ですかね?
臨床実習の現場で、実習生は何を求められるのでしょう?
・SRPのテクニック?
・アシスタントワークのスキル?
・患者指導の知識?
もちろん学校で習ってきたことを、臨床現場で体験しながらスキルを上げていくことも大切なのですが…、私はまず実習生として(学生として)「吸収する姿勢」「学ぼうとする意欲」が見たいなと思うのです。
それは何に対してもです。
たとえ 、自分と価値観の違う発言を実習先の方がしていたとしても、自分に自覚のないことで注意を受けたとしても、学校で習ったことと違うことが行われていたとしても。
「なんで自分だけこんな目に遭わなきゃいけないの?」「どうしていじめるの?」「え?やばくない??」となる前に、まず、ひと息『深呼吸』をしましょう。
注意されたり、叱られたりする理由が、患者さんや勤務している方々に迷惑がかかるような内容である時には、きっと『強い言葉』で伝えられることもあるでしょう。
しかしその強い言葉は、皆さんが患者さんへ迷惑をかけたり、大きな失敗をしたりせず『安全な実習』を行う上で重要なことが多いです。
そしてその裏には『医療人としての自覚』を持って欲しいという願いも含まれていたりします。
【学ぶ姿勢】に関しては指摘されることが多くなってきています。頭ごなしに、皆さんを嫌って罵倒するようなことはほぼないはずです。そこから学べることは必ずあるのです。
とはいえ、人と人との関わりの中で成り立っている臨床実習です。
明らかに「一生懸命がんばっているにも関わらず、何一つ認めてもらえない。」とか「理不尽なことばかり起こる。」と感じるのであれば、まずは学校の先生に相談してみましょう。日頃の皆さんをよく知っている先生方なら実際どういうことなのか見極めてくれるでしょう。
時には学校の先生からも厳しい言葉を受ける可能性はもちろんあります。それは、あなたが医療人として成長するために『変わらなければいけない何か』を持っている場合です。「先生まで味方してくれない!」ではなく、『何を』変えるべきなのかじっくり考えてみましょう。
実習先にとって、あなたが『推し』になるために
さぁ、臨床実習へどんな心持ちで臨むべきでしょうか?少し見えてきましたか?
皆さんが実習先にとって『推し』になるため、必ず持っていって欲しいと思うものを3つお伝えします。
それは
『笑顔』
『しっかりとした元気な挨拶』
『素直な心』
です。
あれ?テクニックや知識ではないですね。はじめに実習先の方々へこの3つが届けば、第一関門突破です。
そして、『チャレンジ精神』と『謙虚な心』をバランスよく持つことが大事です。現代の義務教育では【個】への尊重から、あまり厳しいルールの中で過ごした体験のない方も多いように見受けられます。しかしながら歯科衛生士は【プロフェッショナルな医療人】です。医療事故を起こしてはならないし、やりたいことだけ好きなだけという業界でもありません。とすれば、やはりルールは守らなければならない責任がありますし、医療現場での連携・コミュニケーションはとても重要ですね。
どうでしょうか、実習生としてまず『求められるもの』『学ぶべきもの』が理解できたでしょうか。
実習先の皆さんにとっての『推し』として、時に厳しくも愛を持って育ててもらえるよう今一度、臨床実習へ向けての心構えを考えてみましょう!
そして将来、たくさんの『ファン』を抱える、魅力的な歯科衛生士になることを目指してがんばってみましょう!