【歯科衛生士国試対策 “わかる!社会歯科” 】予防に関する問題
目次
はじめに
クオキャリア過去問アプリ編集長の笠原玄太さんが、
国家試験までに受験生が知っておきたい「社会歯科」に関する内容について、連載でお送りしております。
第4回の今回は、予防に関係する問題に関して解説します。
予防に関係する出題は多い
前回は、健康日本21(第二次)や健康増進法を中心に学習しましたが、
試験ではこれ以外にも予防に関係する項目は多く出題されています。
今回はこれらのうちよく問われるものについてみていきましょう。
<前回までの記事をチェック!>
【第一回 社会保険って何?】
第一次予防 第二次予防 第三次予防
米国の医学者リーベル(Leavell)らは1950年代に、
予防を第一次予防と第二次予防、第三次予防の3つに段階分けし、
さらに予防手段を5つに分類しました。
第一次予防は疾病の発生そのものを予防すること、
第二次予防は発生した疾病を早期に発見して治療し、進行や重症化を防ぐこと、
第三次予防はリハビリテーション(社会復帰支援)を目的とします。
予防の考え方に口腔疾患への対策を当てはめたもの
第一次予防 | 非特異的防御(健康の保持増進) | 栄養指導、健康教育(口腔清掃指導、食生活指導など)、禁煙 |
特異的防御(特定の疾病に対する予防) | 予防的スケーリング、PMTC、洗口剤の使用 | |
第二次予防 | 早期発見・即時処置 | 定期歯科検診、スケーリング・ルートプレーニング、咬合調整 |
機能喪失防止(機能障害や合併症、再発の防止) | 抜歯、歯周外科処置、歯の固定 | |
第三次予防 | リハビリテーション | 義歯装着、摂食嚥下訓練、歯周補綴 |
※複数の段階に属しているものがありますが(スケーリングなど)、国試ではいずれに属するか明確なケースが出題されています。間違いなく「これ」と思えるものを選んでください。
Keyesの概念図
Keyes(カイス)の提唱したう蝕の3要因と、それに関する予防についての問題もコンスタントに出題されています。
Keyesはう蝕発生の要因として、宿主と歯、口腔細菌、発酵性糖質の3つを定義しました。
試験ではそれぞれの要因に対する予防手段が出題されています。
Keyesの3分類 | ①宿主と歯の感受性(その人<個体>の問題) | 年齢・性別
歯(歯の種類・形態、歯列不正など) 唾液(唾液緩衝能、唾液分泌量など) |
②口腔細菌(原因菌) | ミュータンス連鎖球菌関連 | |
③発酵性糖質(環境) | 含糖食品摂取頻度 |
①についての予防手段
小窩裂溝填塞、フッ化物応用など
②についての予防手段
日常的な口腔清掃、PMTC
③についての予防手段
代用甘味料の使用、発酵性糖質の摂取制限、発酵性糖質の摂取時間指導
感染症の予防
感染症は ①病原体(感染源)②感染経路 ③宿主の感受性の3つの要因がそろうことで発生・流行します。
予防ではこれらのうち最低1つ(できれば3つとも)を取り除くことを目指します。
①病原体(感染源)対策
患者の隔離・治療、消毒、検疫、媒介動物の駆除
②感染経路対策
感染経路対策は、さらに2つ(直接伝播<直接接触、飛沫散布、垂直感染>防止と間接伝播<空気感染、媒介物感染、媒介動物感染>防止)に分かれます。
ア 直接伝播防止
手袋やマスク、防護具の使用、衛生教育
イ 間接伝播防止
飲料水の消毒、食品衛生、使用器具の滅菌、媒介動物の駆除、感染者の排泄物の消毒
③宿主の感受性対策
感受性対策は、さらに2つ(非特異的防御と特異的防御)に分かれます。
ア 非特異的防御
栄養指導、衛生教育、健康の保持増進
イ 特異的防御
予防接種、免疫血清、γ-グロブリンの使用
※①②③のうち複数のところで対策としてあがっているものがありますが(衛生教育、媒介動物駆除など)、国試ではいずれかが明確なケースが出題されています。
間違いなく「これ」と思えるものを選んでください。
実際の過去問で出題形式をチェック!
・30回午前20問
歯周病の第二次予防はどれか、2つ選べ。
a 歯周疾患検診
b 食生活指導
c 歯周外科治療
d 口腔機能回復治療
・30回午前23問
感染症予防で感染経路対策はどれか、2つ選べ。
a 予防接種
b 患者の隔離
c マスクの着用
d 使用器具の滅菌
その他、下記問題も出題されています。
・30回午後17
・29回午前27
・29回午後20
・28回午前24
・28回午後16
・27回午前19
・27回午前63
・26回午前16
・26回午前67