【例文付き】医院見学後、面接を強く勧められたらどうする? トラブル回避の方法や対応例をご紹介
歯科衛生士学生の就職活動は一般的に
・自己分析
・情報収集
・合同就職説明会や医院個別説明会に参加
・医院見学→応募先の選定
・選考(面接)
・内定
と進んでいきます。
その中で「医院見学」は正式な応募前の貴重な見極めの機会。
ただし一口に「医院見学」と言っても、医院ごとにその位置づけや内容は異なります。お友達と一緒でもOKなど説明会の延長のような気軽な感じのところがある一方で、履歴書が必要だったり面接とセットになっていたりと、応募と同じような扱いとしている医院も見られます。
そのため、求職者側と医院間で「医院見学」に対する認識が一致していないと、「応募先候補の一つとして情報収集するために行っただけなのに、応募を前提にした対応をされた…」といったトラブルになる可能性があります。
そこでこの記事では、見学後にトラブルにならないためにはどうしたらいいのかについて解説していきます。
※なお、医院見学や応募のフローについて学校で決まりがある場合は、そちらに従うようにしましょう。
目次
見学に行ったら応募を促される?
実際に「見学をしたら面接を強制されるのではないか」に不安を感じている方がどのくらいいるのか、新卒学生さんにアンケートを取ってみました。
医院見学の際、見学のみを希望したにもかかわらず「面接を強制されないか」についてどのくらい不安がありますか?
※クオキャリア特別編集「しゃほかんV(2023年11月発行)」読者アンケートより[有効回答102]
「面接を強制されないか」について不安に感じている人とそうでない人が、約半々という結果になりました。
実際には、医院見学の際に同時に面接も行うケースは年々少なくなっていて、複数の医院へ見学に行き、比較・検討した上で後日改めて面接の申し込みをする、という流れが一般的です。
とはいえ、医院が見学を受け入れているのは人材募集のためですので、その場の雰囲気で押し切られてしまったりしないかと不安に思っている人も多いようです。
見学だけでもOKの医院って実際にどれくらいある?
クオキャリアに求人掲載している医院で見てみると、「見学だけでも歓迎」としている医院が全体の90%以上となっています(2024年9月調べ)。
なお、クオキャリアのWEBサイトでは、「見学だけでも歓迎」の医院を絞り込むことができます。見学で面接を強要されないか心配…という方は、この機能を活用して医院探しをするのがオススメです。
※クオキャリア上の「見学だけでも歓迎」アイコンは、見学時の履歴書の持参や面接、見学後の正式応募が必須でないことを示します(見学時、学生証の持参が必要な場合もあります)
なお、「複数見学してから面接を申し込む」のが一般的であるとはいえ、目的を持たずに見学に行っても、得られるものはあまり多くありません。
また、医院側にとっては、見学はあくまでも人材募集活動の一環。「自院のことを知ってもらいたい」「入職後のミスマッチを防ぐ」といった目的のために、時間とコストをかけて見学を受け入れています。見学に行ったら、「応募してくれるかもしれない人」として見られるということを理解しておく必要があります。事前にきちんと求人情報や医院ホームページなどで医院のことを調べ、応募先の候補として考えたいと思った医院に見学に行くようにしましょう。
★クオキャリア「見学だけでも歓迎」の歯科衛生士求人はこちら
こんなときどうする?ケース別に対応方法をご紹介
1.見学だけのつもりなのに「履歴書」を求められた
医院から見学時の持ち物として「履歴書」と指定がなければ、基本的には見学だけの時には履歴書は持参しなくても大丈夫です。
ただし当日行ってみたら、本人確認などのために「履歴書をお持ちですか」と聞かれたりすることがあるかもしれません。そういった場合は慌てずに、持参していないことをハッキリかつ丁寧に伝えましょう。
<対応例>
「本日は見学のみのつもりで伺っておりまして、履歴書は持参しておりません。
身分証明ということでしたら学生証を持参しておりますので、こちらの提示でもよろしいでしょうか」
2.面接を受けるか決めていないのに、面接日時の話を始められた
医院がぜひ入職してほしいと思った場合、「面接を受けてほしい」といった話をされることがあるかもしれません。
話が盛り上がってなんとなくそういう雰囲気になった場合、ちょっと断わりにくいかもしれませんが、流されて面接を受けることはしない方がよいでしょう。もちろんその医院が「最後の見学先」で、他の医院と比較して一番良かったというケースならよいですが、まだ見学をしていない候補医院があるなら、一通り見学が終わってから比較検討し、改めて面接の申し込みをするのがオススメです。
<対応例>
「大変申し訳ありませんが、医院見学は貴院が1件目で(他にも見学予定がありまして)、他の医院も見た上で、応募先を決めたいと考えております。
後日改めてご連絡させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」
3.見学の際、応募するかの返答を1週間以内にするように言われた
見学後、「面接は希望しない」のであれば、それ自体の連絡はしなくてもよいケースもあります(見学後のお礼の連絡は必要です)が、医院によっては、次のステップに進むか否かの返答をするよう求められることがあります。この場合、大事なのは指定された期限内に連絡をすること。面接をお願いする場合はもちろん、希望しない場合、期限内に結論が出せない場合も、期日までに必ず連絡をしましょう。
<対応例①>面接を希望する場合
「先日は見学の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
実際に診療の様子を拝見したり、院長先生や〇〇様からお話を伺ったりする中で、貴院で働きたいという気持ちが強くなりました。
つきましては、ぜひ面接の機会をいただきたく、よろしくお願い申し上げます」
<対応例②>面接を希望しない場合
「先日は見学の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
大変申し訳ないのですが、このたびは面接を辞退させていただきたく存じます。
お忙しい中貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり申し訳ございません。
末筆ながら、貴院の益々のご発展を心からお祈り申し上げます」
<対応例③>返答の期日を延ばしてほしい場合
「先日は見学の機会をいただきまして、誠にありがとうございました。
面接をお願いするかについてのお返事ですが、〇〇までお待ちいただくことはできますでしょうか。現在、応募先について検討している段階でございますので、お時間を頂戴できますと幸いです。
勝手を申しまして大変恐縮ですが、ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします」
4.見学後に、応募を促す連絡が来た
見学をした後に、医院から「面接を受けませんか」という連絡が来るケースもあります。自分が応募したいと考えていた医院ならうれしいですが、選択肢からはずした医院からの連絡だと、困ってしまうかもしれません。そんなときにも、きちんと意思を伝えるのがベスト。返信をしなかったりあいまいな態度を取ったりするのは、トラブルの元です。
医院からアプローチが来たということは、見学時の印象が良く「一緒に働きたい」と思ってくれたと考えられます。せっかくのイメージを台無しにしないよう、丁寧に対応しましょう。
<対応例①>面接をお願いする場合
「このたびは面接のご案内をいただきまして、ありがとうございます。
先日の見学で、診療の様子を拝見したり、院長先生や〇〇様からお話を伺ったりする中で、貴院で働きたいという気持ちが強くなりました。
つきましては、ぜひ面接の機会をいただきたく、よろしくお願い申し上げます」
<対応例②>面接をお断りする場合
「このたびは面接のご案内をいただきまして、ありがとうございます。
大変申し訳ないのですが、面接は辞退させていただきたく存じます。
お忙しい中貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり申し訳ございません。
末筆ながら、貴院の益々のご発展を心からお祈り申し上げます」
<対応例③>検討中の場合
「このたびは面接のご案内をいただきまして、ありがとうございます。
はっきりとしたお返事ができず恐れ入りますが、現在まだ応募先について検討している状況です。
応募の意思が固まりましたら改めてご連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
見学後のトラブルを回避するために
見学後のトラブルは、医院と求職者の認識のずれによって起こることがほとんど。自分の言動が医院にどう捉えられるのか、医院がどう考えているかを意識しながら対応することが大切です。また、見学後のトラブル回避のためには、「見学後」だけでなく、「見学申し込み時」「見学時」にも、下記のように注意すべきポイントがあります。
見学申し込み時の心がけポイント
●「見学だけでもOK」なのかをきちんと確認し、自分の希望も明確に!
医院によって、「見学だけ」でも可のところと、「見学と面接がセット」のところがあります。また中には、「見学だけ」の場合でも「履歴書」の持参が必要となっている医院も見られます。
前述したようにクオキャリアのキーワード検索では「見学だけでも歓迎(履歴書も不要)」の医院を絞り込むことができます。また、各医院の求人ページでも、「見学だけでも歓迎(履歴書も不要)」の医院には、医院名の下にアイコンがついているので、そちらでもチェックできます。
実際に見学の申し込みをする際は、クオキャリアの応募フォームを活用するのもオススメ。
応募種別を「見学のみ希望」「面接のみ希望」「見学と面接を希望」から選べるので、何を希望しているのかが医院にきちんと伝わります。また、見学申し込み時は、必ず当日の持ち物の確認をしましょう。「見学だけ」の申し込みの場合は、持ち物として「履歴書」と言われなければ、持参しなくても大丈夫です。
見学時の心がけポイント
●その場の雰囲気に流されず、自分の考えをきちんと伝える
見学だけのつもりで行ったのに、医院側の思い違いなどにより、履歴書を求められたり、面接に誘導されそうになったり、想定外のことが起こることはあり得ます。また、「ぜひ入職してもらいたい」という気持ちから、強く面接を勧めて来る場合もあるかもしれません。
医院の申し出を断わるのはちょっと勇気がいるかもしれませんが、「本日は見学だけのつもりで伺いました。今後については検討しまして改めて後日ご連絡します」など意思を丁寧に伝えることが大切です。
選考が進むと余計に断わりづらくなりますし、医院側にも手間をかけさせてしまうので、あまり気乗りがしないのに面接を受けたりはしない方がよいでしょう。
見学後の心がけポイント
●見学した医院からの連絡には、きちんと返信をする
まず、見学後にはお礼の連絡をするのがマナーです。見学させていただいたお礼をメールなどで伝えましょう。その際、「この後、他にも見学や情報収集などをして検討する」といった内容を添えておくと、「まだ応募の意思は固まっていない」ことを医院に伝えられ、すぐに医院から面接の誘いが来るといった事態を避けられます。なお見学の際に、医院から「選考に進むかについて後日ご連絡をください」と言われた場合は、返答の期限を切られていなかったとしても、判断がついた段階で連絡するようにしましょう。
また見学後に医院側から、状況の確認や応募の誘いの連絡が来ることもあります。応募の意思がなくなった医院の場合は、どうしたらいいのでしょうか。
「応募をしないのだから返信する必要はない」「返信しないことが断わりの表明」と考えて、返信をしない人もいるかもしれません。
しかし、クオキャリアに求人を掲載している医院に、見学後にうまくいかなかったエピソードについて聞いてみたところ、「音信不通が困った」という声がたくさん寄せられました。
- 返答がなく音信不通になることがよくある。こちらから連絡するのもしつこいかと思うが、悩むところ
- 見学後、後日学生に面接の案内メールを送っても返信がなく、音信不通になってしまった
- 見学後、他の医院にも見学に行きますとのことだったので、しばらくたって連絡したが返信がなかった
※2024年6月~7月クオキャリア実施:就活BOOKクオキャリア秋号掲載医院へのアンケート調査より[有効回答数:172]
連絡がつかないと、医院にとっては、「たまたまメールを見落としていたり、立て込んでいて電話に出られなかったりした」のか、「まだ検討中」や「応募の意思がない」ということなのか、判断しにくいです。断わりの連絡をするのはハードルが高いことかもしれませんが、医院にとっては意向をきちんと伝えてもらったほうが余計な手間を防げてありがたいということを理解しておきましょう。
まとめ
求職者としては、医院見学は応募するかどうかを判断するために行くものですから、見学をしても応募しない医院があるのが当然です。
ですが、医院にとっては人材募集活動の貴重な機会であり、見学に来た人一人ひとりを「採用候補者」と捉える医院も少なくないでしょう。特にぜひ入職してほしいと思った求職者には積極的に働きかけを行うこともあるかもしれません。
就活現場では、このような求職者と医院側の認識のギャップが、トラブルにつながっているケースが多そうです。求職者としてできることは、まずきちんと自己分析をし、自分にとってどんな医院が良いのかを考えた上で医院を探して見学の申し込みをすること。そして自分の意向をはっきりと、かつ誠意を持って伝えることです。
見学には、「自分のために時間を割いて対応してくれる」ことをきちんと理解した上で臨むようにしましょう。
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