新卒歯科衛生士の求人倍率は20倍以上なのに…「落ちる人」が増えている!?

近年、新卒歯科衛生士学生の就職を取り巻く環境は大きく変化しています
ここでは「選考落ち」にスポットをあてて、若手歯科衛生士さんや学校の先生方へのアンケートから、最新の就活動向と押さえておきたいポイントをご紹介します。

「歯科衛生士は就職先に困らない」。ある意味ではその通りですが、若手DHさんや学校の先生方の声からは、新卒の就職市場においては“そうともいえない”事情が見えてきました。

新卒DHの求人は“売り手市場” 就職先には困らない

※全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」2015~2024より作成
https://www.kokuhoken.or.jp/zen-eiky/publicity/file/report_2024.pdf
https://www.kokuhoken.or.jp/zen-eiky/publicity/file/report_2019.pdf

就職者に対する求人人数倍率の推移

上図は全国歯科衛生士教育協議会が全国の歯科衛生士養成校に行った求人倍率の結果です。「求人人数倍率」とは、求職者数に対して何倍の数の求人があるかを示すもの。つまり、単純に考えると新卒歯科衛生士一人に対して、20以上の医院から募集が来ているということ。この結果を見ると、どこでも就職できるように思うことでしょう。

先輩DHに聞いてみました「選考で落ちたことある?」


*2024年7月~8月クオキャリア実施:クオキャリア会員アンケート調査より[有効回答数100/回答属性:2020~2024年卒の歯科衛生士]

若手DHの5人に1人が落ちた経験あり

上記の通り“引く手はあまた”。しかし、クオキャリアが卒後1~5年目の歯科衛生士さんに行ったアンケートでは、約2割の方が「新卒時の就職活動で選考に落ちた経験がある」と回答しました。“5人に1人が落ちた”という結果から、意外と珍しくないことがわかるのではないでしょうか。

学校の先生方に聞いてみました「落ちる『理由』は?」

次に、歯科衛生士学生にキャリア指導を行ったり医院選びの相談にのったりしている養成校の教職員だからわかる、新卒就職市場の今について聞いてみました。

 

学校の先生方へのアンケートでは、「落ちる学生もいる」と回答した学校が7割以上にのぼりました。
次に「落ちる学生もいる」と回答した方に、思い当たる理由を聞いてみました。

*2024年6月~7月クオキャリア実施:歯科衛生士学校教職員向けキャリア形成支援に関するアンケート調査より[有効回答数:100名/回答学校数:83校]

【落ちる理由1】医院の求めている人物像に合わない

  • 医院側の求めている人物像に、応募した学生が合致していないためだと思われます
  • マッチングの問題だと思う
  • そのクリニックに合う人材なのかが見られているのだと思います。以前とは、採用側の見方(採用に対する考え方)が変わってきていることの表れだと思います
  • 医院の方針、雰囲気に合わない
  • 歯科医院の求める歯科衛生士としての資質にそぐわなかった
  • 本質的には先方に合う合わない

【落ちる理由2】採用枠の問題

  • 1名の採用枠に2名の応募があったとのことでした。他の候補者と比べた際に、面接で熱意が伝わらなかったようです
  • タイミングの問題。早い者勝ちの場合もある
  • 採用枠を超えた応募があった場合、より良い人材が選ばれるため
  • 担任からも早く就職活動を始めるように促していたが、本人に動き出す意思や様子が見られず、時期が遅くなってしまった
  • 1人の学生が落ち続けることはまれですが、応募過多の場合、他の応募者に競り負けることがあります

【落ちる理由3】学生の姿勢・態度

  • うまく自分の意見を言語化できない学生が増えているように感じます。医院側からすると「何を考えているかわからない」という評価になると思います
  • 人材不足とはいえ質の担保は必要なので、具体的な志望動機や将来の目標、コミュニケーション能力や基本的なマナーなど、さまざまな視点でみられるようになってきたと感じる
  • 自分をアピールできなかった、医院の魅力を答えられなかったなど
  • コミュニケーション能力など汎用的能力が見劣りしたり、マナー態度が良くなかったりする場合

【落ちる理由4】就職活動の準備が不十分

  • 受験さえすれば内定が出ると思っており、面接準備をせずに受けたから
  • 応募が集中する医院ではしっかり目を見て話せなかったり、面接に対して準備が足りなかったりする学生が落ちがちだと思う
  • 見学で質問があるか問われた際に、何も聞くことができなかったと言っていた学生がいました
  • 卒業予定者の多くが国試対策に目が向いているため、十分な就活の時間を取っていないのではないか
  • 履歴書の見直しや面接練習を行う学生が少なく、準備不足が原因であると考えている

 

第一志望に受かりたいならやるべきことはコレ!

【やるべきこと1】自分自身について徹底的に考える

「求めている人物像」は医院によってさまざまですが、歯科衛生士の担う役割が大きくなっているからこそ、より自院に合った人材を採りたいと考える医院が増えています。ミスマッチを防ぐためには、「自分がどうなりたいか」「自分がもっとも優先したいことは何か」など「自分」についてよく考える必要があります

【やるべきこと2】見学や面接の準備をしっかりする

あなたの資質や能力とは関係のない部分で落ちてしまうのはとてももったいないもの。またせっかく意欲があってもそれが相手に伝わらなければ意味がありません。医院見学や面接時のマナーを押さえるほか、よく聞かれる質問への受け答えを練習しておきましょう。

【やるべきこと3】とにかく今から動く

採用枠には限りがあるもの。たとえすでに内定していた人よりあなたの方がその医院に合っていたとしても、採用枠が埋まってしまえばどうしようもありません。就職活動が遅れていいことはあまりないのです。国試まで今がいちばん時間があるとき。後悔のないよう、就活は早め早めに進めましょう。

 

*こちらは、2024年9月発行「就活BOOKクオキャリア秋号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は当時のものとなります。

 

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