“予防専用“の空間がある医院=○○を大切にしている職場|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#24

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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「予防専用ユニット」「予防専用ルーム」ってなんだろう?

求人情報を見ていると、「予防専用ユニットあり」「予防専用ルームあり」という文字を見かけることがあります。
これって、具体的にはどういうものなのでしょうか?
また、こうした設備があると、歯科衛生士にとってどんな良いことがあるのでしょうか。

今回はこうした、“予防専用”の空間について、詳しく紹介していきたいと思います。

歯科衛生士の一番の役割は「予防」

みなさんもご存知の通り、歯科衛生士の業務は、「歯科予防処置」「歯科保健指導」「歯科診療補助」の3つです。

このうち「歯科予防処置」は、スケーリングやSRP、フッ素塗布など、実際に患者さんのお口の中に処置を行うこと。
「歯科保健指導」は、ブラッシング指導や食事指導、嚥下機能訓練などで、患者さんを正しいセルフケアや生活習慣に導くことです。

この2つを合わせて「予防」や「ケア」と呼ぶことが多く、歯科衛生士が中心となって担う分野です。

なお、歯科医師が行う治療のアシスト、つまり「歯科診療補助」も、歯科衛生士の重要な業務の一つです。
ただし、歯科助手の領域とかぶる部分があることや、「治療」に関わる業務であることから、“歯科衛生士だけが行える”予防業務とは、切り離して考えられることが多いです。

※「診療補助」という同じ名称でも、歯科衛生士と歯科助手では担える範囲が違います。
歯科衛生士と歯科助手、どこがどう違う? 働きやすさに違いはある?

“予防専用”の空間を設ける理由は?

ところでなぜ、“予防専用”の空間を設けている歯科医院が多いのでしょうか?
ここで、患者さんの目線に立って考えてみましょう。

「予防」を目的に受診する患者さんは、「歯のお掃除をしてもらうために歯医者に行く」のであり、「治療」とは違って歯を抜いたり削ったりされることはありません。
そのため、美容院やエステに行くような、リラックスした気持ちで通えそうです!

でも、せっかく気持ち良く歯のお掃除をしてもらっているのに、すぐ横で「キーン」と歯を削る音がしたり、隣のユニットで抜歯が行われたりするとしたら、どうでしょう?
なんだか緊張してきて、“リラックス感”が薄れてしまう、という患者さんが多いのではないでしょうか。

そこで、「予防を目的に来院した患者さんには、くつろいだ気持ちで、ゆったりと診療を受けてもらおう」という目的でつくられたのが、“予防専用”の空間です。
歯科医院に対して「痛そう」「怖い」という苦手意識がある患者さんも、歯を削ったり抜いたりしない予防専用の空間なら、比較的通いやすそうです。

“予防専用”空間の種類

“予防専用”の空間は、規模などによっていくつかの種類に分けられます。

予防専用ユニット

治療と同じエリアの中に、“予防専用”のユニットを設けているパターンです。
治療用とはユニットの種類を変えて、より座り心地の良いユニットを使ったりしている場合もあります。
このケースの医院では、パーティションなどで区切られてはいるものの、治療中の音や臭いなどは、ある程度感じられることが多いです。

予防専用ルーム

壁などで完全に区切られた個室の診療スペースのことを言い、治療の音や臭いが漏れにくいのがメリットです。
治療用の部屋よりも豪華なインテリアにしたり、ヒーリングミュージックを流したり、アロマを焚いたりしている場合もあります。
予防専用ユニットに比べて、患者さんがよりリラックスしやすい環境と言えるでしょう。

予防専用フロア

予防専用ルームからもう一歩進んで、「1階は治療フロア、2階は予防フロア」など、エリアを大きく分けている医院も増えています。
このような“予防専用フロア”には、オープンスペースでユニットがいくつか並んでいる場合と、フロア内がさらに個室に分かれている場合があります。

なお、予防専用フロアや、次に紹介する“予防専用クリニック”では、アポイントの管理などの運営全般が、歯科衛生士に任されていることも多いです。

予防専用クリニック

さらに治療との分離が進み、診療スペースだけでなく、入口や受付、待合室なども、すべて“予防専用”になっているケースです。

予防専用クリニックには、

  • 治療専用のクリニックに併設
  • 同じ建物内で、治療部門とは別のフロアに設置
  • 近隣の別の建物(“予防専用棟”)
  • 独立したクリニック(予防専用の分院)

など、さまざまな形態があります。

歯科衛生士にとって、“予防専用”の空間があるメリットとは

“予防専用”の空間を設ける理由は?で見たように、“予防専用”の空間は、「患者さんがリラックスできる」ことを一番の目的として設けられています。
では、歯科衛生士にとってはどんな良さがあるのでしょうか?

大きく分けて、3つのメリットが考えられます。

メリットその1:患者さんとじっくり向き合えて、充実した保健指導ができる

患者さんがリラックスしていると、ご家族の近況やお仕事の内容など日常生活についての話も聞きやすくなるはずです。
それによって、セルフケアや生活習慣の指導などが効果的に行えて、患者さんのモチベーションアップにもつながります。

また、“予防専用”の空間があることによって患者さんの歯科医院へのネガティブな印象を軽減でき、継続して通ってもらいやすくなります。
患者さんと信頼関係を築いて、歯を長く守っていきやすい環境と言えるでしょう。

メリットその2:処置に集中でき、スキルアップにつながる

治療の音や、治療中の慌ただしい雰囲気から離れて診療できるのは、患者さんだけでなく歯科衛生士にとっても大きなメリットです。
自分の手元や患者さんの口腔内にしっかり集中できるため処置の精度が上がり、スキルアップにもつながります。

メリットその3:設備が使いやすい

“予防専用”の空間には大抵、予防業務で使用する機材などが優先的に配備されています。そのため歯科衛生士は効率良く診療に取り組めるでしょう。

なんと、歯科医院の中には、歯科衛生士一人ひとりが「自分専用」の個室をもらえるという職場も!
その場合は、機材のレイアウトやインテリアなども、自分の好みに合わせて変えることができるそう。
考えただけでもワクワクしてきます!

つまり、“予防専用”の空間がある歯科医院って、どんな職場?

こうした“予防専用”の空間を設けるためには、治療用のスペースを削ったり、フロアを新設したりする必要があり、多額の費用がかかることも。
医院経営の面から言うと、短期的に見れば、あまり効率の良い空間の使い方ではないのです。
それでもなお、こうした診療環境を用意しているのは、その医院が「予防」に力を入れているからにほかなりません。

また「予防」を重視しているということは、つまり、「歯科衛生士の仕事」を重視していると言い換えられます。
歯科衛生士にとって、“予防専用”の空間があるメリットとはで見てきたように、歯科衛生士にとって、“予防専用”の空間自体にも大きなメリットがありますが、それに加えて(いや、それ以上に!)、こうした、「歯科衛生士の役割を重視した診療方針」も、仕事のやりがいを大きく増してくれるはずです。

特に、「予防専用ルーム」「予防専用フロア」「予防専用クリニック」を設けている場合は、より本格的に「予防」に取り組んでいることがうかがえます。

「予防歯科にしっかり取り組みたい」「歯科衛生士として自立した仕事がしたい」と考えている人は、ぜひ、こうしたポイントにも注目してみてください。

 

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ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

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