歯科医院における言語聴覚士|役割や歯科衛生士との関わりは?

歯科における他職種連携と聞いて真っ先に頭に浮かぶのは歯科医師や歯科技工士との連携だと思いますが、歯科衛生士が協力する職種はそれだけではありません。
今回取り上げるのは言語聴覚士との連携です。
あまり馴染みがない、あるいは病院や高齢者施設で働くイメージが強い方も多いかもしれませんが、実は歯科と連携することで患者さんにさまざまなメリットをもたらすことができます。

言語聴覚士とはどんな資格?

言語聴覚士は、ST(エスティー/Speech-Language-Hearing Therapist)とも呼ばれ、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)と並ぶリハビリテーション職の一つ。歯科衛生士と同じく国家資格の職業です。

言語聴覚士法 第一章 第二条では「厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう」と定められています。
簡単に説明すると、食事や会話が上手くできない患者さんに対してリハビリを提供する仕事です。

言語聴覚士の国家資格が誕生したのは1997年。
歯科衛生士が1948年だったことを考えると、比較的新しい国家資格といえるでしょう。

そんな言語聴覚士が働く場は、病院や特別養護老人ホーム、デイサービスセンターが中心。では、歯科医院で活躍する言語聴覚士はどのような役割を果たしているのでしょうか?

言語聴覚士は歯科医院でも大活躍!

言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」を支えるプロフェッショナル。
歯科医師や歯科衛生士が歯や歯肉など器官そのものの治療やケアを行うのに対し、言語聴覚士は、口、舌、喉の動かし方や使い方の訓練をします。
歯科医院では、口腔ケアや嚥下・発音の訓練を主に担当し、高齢患者と小児患者と関わるケースが多いです。

高齢者の摂食・嚥下の訓練

高齢者の死因の上位である誤嚥性肺炎の一因は口腔機能低下。
その予防には口腔ケアが有効と言われています。
「口腔ケアは歯科衛生士の領域では?」と思ったかもしれませんが、歯科衛生士と言語聴覚士では仕事内容が異なります。
歯科衛生士の役割は歯や歯肉の清掃で口腔内の細菌などを減らすこと。一方言語聴覚士は、口腔機能の維持・向上に向けた訓練を行います。

虫歯や歯周病がなくても、噛んだり発音したりする機能が衰えるとQOLは下がってしまうもの。歯科衛生士のケアと言語聴覚士のトレーニングを組み合わせることで、より高齢患者さんのQOLを上げることができます。

具体的なトレーニングの内容としては、誤飲せずに飲み込めるようにする、食べ物が口からこぼれるのを防ぐといった訓練を行います。
その中には、実際に食べ物を食べながら行う直接訓練と、筋力トレーニングやマッサージなど食べ物を使わない間接訓練があります。
訪問歯科に同行し、患者さんの自宅や入所先でリハビリを行うこともあります。

小児の口腔機能の訓練

口呼吸、麺類をすすれない。「そら」が「しょら」に、「きのこ」が「きこの」になるなど発音が不明瞭。うまく噛んだり飲み込んだりできない。
こうした口腔機能発達不全症の原因は、口のまわりの筋肉が正しく使えないことが一因になっている場合があります。
そうしたトラブルにおいて大切なのは、小児期のうちに対処すること。口腔の筋機能に問題があると、栄養摂取に問題が出たり、理解、判断、論理などの認知機能の発達を妨げたりする可能性も指摘されているからです。

また口のまわりの筋肉を使うトレーニングは、歯並びの改善・維持にもつながります。そのため歯科矯正治療の一環として、口腔機能訓練を行うことも多くあります。

言語聴覚士と連携で、よりよい医療を

ここまで見てきたように、「話す」「聞く」「食べる」を専門とする言語聴覚士と連携することで、よりよい歯科医療を提供できるようになります。
よって口腔機能に関わる仕事に関心があるなら、言語聴覚士が在籍している医院で働くのもひとつの方法でしょう。

クオキャリアでは医院情報の「スタッフ」欄に在籍職種の内訳も記載しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

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