こんなにあった! 歯科衛生士に関わる“他職種” |歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#9

こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。

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歯科医院では、どんなスタッフが働いている?

歯科医院で働いているスタッフというと、歯科医師、歯科衛生士がまず思い浮かぶと思います。
でも実は、それ以外にも、たくさんの職種のスタッフがいるんです。
どんな職種があるか、また、それぞれ歯科衛生士の仕事とはどんな関わりがあるのか、一つずつ見ていきましょう!

歯科助手、受付

この2職種は、在籍している歯科医院がほとんどです。
「歯科助手」はアシスト業務を、「受付」スタッフは受付業務を専門的に担当しているので、これらの職種を置いている歯科医院では、歯科衛生士は、歯科衛生士にしかできない仕事に専念しやすいと言えます。
また、歯科助手が「トリートメントコーディネーター」などとして、初診のカウンセリングを担当していることもあります

衛生士学校に入学する前に歯科助手として勤めた経験があったり、学校に通いながら歯科助手のアルバイトをしたりしている人も多いので、馴染みのある職種でしょう。
他業界で社会人経験のある歯科助手・受付スタッフもおり、例えばパソコンスキルや接遇マナーなど、歯科の専門知識以外の部分で学べることも多いです。

なお、「歯科助手」と「受付」は兼務している場合と、それぞれ別に置いている場合があります。

歯科技工士

歯科医師、歯科衛生士と同様に、歯科系の国家資格職です。
補綴物の作製は専門のラボに外注している歯科医院が多いですが、歯科技工士がいる場合は、院内で補綴物を作ることができます。
被せ物を作るときに、歯科技工士が直接患者様と相談をしながら色や形を決めることができるので、治療への満足度が上がります。

また、歯科衛生士が臨床に出てからTEK作成で苦労することが多いので、歯科技工士にアドバイスをもらえると心強いですね。
補綴治療に関する知識も、自然と深まりそうです。

保育士

歯科医院における保育士の主な役割は、子ども連れの患者様が診療を受けている間に、キッズルームや託児室で子どもを預かることです。
また、小さな子どもの診療に一緒に入ってサポートをしてくれる場合もあり、子どもとの接し方のコツを学ぶことができます
小児歯科に関心のある人は、保育士を置いている歯科医院を選ぶと、専門性をさらに高められそうです。

さらに福利厚生の一環として、スタッフが仕事をしている間、保育士が子どもを預かってくれる場合もあります
子育てのプロが同僚にいることで、育児の相談が気軽にできるのもメリットです。

栄養士、管理栄養士

栄養士は、「健康な人への栄養指導ができる人」、管理栄養士は、「病気を持っている人や高齢者などへの栄養指導もできる人」で、どちらも栄養の専門家です。

一般的には、口腔内の環境を整えて「口から食べる」ところまでが歯科医院で扱う範囲ですが、栄養士がいることで、そこから一歩進んで、「食べたものが体にどう取り込まれ、使われるか」まで含めたアプローチができます
お口の健康に対する患者様の意識を、さらに高められるでしょう。

また、離乳食の与え方、食事や間食の摂り方の指導、高齢者の口腔機能に合わせた食形態のアドバイスなども、栄養士や管理栄養士の守備範囲です。
このように見てみると、歯科衛生士と栄養士の仕事は、重なる部分が大きいことがわかります。

特に、予防歯科に本格的に取り組みたい歯科衛生士にとって、栄養士や管理栄養士は、強力な“相棒”になりそうです。

事務長、事務スタッフ

直接患者様に関わるスタッフ以外に、事務専門のスタッフを置いている歯科医院もあります。
「事務長」と呼ばれていることも多いです。
事務スタッフは、採用や人事、保険の手続き、広報活動、業者対応などの裏方業務を専門的に担っています
歯科医師や歯科衛生士の事務作業の負担が軽くなるのはもちろん、直接診療に関わらないスタッフがいることで、職場の風通しが良くなったりもします

事務スタッフを置いているのは、医療法人や大型医院が中心ですが、中には、規模は小さくても事務スタッフを採用していることもあります。
事務スタッフがいることは、「組織」がしっかりしていることの表れでもあり、安心して働ける職場の一つの指標と言えそうです。

なお、事務スタッフは採用窓口になっていることがほとんどなので、求人への応募の際に、密に関わる職種です。
窓口が一本化されていて、また診療時間内でも連絡がつきやすいので、やりとりがスムーズに進むという良さもあります。

クリーンスタッフ

最近は、滅菌や清掃を専門で担う「クリーンスタッフ」を置いている医院が増えている印象があります。
そういった医院だと衛生管理の業務を担ってもらえるため、歯科衛生士の負担が減るというのが一番のメリットでしょう。
また、滅菌・清掃の精度が高まり、感染防止も一層徹底できます。
なお中には、滅菌技師などの資格を持ったクリーンスタッフが在籍していることもあります。

その他の職種

そのほかにも、歯科衛生士に関わりのある職種としては、次のようなものがあります。
頻度としては少ないですが、その分、在籍している場合は、その医院の特色が強く現れていると言えます。

言語聴覚士(ST):「飲み込み」と「言葉」の専門家です。高齢者の摂食・嚥下や、子どもの口腔育成に関心がある人は、STのいる職場を選ぶと、専門性の高い治療に関われるでしょう。

看護師:外科のオペが多かったりと全身管理の必要性が高い歯科医院や、高齢者や障がい者の訪問診療を行っている歯科医院などでは、看護師がいる場合があります。

医師:全身疾患との関連を重視して治療に取り組む医院では、内科医が在籍している場合もあります。「医科歯科連携」が進んだケースと言えるでしょう。

職種の「数」による特色の違い

ここまで、各職種の特徴を見てきましたが、職種の「数」も、その医院らしさを表しています。
例えば、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士という「歯科の有資格者」のみで構成されている歯科医院もあります。
プロフェッショナルな集団として、より質の高い歯科医療を提供しようという方針が伺えます

逆に、上記で挙げたほとんどの職種を網羅しているような、職種数の多い歯科医院もあります。
そうした職場は、さまざまな考え方や年齢、性別、生活背景の人で構成されているため多様性があり、風通しが良い印象を受けます
歯科衛生士としてだけでなく、自分の人生の視野も広がりそうです。

情報収集の際には「職種」もチェックしてみて

歯科に関わる職種の多さに、驚いた方もいるかもしれません。
「スタッフの職種」は、歯科医院のホームページなどでも比較的得やすい情報です。
まずは「どんな人がいるのかな?」と楽しむ気持ちで、ぜひチェックしてみてください。

また、見学の際にも、他職種のスタッフと話したり、職種同士の関わり方に注目してみたりすると、新たな発見が生まれそうです。
異なる職種のスタッフが、互いの役割や専門性を尊重し合っている職場は、歯科衛生士としても働きやすい環境なのではないでしょうか。


ヤナギ

ライター、インタビュアー

2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。

 

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