「研修カリキュラム」があると安心な理由って? |歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#3
こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。
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目次
“研修カリキュラム”って何だろう?
いよいよ就職先が決まり、国家試験に合格し、晴れて歯科衛生士デビュー!…となっても、もちろん最初から一人前に動ける人はいません。
最初のうちは周りの人たちに教わりながら、一歩ずつ一人前の歯科衛生士を目指していくことになります。
その過程の中で、「いつまでに、どのような教育を実施するかを定めたもの」を、“研修カリキュラム”と呼んでいます。
簡単に言えば、新人研修の「スケジュール」「内容」「方法」などを決めたものです。
今回は、この“研修カリキュラム”について、詳しく解説していきたいと思います。
“研修カリキュラム”の例
まずは実際に、どのような研修カリキュラムがあるのか、具体例を見ていきましょう。
スケジュールについては、
「入職後の3日間は座学でオリエンテーション」
「最初の1ヶ月はアシストに専念」
「最初の3ヶ月は小児の診療、4ヶ月目から成人の診療にステップアップ」
「6ヶ月で、定期検診が一人でできるように」
など、時期に分けて目標や業務内容を決めているケースが多いです。
研修内容については、まずは「口腔内写真」「歯周検査」「TBI」などから始め、次に「スケーリング」、そして、「PMTC」「SRP」「ホワイトニング」「訪問」などへとステップアップしていくことが多いようです。
項目の細かさや学ぶ順番は職場によってさまざまで、中には、「下顎のスケーリング」「小児のTBI」など、かなり細かく分けて学んでいく職場もあります。
研修方法としては、OJT(臨床現場での指導)に加えて、実習や勉強会、学んだことが身についているかを確認するための「テスト」を用意している職場も多いです。
さらに、医院の理念やルールを学ぶ座学研修や、言葉づかいや電話応対の練習、マナー講座、メイク講座(!)などがカリキュラムに組み込まれている場合もあります。
“研修カリキュラム”がある良さは?
“研修カリキュラム”について、なんとなくイメージが湧いてきたでしょうか?
「安心できる」「学校みたい」「正直、なんかめんどくさそう…」など、いろいろな感想があると思います。
ここでは一般的に、研修カリキュラムにはどんな良さがあるのかをご紹介します。
①身につける内容が一覧で分かる
カリキュラムはスケジュール表やチェックリストの形になっていることが多いため、学ぶ内容の全体像が把握できます。
②順序立ててステップアップできる
突然難しい処置を担当するのではなく、簡単な業務から一つずつ積み上げていくことができます。
特にテストがある場合は、「合格したら患者様で実践できる」という場合が多く、無理なく次のステップに進めるでしょう。
③自分の成長が目に見えて分かるから、モチベーションが上がる!
「こんなことができるようになった」「次の目標はこれ」という成長の道筋がわかりやすいので、日々の仕事に張り合いが生まれます。
④「教え漏れ」が少ない
カリキュラムが組まれていることで、「これを教え忘れていた」ということが起こりにくいです。
⑤複数の人から教わる場合でも、できること/できないことを共有しやすい
何人かの先輩から交代で教わったり、教育担当以外の先輩から教わったりする際にも、「カリキュラムのここまで進んでいる」というように、状況が共有しやすく安心です。
このように、研修カリキュラムを設けている職場は、「安心して成長できる」職場と言えるのです!
“研修カリキュラム”がない職場=NG?
では、研修カリキュラムがない職場は、「安心して成長できない」のでしょうか?
答えは、「必ずしもそうではない」です。
なぜなら、“あえて”研修カリキュラムを設けていない職場もあるからです。
その理由は、簡単に言うと“型にはめない”ため。
・成長の速さは一人ひとり違うから、ペースを柔軟に合わせてあげたい
・新人さんが得意なことから身につけられるように、教える順序は画一的に決めていない
など、新人さんの個性を大切に考えているからこそ、あえて「カリキュラムがない」場合もあるのです。
そのような職場は、教える「内容」だけは決めてあり、「スケジュール」「順番」「教える方法」などは相談しながらカスタマイズする、ということが多いです。
先輩からも、
・「最初にまとめて教えるのと、その場その場で教えるのとどっちが良い?」と聞いてくれてうれしかった。
・「これをやってみたい」と言うと、できる限り尊重してくれた。
など、個別に対応してくれたことに感謝する声も上がっています。
まとめ:“自分に合った職場選び”と“研修カリキュラム”
先ほど書いたように、研修カリキュラムが設けられている職場は、「安心して成長できる職場」と言えます。
特に、新人歯科衛生士を多く受け入れている歯科医院では、カリキュラムが細部までしっかり整っていることが多いです。
「カリキュラムをこなしていけば、自然と一人前になれる」という安心感が大きい一方で、決まった順序やスケジュールで学んでいくことに、不安や窮屈さを感じる人もいるかもしれません。
「周りのペースについていけるかな…」と心配な人や、逆に「練習よりも、とにかく早く実践をしてみたい!」という気持ちが強い人などは、カリキュラムのない職場の方が、のびのびと成長できる場合もあります。
ただ、研修カリキュラムがない場合、「あえて」カリキュラムを設けていないのか、「新人教育にあまり熱心でない」のかは、求人情報を見ただけではわからないこともあります。
また、カリキュラムがある場合も、実際にどのような内容やスケジュールで進めていくのかまでは、求人情報からは詳しくはわからないことが多いのです。
そのため、やはり実際に見学に訪れて先輩や院長と話をし、「入職後にどのように学べるのか」を自分の目と耳で確かめておくことが一番大切です。
とは言っても、面と向かって「ちゃんと教えてもらえるんですか?」とは、なかなか確認しにくいと思います。
そこで、教育体制について質問するときにおすすめなのが、「どのように学べますか?」という聞き方です。
「どう教えてもらえますか?」ではなく、「どのように学べますか?」と質問すれば、歯科医院側からも「やる気があるんだな!」とプラスに捉えてもらえるはずです。
そして実際に、自分から主体的に学ぶ姿勢を忘れないようにしましょう!
研修カリキュラムを事前にしっかりチェックして、悔いのない歯科衛生士デビューを迎えられることを願っています。
ライター、インタビュアー
2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。