就活ハラスメント|教えて!ビーバー先生 クオ子の就活トラブルSOS #2

就職活動は社会の入り口。学生生活を送るなかでは縁がなかった心配事やトラブルに遭遇することもあるかもしれません。
はじめての職場探しに際し、さまざまな「困った」に直面している歯科衛生士学生の“クオ子”さんが、
歯科業界の採用に詳しい“ビーバー先生”に相談します。

*こちらは、2021年12月発行「就活BOOKクオキャリア冬号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は当時のものとなります。

★第1回「医院見学」前編はこちら
★第1回「医院見学」後編はこちら
★第3回「内定後の取り交わし」はこちら

登場人物紹介

クオ子

クオ歯科衛生士学校の3年生

何事にも一生懸命だが、心配性なのとおっちょこちょいなところがたまにキズ。就活が始まり、周りの友達がどんどん行動しているのに、自分だけ心配事が多くてなかなか進めずにいる。好きな言葉は「明日から頑張る」


ビーバー先生

株式会社クオキャリアの代表取締役社長 中山 豊

社会保険労務士・国家資格キャリアコンサルタントの資格も持ち、長年、歯科衛生士の就職をサポートしてきた経験から、今連載ではDH学生の就職トラブルに対し幅広い視点からアドバイス。最近気になる存在、生態系のキーストーン「ビーバー」に扮して登場。

セクハラにあった医院が魅力的だったら?

クオ子:
ビーバー先生、こんばんは。

ビーバー先生:
こんばんは…。って今は朝だよ! おはよう。

クオ子:
おはようございます…。

ビーバー先生:
おっ、ずいぶん元気がないようだね。

クオ子:
昨日、医院見学に行ってきたんですけどね。帰り際に採用担当の男性から「週末、食事しながら履歴書を添削してあげる。面接で院長先生が見ているポイントも教えてあげるよ」って言われて…。

ビーバー先生:
え、それは採用担当という立場を利用して個人的な付き合いを強要してくる就活セクハラじゃないか。

クオ子:
やっぱりそうですよね…。

ビーバー先生:
なら、その医院には応募しない、ということがはっきりしたんじゃないかな?

クオ子:
でも、歯科衛生士さんたちの雰囲気はすごくよかったし、院内も高級ホテルみたいでとってもきれいなんです。大型の医院で分院も多いから、その人と実際に関わるとは限らないし…。

ビーバー先生:
そんな誘いを平気でする人がいる医院なら、そのケースは氷山の一角かもよ。就活で大切なことのひとつは、ハラスメントをしてくるような医院には絶対に行かない、と最初から心に決めておくことなんだ。その医院がどんなに魅力的に見えても、入ってからきっと後悔するよ! その場でヒューッと熱を冷ましてください。

クオ子:
目を覚ませ、私! ですね。

ビーバー先生:
その通り! 入職前にわかってよかった、不幸中の幸いだったと思おう。

クオ子:
そうですよね。その医院は受けません! 入職してからも悩むところだった…。先生に相談してよかったです。

気を付けたい3つのハラスメント

クオ子:
他にも気を付けたほうがいいハラスメントはありますか?

ビーバー先生:
よく挙げられるハラスメントは3つ。さっき話してくれたようなセクハラの他に、パワハラやマタハラがあるね。

クオ子:
就活でのパワハラってどんなことがありますか?

ビーバー先生:
前回少し話したけど、面接を受けるようしつこく連絡するとか、「内定を出したのだから他の選考は辞退するように」と圧力をかける“オワハラ(就活終われハラスメント)”などは、立場の優位性を濫用して不適当な要求をするパワハラの一種だね。

クオ子:
そっか。それもハラスメントなんですね。「マタハラ」ってなんでしたっけ? 言葉は聞いたことがあるんだけど…。

ビーバー先生:
マタニティハラスメント。妊娠、出産、育児に関することで受けるハラスメントのことだよ。これは就活時というより、入職してから関わってくる話かもしれないね。

クオ子:
えー、心配。どんなことがありますか?

ビーバー先生:
たとえば、妊娠の報告をしたら、正社員からパートになるよう迫ったり、本人が希望していないのにわざと患者を割り振らないなどして、辞めざるを得ないような就業環境を押し付けてきたりね。

クオ子:
そんな医院に入職したら、人生設計が狂っちゃいますね…。

ビーバー先生:
だから、就活ではきちんと確認しておく必要があるんだ。

クオ子:
どうやって確認すればいいんですか?

ビーバー先生:
「現在就業している方の産育休の取得状況はどうですか?」と聞いてみるとかね。実績はごまかせない証拠だから。もちろん、今まで出産・育児をするスタッフがいなかった医院や開業したばかりの医院もあるから、実績だけではわからないこともあるけれど、面接等でしっかりと確認しておくことは大切だね。

クオ子:
それが、将来のマタハラを防ぐことになるんですね。

ビーバー先生:
まさにそうだね!

*産休・育休については法律で定められており、どの医院にも適用される制度です。ただし育児休業については、本人による請求が必要で、取得できる要件が決まっています。

就活ハラスメントを回避するには?

ビーバー先生:
でも何でもかんでもハラスメントだとしてしまうのには注意が必要だよ。逆ハラスメントとかハラハラ(ハラスメントハラスメント)という言葉もあるね。

クオ子:
それ、なんですか?

ビーバー先生:
実際にはハラスメントじゃないのに、過剰に反応してハラスメントだと騒ぎ立てることだよ。常識的な範囲で指導を受けているにもかかわらずパワハラとして訴えたり、職場のルールにそぐわない服装を指摘されただけでセクハラと主張したりがそうだね。

クオ子:
なるほど。

ビーバー先生:
就活中にもあるかもね。遅刻や誤った言葉遣いをするなど社会人としての常識ができていなくて指摘されても、適切な指導ならハラスメントとは言えないよね。

クオ子:
そうですよね。歯科衛生士としても社会人としても、ヒヨッコだという自覚を持たないとですね!

ビーバー先生:
そうだね。ただ、就活の場面にハラスメントがあるということも事実。だから、大切なのはハラスメントとは何かをよく知っておくことなんだ。そうすれば、過剰に反応することもなくなるし、これはハラスメントだ、と気が付けるようにもなるよ。しっかりと理解して就活を進めることで、ハラスメントのある職場に就職するリスクを下げることができ、将来の被害を未然に防げるんだ。

クオ子:
なんだか私の未来も明るくなってきた気がします! さっきまで夜の気分だったので。

ビーバー先生:
こんばんはって言ってたもんね…。

クオ子:
そうだ! 就活でもしハラスメントに遭ったらどこに相談すればいいんですか?

ビーバー先生:
まずはやっぱり学校だよ。こうしたことから学生を守ってくれる、最大の味方だからね! ただ、たとえば学校の先生に紹介された医院だから相談しづらいなどの事情があったら、各自治体が就活ハラスメントの窓口を設けている場合もあるから、そちらを利用してもいいね。東京都では、LINEで就活ハラスメントの相談に応じているよ。

クオ子:
泣き寝入りしなくてもいいんですね。明日からまた元気に就活頑張ります!

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