歯科衛生士のボーナスはいつ?いくら?実態を調査しました!
毎年夏と冬に、テレビやSNSのトレンド欄で話題になることも多い「ボーナス」。
歯科衛生士として働き始めるにあたり、「歯科衛生士にはボーナスがあるの?」「もらえるとしたらいつ?いくら?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
月給が同じでも、ボーナスの有無や支給額によって年収には差が出てきます。「月給の高さに惹かれて入職したけれど、実はボーナスがなかった…」なんてことのないよう、事前にきちんと確認しておきたいものです。
この記事では、平均的な賞与額や支給時期など歯科衛生士のボーナス事情から、求人情報で押さえておきたいポイントまで、わかりやすく解説していきます。
目次
そもそも「ボーナス」って?
ボーナスと賞与、寸志の違い
「ボーナス」と「賞与」は同じ意味。毎月出るお給料とは別に、職場の業績やスタッフそれぞれの頑張りなどに応じて支給されるお金のことです。
求人情報では「賞与」と書かれていることが多いでしょう。
まず知っておきたいのは、ボーナスの支給は法律で義務付けられているものではないということ。
例えば職場の経営業績が悪ければ、ボーナスが支払われなかったり少なくなったりすることもあり得ます。
求人情報に回数や支給額について記載されているからといって、その通りに必ず支給されるとは限らないことを把握しておきましょう。
ちなみに、賞与欄でたまに見かける「寸志(すんし)」は「ちょっとしたお礼、厚意」という意味。
入職して日が浅い人やアルバイトなどは、ボーナスの支給対象とはならないことも多いですが、そういう人に対し頑張りへの評価や今後への期待といった意味で渡されるケースがあります。
支給される時期・タイミング
一般的にボーナスが支給されるのは、夏と冬(6月・12月)の年2回。
支給時期について特に決まりはなく、各職場で自由に設定できます。支給日としては、毎月の給与支給日とは別の日としているケースが多いようです。
なお年2回の支給の場合、それぞれ過去6ヶ月間の職場全体の業績、各人の勤務実績・頑張りに基づいて支給額が決定されます。基準となる期間は、一般的には下記の通りです。
- 夏のボーナス:前年度の10月~3月が評価期間
- 冬のボーナス:その年度の4月~9月が評価期間
支給額は上記期間の実績によって算定されるため、原則その期間に在籍している人が支給対象となります。
ですから例えば4月に入職した人は、その年の夏のボーナスの評価期間には在籍していないため、本来はボーナス支給対象者とはなりません。
ただし、職場によっては、4月以降の実績などで判断してボーナスや寸志を支給するケースもあります。
歯科衛生士のボーナス事情!
歯科衛生士の平均的な「ボーナス回数」は?
クオキャリアのWEBサイトに求人掲載している歯科医院のボーナスの回数を調べたところ、「年2回」が約94%(2024年9月調べ/以下同様)となっており、一般企業の平均ボーナス回数と同様でした。
しかし一部では、下記のようなボーナス制度を取り入れている歯科医院もありました。
- 年3回・4回・5回支給
- 年2回のほかに決算賞与がある(経営業績により決算月にプラスで賞与を支給)
- 年2~3回、年2~4回など、支給回数に幅がある(その年の業績次第)
- ボーナスを12回に分け、毎月お給料と一緒に支給
ちなみに、一般的にはパート・アルバイトにはボーナスが支給されないことがほとんどです。
ただし、中には正社員と同等ではないにしてもパートにも毎回ボーナスを出したり、特別に寸志を支給したりといった職場も見られます。
歯科衛生士の平均的な「ボーナス額」は?
厚生労働省が、従業員が10人以上在籍している歯科医院や病院で働く歯科衛生士について調べたところによると、2022年 の1年間のボーナスの平均額は約49万円という結果でした。ボーナスは年に2回支給されるのが一般的ですので、1回あたりとすると約24.5万円となります。
年齢別に見てみると、概ね年齢が上がるに伴って支給額も増加していきます。
年齢 | |
---|---|
25~29歳 | |
30~34歳 | |
35~39歳 | |
40~44歳 | |
45~49歳 | |
50~54歳 | |
55~59歳 | |
60~64歳 | |
全体 |
※厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/index.html
ボーナスの計算方法って?
ボーナスの支給額はどのように計算されるのでしょうか。求人情報の賞与欄では、下記のような記載がよく見られます。
つまり年間のボーナス額は多くの場合、支給回数のほか「基本給がいくらか」「基本給の何ヶ月分か」によって決まってきます。
では実際に、「月給は同じ24万円で賞与は年2回」だけれども「基本給」および「基本給の何ヶ月分支給か」が異なるケースについて、ボーナス支給額を見てみましょう。
月給 | 基本給 | 基本給の 何ヶ月分支給か (前・後期合計) |
ボーナス年間 支給額 |
---|---|---|---|
月給・ボーナス支給回数が同じでも支給額にこれだけの差が出てきます。
収入重視の方は、求人情報の
②年間で基本給の何ヶ月分支給されるのか
をチェックし、年間のボーナス支給額を試算してみてください。
クオキャリアに掲載されている求人を調べてみると、最も多かったのは「年間で基本給の2ヶ月分支給」で、平均すると「年間約2.4ヶ月分」でした。
なお、中には「5.4ヶ月分」という医院もありましたが、これだけで「5.4ヶ月分の医院はボーナスをたくさんもらえる」と判断することはできません。「基準となる基本給が安くて、思ったよりボーナスが少なかった…」ということもあり得ますので、基本給と併せて確認することが大切です。
また、具体的な支給額を定めずに、「実績・医院業績による」としている歯科医院も多数見られます。
「そういう医院はボーナスの支給額がわからないから避けた方がよい」と考える方もいるかもしれませんが、そこを医院選びの基準にするのはあまりおすすめしません。
と言うのも、賞与について具体的に記載してあったとしても、それはあくまでも業績などが見込み通りだった場合の予定額。医院の業績や本人の評価などによって、実際に支給される額が入職時の予定と異なることがあることを理解しておきましょう。
ちなみに、ボーナスは毎月の給与と同じように、所得税や社会保険料などが天引きされて支給されます(住民税の天引きはありません)。よって求人情報に書かれている「総支給額」と実際の「手取り」は異なりますので注意を。手取り額の目安は、総支給額のおよそ「8割」と考えておきましょう。
ボーナスがない歯科医院もあるってホント?
ボーナスの制度がない歯科医院の割合
通常のお給料と異なり、労働基準法ではボーナスの支給回数や支給額については定められていません。賞与制度の「あり・なし」自体も職場に委ねられています。
そのため、中には「賞与がない」という職場も存在しますが、クオキャリアのWEBサイトに掲載されている求人においては、「賞与がない」もしくは「支給するか自体も業績による」という医院は2%以下。
ほとんどが賞与ありの求人となっています。
ボーナスがない歯科医院はよくない?
「ボーナスがない」ことについてマイナスの印象を持つ方も多いかもしれませんが、実際にボーナスがないのはどんな医院なのでしょうか。クオキャリアに掲載されている医院の中では、下記のようなケースがよく見られます。
- ベースの給与が比較的高く設定されている
- インセンティブ(歩合)制度が設けられている
そのような場合だと、年収で見たらボーナスがある医院と変わらなかったり、むしろ多かったりする場合もあります。つまり「ボーナスがない=収入が少ない」とは言えないのです。
また、そういった医院のメリットとして「ボーナスカットの心配がなく、安定した収入を得られる 」ことが挙げられます。
前述したように、ボーナスは必ず支給することが義務付けられているものではないので、医院の経営状態が悪化した場合などにはカットされる可能性もあります。
毎月の給与は支給しなかったり簡単に下げたりはできないため、「ボーナスがなくても毎月の給与額が高く設定されている」方が収入が安定していると考えることができます。
自分が気になった医院がボーナスのない職場だった場合は、すぐに選択肢からはずしたりせず、給与や手当の詳細を見て年収がどうかを確かめるほか、他の条件もチェックした上で判断しましょう。
入職したら、ボーナスはいつから・いくらもらえる?
新卒の場合、賞与は後期(冬のボーナス)から支給されるのが一般的。中途入職においても、ボーナスが支給されるのはおよそ半年がたってからと考えてよいでしょう。
クオキャリアに掲載されている求人を見てみても、ボーナスの支給のある医院のうち入職1年目の前期にボーナスを支給している医院は約11%でした。「もらえると思っていたのにガッカリ」「賞与が原因でトラブルに…」とならないよう、注意が必要です。
では、冬のボーナスはいくらくらいもらえるのでしょうか? クオキャリアに掲載している歯科医院を参考に見てみましょう。
- 新卒給与の平均=259,302円(基本給平均195,510円)
- 後期のボーナスの支給額の平均=基本給の約1.3ヶ月分
⇒ 基本給195,510円×1.3ヶ月分=254,163円
医院によってかなり差があるとは思いますが、冬のボーナスはだいたい月の給与と同じくらいの額のところが多そうです
まとめ
年収に大きく関係してくるボーナス。
毎月のお給料だけでなく、賞与があるのか・何ヶ月分もらえるのかなども、きちんと求人情報で確認しておくのが大切です。
なお、具体的なことが求人情報に書かれていない場合でも、見学や面接で「ボーナスはいくら出ますか」のように直接的に聞くのはあまりよくありません。
どうしても気になる場合は、待遇ばかり気にする人という印象をもたれないよう、まず仕事内容や教育体制についての質問をしたうえで、最後に確認してみましょう。先輩とのざっくばらんとした面談の機会などがあれば、そこでさりげなく聞いてみてもよいかもしれません。聞き方としては、「一人暮らしをするので年収の目安を知りたい」など、自分の事情について説明しつつ少し遠回しな表現をするのがおすすめです。
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今回の記事では「ボーナス」について取り上げましたが、就職してからのマネープランを考える上では、ボーナスを含め多方面から収入について確認しておく必要があります。
また、求人情報の内容を正しく理解できるよう関連用語の意味をきちんと把握したり、平均的な歯科衛生士の場合はどうなのかを知っておくことも大切です。
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