資産を増やすだけでなく、未来とキャリアを見据えた自己投資をしよう|歯科衛生士の不安をお金のプロに相談してみた!#3
歯科衛生士として働いているけど、他の人はどのくらいお給料をもらって、どんな生活をしているんだろう……?
そんな気になるお金事情について、紐解いていく本企画。現役歯科衛生士さんが、ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さんにお金の悩みを相談する連載です。収入や支出を見直しながら、今後のお金の使い方について考えていきます。
今回のお悩み相談者は、本田さん(仮名)。マスコミ関係で働いた後、夜間の専門学校に通って歯科衛生士の資格を取得した経歴の持ち主です。第3回では、自己投資や金融投資への考え方を深掘りしていきます。
第1回 高給だけど激務のマスコミから転職! 暮らしとお金はどう変わった?
第2回 将来が不安なら、まずは老後資金の見積もりを出してみよう
第3回 資産を増やすだけでなく、未来とキャリアを見据えた自己投資をしよう(こちらの記事)
本田さん(仮名)
30代後半。夫と2人暮らし。もともとマスコミで医療や健康分野の取材などを行っていたが退職し、その後に歯科衛生士資格を取得。歯科関係の会社を経て、現在は教育機関の研究に携わる独立行政法人で働いている。すでにある程度の資産を築いているものの、将来が不安。
ファイナンシャル・プランナー 小沢美奈子さん
大学卒業後、損害保険会社(現あいおいニッセイ同和損保株式会社)に就職し、事務、社員教育、講師など幅広く経験。その後転職を経て、2015年に独立。日経WOMANなどでもマネー記事を執筆するなど、マネーライターとしても活動中。
https://kandbplanning.org/
目次
歯科衛生士になれたからこそ投資にチャレンジできた
FP小沢さん 本田さんはすでに総資産が2,300万円(将来もらえる個人年金保険の想定額も含めて試算/公的年金は含めず)ほどあり、毎月貯金やNISAでの投資などもしっかりできていますね。このまま続けていけば、順調に資産を築けると思います。本田さんが投資を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
本田さん もともとはマスコミ勤務で収入も多かったんですが、退職後に前の夫と離婚したり、歯科衛生士学校の学費が必要だったりして、数年前まで本当にお金がなかったんです。どん底でした。
FP小沢さん それは大変でしたね。
本田さん 藁にもすがる思いでFPさんに相談したら、「お金がないときこそ外貨建保険(※1)ですよ!」と言われて。当時はその意味があまりわかってなかったんですが、「一旦、このFPさんのことを信じてみよう」と思って。毎月3〜4万円を外貨建保険に入れて運用してもらっていたんです。そうしたら、為替の変動があって、約1.5倍まで増えたんですよ。
※1:外貨建保険とは、払い込んだ保険料を米ドルなどの外貨で運用する保険のこと
FP小沢さん すごいですね。かなり増えましたね……!
本田さん 外貨建保険に加入した当時は1ドル110円程度でしたが、今は150円ほど(取材をした2024年6月時点情報)になっているので、本当にタイミングがよかったんだと思います。お金を入れたあとは放っておいたので、久々に確認をしたらすごく増えていてびっくりしました。当時のFPさんには本当に感謝しています!
FP小沢さん これはFPさんのアドバイスが的中した、かなりラッキーなパターンですね……! 本田さんもおっしゃる通り、外貨建保険を活用すれば大儲けできる、というわけではないので注意してください。
本田さん そうですよね。今は外貨建保険を解約して、そのお金で株式投資をしています。今株式投資の資産が700万円ほどあるのですが、これもたまたま買ったアメリカ株の株価がすごく上がって。本当に運が良かったんですよね。
FP小沢さん 幸運に恵まれていますね。数年でここまで資産を増やせたのは、本当にすごいことだと思います。
本田さん 私は歯科衛生士の資格を取った後、「この資格があれば、一生仕事に困ることはないな」と思ったんです。歯科衛生士はクリニックの求人も多いですが、それ以外の働き口もたくさんあるんですよね。
FP小沢さん たとえば、どんな働き方があるんでしょうか。
本田さん 私の場合、歯科衛生士としての知見とライティングのスキルを掛け合わせて記事を書いたり、全く別の業種の企業から依頼を受けて歯科衛生に関する講演をしたりしています。他にも、意外ですが、ご遺体の身元確認現場でも、実は多くの歯科衛生士が活躍しています。警察署からの依頼を受けて、歯科医師と連携して識別するんです。
FP小沢さん なるほど。たくさんの活躍の場があるんですね。
本田さん そうなんです。歯科衛生士資格を持っていれば、きっと仕事はなくならない。だからこそ、投資に力を入れられました。
「勉強」はどんなときも自分を裏切らない
FP小沢さん 本田さんは将来を見据えてキャリアチェンジをしたり投資をしたりと、とても意欲が高いですね。素晴らしいです。
本田さん 私、勉強にかかるお金は惜しまないと決めているんです。歯科衛生士の資格だけではなく、他の歯科系の資格も取ったり、いくつか学会に入ったりもしています。今は社会福祉士の資格を取るために、通信制の学校にも通っているんです。
FP小沢さん 熱心ですね。歯科衛生士の仕事は、勉強すればするほど面白いと聞きます。所属されている学会は、誰かの薦めで入られたんですか?
本田さん いえ、個人で入りました。院長とか、誰かに指示されて入っていたら勉強しなかったと思います。でも自分の意思で入っているので「頑張って勉強しよう」と思えるんです。歯科衛生士も個人で学会に所属できるんですよ。
FP小沢さん 自分で決めて、自分のお金で学ぶことが大事ですね。
本田さん 勉強せずに後悔する人は多いですが、勉強して後悔した人は見たことないですよね。私、これまで離婚とか色々あって落ち込むことも多い人生だったんですが、はっきり言えます。勉強は自分を裏切らないです!
FP小沢さん エネルギーに満ちている本田さんとお話していると、こちらまでパワーをもらえますね。その姿勢を見習っていきたいです。
本田さん 20代は全力で働いてきたので、30代はそのキャリアを持って勉強に磨きをかけたり資格を取ったりする。そうすると、40歳からまた楽しみに生きていけるんじゃないかなと思っています。これからも頑張ります!
本田さん「将来は歯科衛生士の社会的地位を上げていきたい」
FP小沢さん 本田さんは今後歯科衛生士としてやりたいことや目標はあるのでしょうか?
本田さん 歯科衛生士の社会的地位を上げていきたいです! 世の中ではまだまだ「歯科衛生士=クリニックで歯を磨く人」という印象を持っている人が多いと思いますが、それだけではないんですよね。もっとたくさんの可能性がある職ですし、歯科衛生士のみなさんには、「歯科衛生士がいるからこそ、みんなの歯を守れているんだ!」という気持ちで働いてほしいです。
FP小沢さん ご自身のことだけでなく、業界のことまで考えていらっしゃるんですね。
本田さん はい。本当に歯科衛生士資格を取ってよかったと思っています。歯科衛生士でいることを誇りに思っていると、周りからも「私の歯ブラシこれでいいかな?」とか、ちょっとした相談をされることもあるんですよ。人間関係の潤滑油にもなります。素晴らしい仕事なので、もっと広まればいいなと思います。
FP小沢さんのまとめ:将来を見据えた自己投資をしよう
本田さんは、FPさんにおすすめされた外貨建ての保険で資産を増やすことに成功しています。もちろん資産を増やすために保険商品を活用するのもひとつの手法ですが、外貨建ての保険は常に為替の影響を受けるため、あくまで余裕資金の範囲内で加入することが基本。投資をする際はきちんとリスクを把握し、自分に合った商品を選ぶのが大切です。
またFPにもさまざまなFPがおり、保険商品の販売も行っているFPの場合、保険会社側が売りたい商品をおすすめしてくるケースもあります。そのようにFPさんのアドバイスには、商品の販売目的も含まれている場合があることや、保険料には保険会社の手数料が含まれていることなども把握したうえで、慎重に検討しましょう。
そしてお金は、増やすだけでなく使うことも大事。本田さんのように、将来のキャリアアップなどを見据えて「自分に投資する」こともぜひ考えてみましょう。歯科衛生士は有効求人数も多く、とても安定した仕事です。生活費や貯金額とのバランスも見つつ、勉強や資格取得などの自己投資に向き合ってみては。
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