高給だけど激務のマスコミから転職! 暮らしとお金はどう変わった?|歯科衛生士の不安をお金のプロに相談してみた!#1

歯科衛生士として働いているけど、他の人はどのくらいお給料をもらって、どんな生活をしているんだろう……?

そんな気になるお金事情について、紐解いていく本企画。現役歯科衛生士さんが、ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さんにお金の悩みを相談する連載です。収入や支出を見直しながら、今後のお金の使い方について考えていきます。

今回のお悩み相談者は、本田さん(仮名)。大学卒業後にマスコミ関係で働いた後、歯科衛生士学校の夜間部に通って歯科衛生士の資格を取得した経歴の持ち主です。まったくの異業種転職ですが「キャリアチェンジしてハッピー!」と語る本田さんに、歯科衛生士資格を取得した背景や、お金の使い方の変化について全3回で伺います。


第1回 高給だけど激務のマスコミから転職! 暮らしとお金はどう変わった?(こちらの記事)
第2回 将来が不安なら、まずは老後資金の見積もりを出してみよう
第3回 資産を増やすだけでなく、未来とキャリアを見据えた自己投資をしよう


お悩みを相談するのは……
本田さん(仮名)
30代後半。夫と2人暮らし。もともとマスコミで医療や健康分野の取材などを行っていたが退職し、その後に歯科衛生士資格を取得。歯科関係の会社を経て、現在は教育機関の研究に携わる独立行政法人で働いている。すでにある程度の資産を築いているものの、将来が不安。

お悩みを受け止めるのは……
ファイナンシャル・プランナー 小沢美奈子さん
大学卒業後、損害保険会社(現あいおいニッセイ同和損保株式会社)に就職し、事務、社員教育、講師など幅広く経験。その後転職を経て、2015年に独立。日経WOMANなどでもマネー記事を執筆するなど、マネーライターとしても活動中。
https://kandbplanning.org/

高給だけど激務のマスコミから転職! 歯科衛生士資格を取得して変わった暮らし

FP小沢さん 本田さんは、30代で歯科衛生士の資格を取得されたんですよね。これまでの経歴や、資格を取得した理由を伺えますか?

本田さん 新卒からの8年間、マスコミ関係で働いていました。そこで医療系の取材に関わることが多かったこともあり、その後退職して歯科関係の記事を書くライターになったんです。そこで「マスコミでのキャリアにもう一つ、掛け合わせられるスキルが欲しい」と考えるようになり、フリーランスとして働きながら歯科衛生士学校の夜間部に通いました。卒業後は独立行政法人で働いています。

FP小沢さん すごい経歴ですね……! マスコミ関係の仕事から、大幅なキャリアチェンジをしようと思ったのはなぜですか?

本田さん マスコミ時代は勤務時間が長くて、とにかくハードな働き方をしていたんです。身体がもたないですし、30歳までには退職して大学で学び直しをして、マスコミで身につけたスキルも活かせる仕事をしたいと考えていました。もともとは医学部に入りたかったんですけど、金銭的な事情もあるし、流石にハードルが高くて。そこで歯科衛生士の専門学校に通うことにしたんです。

FP小沢さん 20代の頃から、将来を見据えて学び直しやキャリアチェンジを考えていたんですね。

本田さん 歯科衛生士は歯科医師のサポート役だと思ってたんですが、歯科の業界に転職してから考えが変わりました。専門性の高い歯科医師と出会ったり、業務を通してメーカーとのつながりができたりしてから、歯科の世界の奥深さに気づきました。

年収自体は減ったものの、労働環境も良くなりましたし、やりがいを持って仕事に取り組めているのでハッピーです!

安定した収入や資産があっても将来が不安!?

FP小沢さん 本田さんは、お金の管理はどのようにしていますか? 前職時代の貯金も結構あったのでは。

本田さん マスコミ時代は、全然お金の管理をしてなかったんです。正直な話、年収が約1,000万円あったのでお金に困ることはなく、何にいくら使っているのか全くわかっていなくて……。でも、退職後に前の夫と離婚したり、歯科衛生士専門学校の学費が必要だったりして金銭的に厳しくなったことをきっかけに、一円単位で家計簿をつけるようになりました。投資を始めたのも、今の職に就いてからです。

FP小沢さん 大変な中で、家計簿や投資を始めたことは素晴らしいですね。転職したことで生活は変わりましたか? 現在の家計簿を見ると、今もお給料は十分もらっていると思いますが、マスコミ時代が高給だった分、多少のギャップはあったと思います。一度上げた生活水準は下げられないとよく言いますが、どうでしょうか。

本田さん 外食から自炊に切り替えました。以前は余裕がなくて料理もできなかったんです。今はなんとなくコンビニに行くことも一切なくなりました。健康的な暮らしができていますし、年収が減ったとしても今の方が幸せ。転職して本当によかったと思います。

FP小沢さん それはよかったです! 本田さんは以前よりは年収が下がったとはいえ、今のお給料や貯金額も、一般的には多い方だと思います。それでもお金の不安があるのでしょうか?

本田さん 仕事で難病患者さんの元を訪れた際に、病気になると莫大なお金がかかると聞いて……。自宅の改修や特注のベッドは補助金が出ず、自費負担の部分も多いそうなんです。

FP小沢さん それは確かに不安になりますよね。

本田さん 今は再婚しましたが「ある程度の蓄えは自分で用意しておかないといけないな」と考えると、どうしても不安になるんです。

FP小沢さん なるほど。病気になったときは、病気の種類にもよりますが、医療費の負担を補う制度(※1)が自治体や国で用意されています。また、介護が必要なときは、介護保険も利用できる場合もあります。

全ての医療費を公費で賄えるわけではありませんが、『〇万円貯めれば大丈夫』とも言えません。まずは、今の本田さんの資産状況を詳しく見ていきましょう!

※1:医療費が1カ月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度

半年分の生活費は現金で確保しておこう

FP小沢さん 本田さんは個人資産が約2,300万円あるとのことですが、その内訳を教えていただけますか?

本田さん 株式・投資信託が約700万、FXが25万、現金はちょっと少なくて200万円ほどです。あとは民間の生命保険に2つ入っているので、その分を合わせるとこれくらいになるだろう、という計算です。

FP小沢さん 生命保険はどのようなプランに加入していますか?

本田さん 1つは70歳以降に分割してお金が受け取れるもの。こちらの保険料はすでに一括払い済みです。もう1つは毎月1万円の保険料を払うと、70歳以降の10年間は確定年金(※2)として受け取れるものです。

FP小沢さん しっかり老後を考えて投資をされていますね。気になる点としては、資産の割に現金が少ないところです。急な怪我や病気で働けなくなるといった不測の事態に備えて、半年分の生活費は「生活防衛資金」として用意しておきたいですね。

本田さん やっぱりすぐ引き出せる現金は必要ですね。

FP小沢さん そうですね。ちなみに、本田さんは毎月の生活費がどれくらいか、把握できていますか?

本田さん 毎月夫から渡される12万円の中から、光熱費以外の夫婦の生活費を賄っています。12万円の内訳は食費、2人で行くレジャー費、衣料品などですね。自宅は夫が結婚前に購入した持ち家でローンはなく家賃はゼロ、光熱費は2万円ほどなので、夫婦の生活費は月14万円くらいです。

FP小沢さん 収入に対して堅実ですね。

本田さん 自分のお給料は自由に使っていいことになっていますが、毎月10万円を夫婦の共通口座に入れる約束をしていて、それが今340万円貯まっています。

FP小沢さん 個人の貯金200万円と、夫婦の共通口座に入れている340万円が生活防衛資金になりそうですね。この調子で貯金と投資も続けていけば、順調に資産が築けると思います!

※2:確定年金とは、生死に関係なく、契約時に定めた年金受取開始時期から一定期間、年金が受け取れる個人年金保険商品です。

FP小沢さんのまとめ:お給料だけで判断せず、将来を見据えた働き方を

マスコミ職からキャリアチェンジして歯科衛生士の資格を取得した本田さん。無理なハードワークは、体調を崩してしまう危険性があります。さらにはストレスによる無駄使いに繋がる可能性も……。

本田さんのように自分がハッピーだと思える働き方をすることはとても大事です。具体的な投資の方法については、また次回考えていきましょう!

 

★第2回記事は「将来が不安なら、まずは老後資金の見積もりを出してみよう」です

 

イラスト/斎藤充博
編集/ピース株式会社


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