就職先が合わなくても、環境を変えれば仕事は続けられる|歯科衛生士の不安をお金のプロに相談してみた!#1
歯科衛生士として働いているけど、他の人はどのくらいお給料をもらって、どんな生活をしているんだろう……?
そんな気になるお金事情について、紐解いていく本企画。現役歯科衛生士さんが、ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さんにお金の悩みを相談する連載です。収入や支出を見直しながら、今後のお金の使い方について考えていきます。
今回のお悩み相談者は、浅川さん(仮名)。現在は訪問専門の歯科衛生士として、週に2日パートタイムで働いています。初回は「万が一のときのためにお金を貯めておきたい」と考える浅川さんに、お金への不安を抱えたきっかけやワークスタイルについて伺います。
第1回 就職先が合わなくても、環境を変えれば仕事は続けられる(こちらの記事)
第2回 もしもの病気に備えるために、しておくべきことは?
第3回 無理のない資産運用をするには?
浅川さん(仮名)
20代前半。実家暮らし。歯科衛生士になって3年目。新卒で一般歯科に勤めるも、3ヶ月で退職。現在は訪問専門の歯科衛生士として働いている。入院した経験から「万が一のときのためにお金を貯めておきたい」と考え、投資への興味もある。
ファイナンシャル・プランナー 小沢美奈子さん
大学卒業後、損害保険会社(現あいおいニッセイ同和損保株式会社)に就職し、事務、社員教育、講師など幅広く経験。その後転職を経て、2015年に独立。日経WOMANなどでもマネー記事を執筆するなど、マネーライターとしても活動中。
https://kandbplanning.org/
目次
外来から訪問専門の歯科衛生士に転職
FP小沢さん 浅川さんは、現在パートタイムで歯科衛生士の仕事をしているそうですね。具体的なアドバイスをするためにも、まず浅川さんのここまでの経歴を教えてください。
浅川さん 小さい頃に歯列矯正をしたり、親戚に歯科衛生士がいたりしたので、「歯科衛生士」が身近な存在だったんです。そこで自分もこの仕事に興味を持って、高校卒業後に1年間歯科医院でアルバイトをした後、19歳で専門学校に入学しました。卒業後は一般歯科で働き始めたんですけど、そこは3ヶ月で退職してしまって……。
FP小沢さん そうだったんですね。退職理由を伺ってもよろしいですか?
浅川さん 売り上げの数字を第一に考える医院の方針が合わなかったり、人間関係も上手くいかなかったり……。しんどいな、と思っているうちにちょうど体調を崩して入院が必要となり、そのまま退職してしまいました。
FP小沢さん それは大変でしたね。無理せずに、辞める決断ができて良かったです。
浅川さん 「まずは体調を立て直して、それからまた歯科衛生士として働けるところを見つけよう」と考え、退職に踏み切れました。その後、専門学校時代の友達の紹介で、訪問専門の歯科衛生士として働き始めたのですが、また体調を崩してしまって……。現在は週2日のパートタイム勤務に切り替えて働いています。
FP小沢さん 浅川さんの健康が、一番大事ですよ。パートに変更できて良かったです。
浅川さん パートになってから、休日は療養していたのですが、だんだん他の仕事にも興味が湧いてきたんです。体調も良くなってきたため、今は動物病院でも週に3日、アルバイトとして働いています。動物が好きなので、仕事は楽しいです。
FP小沢さん 週に2日は訪問専門の歯科衛生士、3日は動物病院のスタッフとして働いているということですね。現在の収入の内訳は?
浅川さん 浅川さん 歯科衛生士としての収入が約10万円、動物病院のアルバイト収入が交通費なども含めて約5万円。手取りとしては、合わせて約13万円です。フルタイム正社員として働いている人と比べると収入が少ないので、その中でどのようにお金を貯めていけばいいのか相談したいです。
訪問歯科は非常勤でも働きやすく、人間関係も気楽
FP小沢さん 浅川さんのような20代の歯科衛生士さんで訪問専門で働く方は、比較的珍しいと思います。出勤時はどんなタイムスケジュールなのでしょうか?
浅川さん 朝9時に出勤して、訪問車で施設や個人の居宅に1〜2軒伺います。お昼休憩を挟んで、また数軒訪問して、夕方には退勤するスケジュールですね。
FP小沢さん 外来よりも退勤時間が早いので、体調管理もしやすそうですね。
浅川さん そうですね。また私の職場では、歯科衛生士は1人か2人体制で訪問することが多いのですが、曜日によってペアの相手も変わるので、人間関係に悩むこともないんです。外来の歯科医院に勤めるより、訪問の仕事が自分には合っているなと感じています。
FP小沢さん 人間関係のストレスがないのは、本当に良かったですね。治療方針も、外来とは違いますか?
浅川さん はい。外来の場合は決まったアポイント枠内で診療を行うため、患者さんとコミュニケーションを取ることがあまりできなかったんです。でも、訪問の場合はコミュニケーションありきの仕事。こちらから定期的に足を運び、信頼関係を築きながら口腔環境を改善していくので、楽しいです。
FP小沢さん 浅川さんが楽しく働けていると聞いて、安心しました。
浅川さん ただ、ケアマネジャー(介護支援専門員)さんと患者さんのご家族への連絡、書類の作成など臨床以外の業務も多いです。そうした作業が追い付かないときには、サービス残業でどうにかすることもあって……正直、待遇面では不満もありますが、それでも前の職場よりはだいぶ働きやすいです。
FP小沢さん 今後も今の働き方は続けていけそうですか?
浅川さん 歯科衛生士の仕事は好きなので、続けていきたいです。年内には動物病院のアルバイトを辞めて、来年からは歯科衛生士としての出勤日を増やしたいと思っています。今はパートタイム勤務なので国民年金なのですが、週4日働けば収入も増やせますし、厚生年金にも加入できるので。
FP小沢さん 厚生年金になると将来もらえる年金の金額が大きく増えるので、できれば加入したいところですね。
浅川さん そうなんです。年内は体調を整えて、来年以降に出勤日や待遇を職場に相談しようと考えています。とはいえ収入を増やせるのは少し先かもしれないので、万が一の出費に備えたり、貯金を増やす方法についてご相談したいです。
「病気やケガ、トラブルに備えて資産を増やしておきたい」
FP小沢さん 浅川さんが貯金を増やしたいと考える一番の理由はなんですか?
浅川さん 体調を崩して入院をしたときに、まとまったお金の出費があったんです。それに、休んでいて収入はないのに、健康保険料や年金の支払いはしなきゃいけない。貯金で賄えたのですが、それがなかったらと思うとゾッとします。今後もっと大きな病気に罹ったり、急にお金が必要になることがあっても慌てないように、しっかり貯めておきたいんです。
FP小沢さん 大変でしたね。この連載では他の方にも「生活防衛資金」を貯めておくことの大切さをお伝えしましたが、まさに浅川さんはそれがしっかりできていたんだと思います。一度貯金が大きく減ったあとでも、現在100万円ほど貯まっているのは素晴らしいですよ。浅川さんは、もともと堅実なお金の使い方をしているのだと思います。
浅川さん ありがとうございます。今は実家暮らしですし、最悪の場合は家族に頼ることができるかもしれませんが、飼っている猫だけは自分でどうにかしなきゃと思っていて。しっかりと備えていきたいです。
FP小沢さん 猫も大切な家族です。次回以降、自分や猫を守るための備えや、具体的なお金の貯め方を詳しくお話していきましょう!
FP小沢さんのまとめ:健康第一に働きつつ、貯金&資産運用をしていこう
「歯科衛生士の仕事は好きだけれど、今の職場は合わないかも……」と思ったら、浅川さんのように環境を変えてみることをおすすめします。歯科衛生士は全国各地で求人があるので、きっと大丈夫。まずは自分が心身ともに元気に働ける環境を整えることが最優先です。次回から、貯金や資産運用について具体的に考えていきましょう!
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