「歯科医院の仕事がキツすぎて……」|歯科衛生士の不安をお金のプロに相談してみた!#2
歯科衛生士って、手取りはいくらで、お給料をどう使っているんだろう……? みんなのお金の話って気になるけれど、話しにくいですよね。
現役歯科衛生士さんが、ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さんにお金の悩みを相談する連載です。
今回お悩みを相談するのは歯科衛生士5年目の渡辺さん(仮名)。
渡辺さんの悩みは、仕事のストレスのためにお金を浪費してしまうこと。どうやってお金を貯めたらいいか悩んでいます。
第1回 仕事のストレスから来る浪費を止めたい
第2回 歯科医院の仕事がキツすぎて……(こちらの記事)
第3回 結婚前に借金(奨学金)を返済したい
渡辺さん(仮名)
30代前半。実家で母との2人暮らし。歯科衛生士になって4年目。仕事が忙しく、ついつい浪費してしまうことが悩み。
ファイナンシャル・プランナー 小沢美奈子さん
大学卒業後、損害保険会社(現あいおいニッセイ同和損保株式会社)に就職し、事務、社員教育、講師など幅広く経験。その後転職を経て、2015年に独立。日経WOMANなどでもマネー記事を執筆するなど、マネーライターとしても活動中。
https://kandbplanning.org/
目次
10年間一つの歯科医院に勤める
FP小沢さん 渡辺さんがお勤めしているのは、どんな歯科医院なんでしょうか?
渡辺さん 地域密着型で、保険診療中心の歯科医院です。歯科衛生士に対するインセンティブなどはないですね。私は歯科助手として6年、その後に歯科衛生士として4年、働いています。
FP小沢さん 勤続10年はすごいですね。どうしてそんなに長く勤められたんですか?
渡辺さん 院長の人柄です。助手時代に「私ももっと院長の力になりたい」と思って歯科衛生士の資格を取りました。
FP小沢さん 素晴らしいですね。 そう思っても、資格を取るところまでできる人はなかなかいないのではないでしょうか。
仕事がハードすぎて家で泣いてしまうことも
FP小沢さん ただ前回「職場でのストレスがかなり強くて浪費をしてしまう」という話をお伺いしました。ストレスはどんなところにあるんでしょうか?
渡辺さん 人には恵まれているんですが、仕事がハードすぎるんです。歯科衛生は私ひとりだけなので、なんでもやらなくてはいけません。まず、歯科衛生士として患者さまを1日20人ほど診ています。さらにTECを作ったり、受付や会計、洗い物などもしているんですよ。
FP小沢さん (同席していたクオキャリア編集部に)これはどのくらい大変なんでしょう?
クオキャリア編集部 渡辺さんのお話を伺う限り、仕事量がすごく多いように思います。メンテンスの担当数も多いですし、歯科衛生士の専門業務ではない受付や洗い物までやっているのは、辛いですね……。
渡辺さん 仕事が辛すぎて家で泣いてしまうこともあります。……実は今年の11月で辞める予定なんです。院長には既に伝えていて、了承済みです。
FP小沢さん まずは、本当にお疲れ様です。そこで激務からは解放されるわけですね。
歯科衛生士ならブランクがあっても復職は容易
FP小沢さん 現在の職場を辞めた後の予定はありますか?
渡辺さん 実は、現在外国人の恋人がいて、彼と結婚したいと思っています。職場を辞めた後は彼の母国に、一定期間ワーキングホリデーで住むつもりです。
FP小沢さん そうなんですね! 将来的には、日本にまた戻ってくるのでしょうか?
渡辺さん 一度戻ってきて、復職するつもりです。でも、将来のことはまだ自分でも分かりません。
FP小沢さん 海外の歯科衛生士事情についてはなんとも言えないので、とりあえず日本で歯科衛生士を続けることについて考えてみましょう。
まず、歯科衛生士はブランクがあっても売り手市場です。それに加えて国も復職支援を行っています。医療は日進月歩ですが、こうした支援を受けることで復職の壁は低くなると思います。
渡辺さんは英語を話せますか……?
渡辺さん ある程度は話せます。そもそも彼と知り合ったのは英語学習のマッチングアプリがきっかけだったんです(笑)。
FP小沢さん 英語ができると就職が有利になる地域もあります。東京の六本木や渋谷、神奈川の横須賀あたりは海外の方が多いので、特にそうした傾向があるようですね。
激務をこなしてきた体力とスキルに加えて、英語という武器もある。ブランク後の復職はまったく心配なさそうですね。
激務の見返りに給与アップの交渉もアリ?
渡辺さん ありがとうございます。ただ、これから11月の退職までは本当に気が重いです。
FP小沢さん これはファイナンシャルプランナーとしてのアドバイスからちょっと外れますが……。院長に給料アップの交渉をしてみるのもアリかもしれませんね。
渡辺さん そんなことができるのでしょうか?
FP小沢さん 渡辺さんの場合は、退職日が決まっています。つまり院長からすると「給料をアップする期間が限られている」ということです。さらに歯科医院には歯科衛生士がひとりだけということなので、一律で全員の給料を上げる必要もありません。
渡辺さん なるほど……。院長としての負担がそこまででもないかもしれないんですね。
FP小沢さん また、仮に渡辺さんが退職を前倒ししてしまうと、歯科衛生士が一人もいない歯科医院になってしまいますよね。もしそうなってしまった場合、歯科医院として求人がかなり困難になるのではないでしょうか?
渡辺さん 確かにそうですね。歯科衛生士がゼロの歯科医院に転職したいと思う歯科衛生士はあまりいないと思います(笑)。思ってもみなかった視点でした。院長に掛け合ってみたいと思います。
FP小沢さんのまとめ「資格を持っている強みを忘れないで」
あまりの激務で家で泣いてしまうこともあるという渡辺さん。語っているときの表情は本当に悲しそうでした。
歯科衛生士は転職が容易ですし、ブランクがあったとしても復職は可能です。さらに今回提案したような給与アップの交渉は強い資格を持っているからこそ、と言えるでしょう。
安定的な収入は心身の健康あってのものです。歯科衛生士という資格で、どうか自分自身を守りながら働いてほしいです。
そして次回では「結婚とお金」について一緒に考えていきます。
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