「歯科衛生士 辞めたい」で検索している人が多いみたいだけど、実際どうなの?歯科衛生士に聞いてみた。
こんにちは。ライターの斎藤充博です。
うちの妻は歯科衛生士です。以前は会社で事務員などをしていたのですが、一念発起して専門学校に入り、歯科衛生士になりました。
専門学校に通っているときの妻は本当に大変そうでした。課題は多いし、試験もある。……そして臨床実習はかなりのハードスケジュールで、見ていて心配になったものです。
そんな歯科衛生士ですが、あるウワサを聞きつけました。それは「歯科衛生士」で検索をすると「歯科衛生士 辞めたい」「歯科衛生士 やめたい」とサジェストが出てくるというもの。
あんなに苦労してなった歯科衛生士なのに、「辞めたい」なの? どういうこと? 妻も辞めたいと思っているの? 詳しく聞いてみました。
目次
「歯科衛生士 辞めたい」って検索したことある?
ミツヒロ ……というわけなんだけど、妻も「歯科衛生士 辞めたい」で検索したことある?
妻 あるよ。
ミツヒロ ……あるんだ。資格を取るのがあんなにも大変そうだったのに。 それなのに辞めたくなっちゃうとは……。
妻 それは、ちょっと違うかな~? 確かに「歯科衛生士 辞めたい」で検索したことはあるけど、歯科衛生士を辞めたいと思ったことはないよ。
ミツヒロ ん? どういうこと?
妻 「現在働いている歯科医院を辞めたい」って思ったことはあるけど、「歯科衛生士であることを辞めたい」と思ったことはない。
ミツヒロ ああ、そうか。なるほど。それで実際に転職しているもんね。
妻 そうそう。「歯科衛生士 辞めたい」って検索している人たちは、きっと同じように「働く環境を変えたい」って思っているんじゃないかな。
どういうときに「歯科衛生士 辞めたい」で検索した?
ミツヒロ どういうときに「辞めたい」って思うの?
妻 ありがちなのが二つあって、「人間関係の悩み」と「院長の方針とあわない」だと思う。私もそれで前の歯科医院を辞めているし。
ミツヒロ せっかくの機会なので、詳しく聞かせてください。
1.人間関係の悩み
妻 まず「人間関係」の方だけど、歯科医院ってたいていがすごく小さな職場なんだよね。そして、ずっと室内で仕事をしているでしょ? だから、良くも悪くも、人間関係が濃縮されていっちゃうんだ。苦手な人との距離が近い。
ミツヒロ あ~。なるほど。それは想像できる。
妻 あとは、歯科衛生士はいろんな年齢の人がいるから、年が離れている人とは話があいにくいって思う人もいるかもしれない。
ミツヒロ なるほどね……。ちなみに、そういう人間関係の悩みってどうすれば回避できるんだろう?
妻 歯科医院を下調べをして「自分と年齢層の近い人が働いている」ところを狙うといいかもしれない。私もそうしていまの職場にいるよ。ただ、これはあくまでも私の場合で、「ベテランの先輩たちに囲まれていた方が気が楽」って思う人もいるかもしれない。どっちにしても、調べればすぐにわかるから、チェックしておくことをオススメします。
ミツヒロ 確かに、スタッフって歯科医院のホームページに出ている気がする。あれは患者さんだけがチェックするわけじゃないんだな。
2.院長の方針とあわない
ミツヒロ もう一つ「院長の方針とあわない」だよね。そんなことあるの? 素人から見ると、歯科医院はどこも同じように見えるし、ちょっと想像がつかない。
妻 歯科医院は院長の方針によって、本当にいろいろあって、全然違うよ。たとえば、これは前の職場の話だけど……。院長が電気代の節約って言ってすぐに空調を消しちゃってた。夏は歯科衛生士が汗かきながら歯石とっていたし、冬は患者さんが震えていたよ。
ミツヒロ それはすごいな!!! そうか、それも「院長の方針」か……。
妻 そう。あとは、「スケーラー」っていう歯石をとる道具があって、それは使っているとだんだん消耗してくるんだけど、なかなか交換させてもらえなかったな……。
ミツヒロ それは経費節減のため?
妻 そうは言っていないけど、そうだと思うな~。スケーラーは消耗すると、先が細くなっちゃって、歯石がとりにくくなっちゃうんだよね。時間もかかる。でも「道具のせいにするな、技術を磨きなさい」みたいに言われちゃうんだよ~。
ミツヒロ スケーラーは使ったことないけど、そういう使い勝手の悪さ、想像つくね……。
妻 あとは、「角綿」っていう消耗品があるの。脱脂綿を小さく四角に切って、アルコールに浸しておいたもの。器具を拭いたりするのに使う。
ミツヒロ 学校の保健室にあるようなやつ?
妻 そう、そう、それだよ。前の職場では小さい角綿を買うんじゃなくて、一枚大きな脱脂綿を買って、それを歯科衛生士が手作業で小さいサイズに切っていたんだ。
ミツヒロ なんでわざわざ歯科衛生士が切るの?
妻 角綿を買うよりも、大きい脱脂綿を買った方が割安らしい。
ミツヒロ そこで節約かあ……。
妻 切る作業が嫌いってわけじゃないんだよ。でも、私たちの手作業で、経費を節約していると思うと、なんかちょっとモヤモヤしちゃう。
ミツヒロ ああ~。クーラーやスケーラーの話と合わせて「人を大事にしない方針で運営しているんだ」って思ってしまうね。そういう、自分にはあわない職場を事前に回避するとしたら?
妻 これも実際に下調べしておくことが一番じゃないのかな~。ホームページを見れば、院長の理念や治療方針が書いてあることが多い。それに見学もできるからそこで実際の治療の流れや、スタッフの雰囲気などをチェックした方がいいと思う。
ミツヒロ なるほど。
妻 もちろん、見学だけでは分からないところもある。……裏側の作業、脱脂綿を手作業で切るとか、ね(笑)。
ミツヒロ それは絶対に分からないところだ。
ちなみに学校も辞めたくなるの?
ミツヒロ ちなみに、「歯科衛生士 学校 辞めたい」って検索している人も結構いるらしい。妻も大変だったよね?
妻 本当に大変だったよ。学校自体も大変だったし、私は仕事をしながら夜間に通っていたから……。学校が大変なのは仕方がないし、職場みたいに変わるわけにはいかないから、「ここは資格を取る場所」と割り切って通うしかないと思う。
ミツヒロ 一言で「割り切る」と言っても、そういうマインドになるのは大変では?
妻 3年間がんばって資格を取ったら、ちゃんと歯科衛生士になれる。そうなれば仕事にも困らないし、給料もいまのところよりあがる。……そういう場所って、なかなかないと思うんだ。
ミツヒロ なるほどね。
妻 つらいときは、「歯科衛生士になったら給料がいくらあがるか」を計算して、未来を見つめるようにしていたよ……。
ミツヒロ 目の前の状況が大変だからこそ、前向きになるということか……。
妻 実際に途中で辞めちゃった人もいたけど、やっぱりもったいないよね。はげますことしかできないけど、学生さんにはがんばってほしいな……って私は思う。
「辞めたい」。でも、自分にあったところをみつけられるのが歯科衛生士の強み
ミツヒロ 話を「歯科衛生士 辞めたい」に戻そう。妻も「歯科衛生士 辞めたい」と思った結果、前に勤めていたところを辞めちゃったんだよね。
妻 実際に働いてみて「職場があわない」って思ったら、辞めちゃうのもアリだと思うよ。歯科衛生士は働き口がたくさんあるから、再就職は難しくないんだ。
ミツヒロ 厚生労働省による調査によると、歯科医院って全国に約68,000もあって、コンビニより多いらしい。……職場選び放題だ。妻も現在は自分にあった歯科医院にちゃんと転職できたんだよね?
妻 いまのところはすごくいいんだよ。
ミツヒロ 空調も切られないし、スケーラーも交換してもらえるし、脱脂綿も切らなくて済む?
妻 それはもちろん(笑)。それに、歯科衛生士は同世代の人がほとんどでやりやすいし、院長も人をすごく大事にしてくれているのが伝わってくる。産休も快くとらせてくれたし、産後の復帰もしやすそう(妻はいま育休中です)。
ミツヒロ よかった。「辞めたい」って一見ネガティブな悩みのように見えるけど、「自分の環境を変えたい」って意味なら、ポジティブなのかもしれないね……。
というわけで、「歯科衛生士 辞めたい」について、現役の歯科衛生士である妻に聞いてみた結果でした。
妻は歯科衛生士の仕事をできるかぎり続けていきたいと言っています。そんな妻が職場環境で悩んで「歯科衛生士 辞めたい」で検索をしたのは、自分が歯科衛生士を続けていくための一つの方法だったのでしょう。
そして、「歯科衛生士 辞めたい」が検索する人がいるのは、多くの歯科衛生士さんが、悩んだりしながら、自分の環境について一歩を踏み出そうとしている証……なのかもしれませんね。