歯科衛生士の仕事内容は? 勤務先による違いや最近の傾向をご紹介
歯科衛生士ってどんな仕事をする職業なのか、なんとなく理解はしていても、「具体的にはよくわからない」という人や、「どの職場でも、歯科衛生士がやることってそんなに変わらないんじゃない?」と考えている人も多いかもしれません。
この記事では、歯科衛生士の基本的な仕事内容や最近の傾向、勤務先による違いなどについて解説します。
目次
歯科衛生士の仕事内容とは
まずはおさえよう! 基本の三大業務
歯科衛生士の仕事内容は、「歯科衛生士法」という法律で定められています。
それが、いわゆる「歯科衛生士の三大業務」と言われるものです。順に見ていきましょう。
(1)歯科予防処置
プラークや歯石の除去、フッ素塗布などによって、虫歯や歯周病を「予防」する仕事です。歯科衛生士として、専門的な「技術」を発揮できます。
(2)歯科保健指導
口腔内のセルフケア方法や、生活習慣の改善などについて、患者さんに指導を行う仕事です。主に、歯科衛生士の専門的な「知識」を活かせる仕事です。
(3)歯科診療補助
印象採得や仮歯作成といった口腔内で行う作業を含め、歯科医師の診療を幅広くサポートする仕事です。
なお、歯科医師は、歯を削ったり抜いたりする「絶対的歯科医行為」と呼ばれる業務を行えるのに対して、歯科衛生士は歯科医師の監督の下で、歯石の除去や表面麻酔などの「相対的歯科医行為」と呼ばれる業務を行えると定められています。
最近注目されている歯科衛生士の仕事
これらの三大業務に加えて、最近は次のような分野での歯科衛生士の役割にも注目が集まっています。
◆ホワイトニング
薬剤を用いて歯を白くする審美治療の一種で、歯科衛生士が行える業務の一つです。最近はホワイトニングを希望する患者さんが増えており、ホワイトニング専門の歯科医院もあります。そうした歯科医院では、歯科衛生士が中心となって働いています。
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◆摂食嚥下に関する業務
社会の高齢化に伴い、「摂食嚥下」つまり、「飲食物の飲み込み」にトラブルを抱えている人が増えています。こうしたトラブルを改善するため、飲み込みの機能の評価や、嚥下改善のトレーニングを行うのも歯科医療の一部です。この分野でも、歯科衛生士が続々と活躍し始めています。
診療科目や職場の種類による仕事内容の違い
現在働いている歯科衛生士のうち約90%の人の勤務先は「診療所」。いわゆる歯科医院、クリニックです。診療所の中には、幅広い診療を取り扱っているところも多いですが、特定の診療科目に特化している医院もあります。
また、診療所以外では、病院や介護施設、行政、一般企業などで働いている歯科衛生士もいます。こうした勤務先の違いによって、仕事内容にどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
診療所(一般歯科)
虫歯や歯周病の治療、補綴などをオールラウンドに行う、いわゆる「町の歯医者さん」です。こうした歯科医院で働く歯科衛生士には、スケーリングやSRP、ブラッシング指導から診療補助まで幅広い業務を任されることが多いでしょう。
診療所(小児歯科)
小児歯科では、「治療」よりも「予防」が中心となることが多く、シーラントやフッ素塗布などの予防処置や、保護者と本人への歯磨き・食生活の指導が、歯科衛生士の仕事のメインとなります。最近では、歯並び改善のためのトレーニング(MFT/口腔筋機能療法)を取り入れている診療所も増えています。
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診療所(矯正歯科)
最近は矯正治療を希望する患者さんが増えており、従来から行われているワイヤー矯正に加えて、マウスピース矯正を導入している歯科医院も多くなっています。矯正歯科での歯科衛生士の仕事内容は、ワイヤー矯正ではワイヤーの交換やブラケットの貼付、マウスピース矯正では、口腔内スキャナーを使った光学印象の採得や、「アタッチメント」と呼ばれる治療器具の貼付などが代表的です。
また、矯正治療中は装置が付いていることでセルフケアがしにくくなるため、定期的なクリーニングやブラッシング指導も、歯科衛生士の重要な仕事です。
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診療所(口腔外科)
「口腔外科」には、抜歯やインプラント、歯周外科治療、顎関節疾患の治療、外傷や腫瘍の治療、先天性疾患の治療など幅広く施術が含まれます。歯科衛生士の業務としては、治療前後の口腔管理や、オペの診療補助が中心です。大掛かりな治療では患者さんの心理的な負担も大きくなるため、精神面のサポートも歯科衛生士の大切な役割です。
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その他の診療所
このほかにも、さまざまな診療に特化した診療所があり、歯科衛生士が担う仕事内容もそれぞれ少しずつ異なっています。
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病院で働く
大学病院・病院では主に外来での診療や外科手術の補助のほか、入院患者の口腔管理や、オペアシストなどを行います。医師や看護師といった他職種との連携が密なことや、全身疾患の知識が必要とされること、そしてときには命に関わる場面があることが、病院で働く場合の特徴です。
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行政で働く
歯科衛生士が行政、つまり公務員として働く場合の代表的な職場は、地域の保健所や保健センターです。乳幼児の歯科検診を行ったり、地域住民に口腔ケアの啓発活動を行ったりするのが主な仕事内容です。公務員なので、安定した働き方が実現できます。
介護施設で働く
歯科衛生士には、「介護老人保健施設(老健)」や「特別養護老人ホーム(特養)」「有料老人ホーム」などの介護施設で働く道もあります。入居者・利用者さんの口腔ケアや、歯科治療の際の診療補助、摂食嚥下トレーニングなどのほか、他職種との情報共有も重要な仕事内容です。
社会の高齢化や、歯科に対する関心の高まりを背景に、こうした介護の場での歯科衛生士の役割に期待が集まっています。中には、ケアマネジャー(介護支援専門員)とのダブルラインセンスを持って活躍する歯科衛生士もいます。
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企業で働く
歯科衛生士の資格や知識を活かして、歯科機材やケアグッズのメーカー・商社などで働くという選択肢もあります。商品開発に携わったり、歯科医院などに商品を紹介したりするのが主な仕事内容です。臨床に直接関わる場面は少ないですが、予防歯科関連の商品を通して、広く社会全体に貢献できる仕事と言えるでしょう。
また、会社員として組織に所属し、医療職ではない他職種と仕事をする場面も多いため、社会人としてのスキルや感覚も身につけられます。
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歯科衛生士と歯科助手の違い
「歯科医院で働くスタッフ」という点では共通している「歯科衛生士」と「歯科助手」ですが、国家資格を持つ歯科衛生士に対して、歯科助手になるには特に資格を必要としません。そのため、できる仕事の範囲に大きな違いがあります。わかりやすくいうと、「患者さんのお口の中に触れる」のが歯科衛生士、「触れない」のが歯科助手です。
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歯科衛生士と歯科助手、どこがどう違う? 働きやすさに違いはある?
歯科衛生士と看護師の違い
「国家資格を持つ医療職」「女性が多く活躍している」など、共通点の多い歯科衛生士と看護師。どちらになろうか迷った、もしくは迷っている、という人も多いかもしれません。歯科衛生士は、働く場所が診療所中心で、口腔の疾患の「治療」と「予防」の両方に関わる職種。一方で看護師は、働く場所が病院中心で、主に全身の疾患の「治療」に関わる職種、というのが大まかな違いです。
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迷った先輩も多数! 歯科衛生士と看護師を比べてみました!
歯科衛生士の一日のスケジュールは?
歯科衛生士の一日の仕事内容は、勤務先や経験年数などによって大きく異なります。そのため、自分のライフスタイルやキャリア設計に合わせた働き方をしやすい職業であるとも言えるでしょう。
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ズバリ! 歯科衛生士の仕事の魅力とは
ここまで、さまざまな側面から歯科衛生士の仕事内容をご紹介してきましたが、最後に改めて、歯科衛生士の「仕事の魅力」をまとめてみたいと思います。
患者さんのお口の健康を守れる
医療職として患者さんの健康を守れることが、なんといっても一番の魅力でしょう。「処置を通して歯茎の状態が改善された」「ブラッシング指導で行動変容を促せた」など、自分の仕事の結果が目に見えてわかることが、大きなやりがいになります。
また、最近では、口腔と全身の健康には大きな関係があることがわかってきています。歯科衛生士は、お口の健康を通して、患者さんの全身の健康を守れる仕事とも言えるのです。
人とのコミュニケーションが楽しい
歯科衛生士は患者さんと日々接しながら仕事をしており、そのコミュニケーションそのものを「楽しい」と感じている歯科衛生士も多いようです。患者さんとの信頼関係が深まり、直接感謝の言葉をいただけたり、指名をしてもらえたりすると、こうしたやりがいをより強く実感できるのではないでしょうか。
スキルアップできる
医療の世界は日進月歩。仕事を通して日々新しい知識や技術を身につけられることも、歯科衛生士の仕事の魅力です。できる業務が増えて関わる仕事の範囲が広がったり、同僚から頼られる場面が増えたりするなかで、自分が成長した手応えを感じられるでしょう。
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まとめ:歯科衛生士として「やってみたい仕事」を考えてみよう
歯科衛生士の仕事内容について、理解が深まったでしょうか?
歯科衛生士には「基本となる業務」がありつつも、勤務先の種類や診療内容によって、仕事の幅が大きく変わることがわかっていただけたかと思います。
「歯科衛生士としてこんな仕事がやってみたい」ということが見つかったら、それが実現できる職場を探してみましょう。そんな医院で働けたら、きっと充実した歯科衛生士ライフを送れるはずです!