歯周病治療のエキスパートとして活躍! 日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士|#3 資格取得のQ&A
歯周病治療に特化した認定資格の一つが、「日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士」。
東京都内のクリニックで歯周病治療に携わり、同認定資格を取得した服部めぐみさんに、学会での活動内容や資格取得までの道のり、歯周病治療のおもしろさなどについて伺いました。
歯周病治療のエキスパートとして活躍! 日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士
第1回 服部めぐみさんインタビュー
第2回 資格取得への道のり
第3回 資格取得のQ&A(こちらの記事)
目次
プロフィール
日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士
勤務先
井原歯科クリニック(東京都目黒区)
歯周病治療を得意とし、マイクロスコープを使った精密な治療で「歯を救う」ことに取り組んでいる。院長は日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医、日本口腔インプラント学会専門医。
キャリアヒストリー
2011年
取手歯科衛生専門学校を卒業。地元の茨城県で就職し、一般歯科と口腔外科の2つの医院に勤務。
2016年
東京で転職活動を開始。その最中に「歯周病は歯科衛生士が治せる病気」と知り、歯周病治療に目覚める。歯周病を専門とする歯科医院で約1年間働き、2017年には日本歯周病学会にも入会。
2017年
井原歯科クリニックのオープンと同時に入職し、歯周病治療を一から学び直す。患者担当制のもと、初診の検査から口腔衛生指導、SRP、SPT、メンテナンスと、歯科衛生士が行えるほぼすべての業務を任されている。
2018年
日本臨床歯周病学会入会。学会の学術大会や研修会等へ積極的に参加し始める。
2023年
日本臨床歯周病学会認定資格取得
日本臨床歯周病学会&認定資格Q&A
Q1.日本臨床歯周病学会に入会して良かったことは?
A. 学術大会などで他の医院の症例発表を聞く機会があるのですが、学会名の通り“臨床”に即した内容が多いので、次の日の診療ですぐに実践できます。また、大学病院や介護施設で働いている人の話を聞けたり、他院の歯科衛生士とのつながりができたりして、学会を通して視野が広がることも良い点です。
Q2.症例の資料はどのように集めた?
A. 実は、特別に「認定取得のために」と頑張って資料を集めたわけではないんです。毎日の治療の一環としてしっかり記録をつけていたので、それを認定申請用として活用できました。最初のころは院長のアドバイスのままに口腔内写真などを撮っていましたが、経験を積むにつれて少しずつ、「ここは詳しく写真を撮っておいた方が良いな」などの判断が自分でできるようになりました。
Q3.認定取得で難しかったことは?
A. 認定取得に限ったことではありませんが、メンテナンスからSPTの段階まで経過が追えないと“症例”として認められないので、患者さんに継続して通ってもらうのに苦労しました。患者さんのモチベーションを維持したり、行動を変えたりといったことは、歯周病治療においては必ず必要となるプロセスです。認定取得を意識して診療を進める中で、一人ひとりの生活背景や性格に合わせてアプローチしたりする力が磨かれました。
Q4.口頭試問ではどんなことを聞かれた?
A. 「歯肉のどこの炎症がどのように改善したのですか?」など、基本的には、普段からしっかり口腔をみていれば答えられることがほとんどでした。ただ、1つだけ想定外の質問がありました。歯肉の腫脹と咬合の関係について聞かれたのですが、そのときはうまく答えられなくて。その悔しさが、「口腔全体や全身疾患の知識をもっと増やしたい」と考える一つのきっかけになりました。
Q5.認定を取って、患者さんから反応はあった?
A. 認定証を見た患者さんから「認定を持っている服部さんだから安心」「服部さんに診てもらいたい」と言っていただけることがあります。信頼されていると実感できてとてもうれしいですし、頑張ろうという力になります。「期待以上のことができるようになりたい!」と、身が引き締まりますね。
院長の認定医の認定証とともに待合室に掲示されている服部さんの認定証。「こんな資格があるんだね」「カッコイイね」と声をかけていただくこともあり、歯科衛生士の社会的認知度・地位向上にもつながっていると感じている。
Q6.認定取得に興味がある人や、専門性を高めたい人は、どんな職場を選べば良い?
A. 自分が興味のある分野の学会に所属していたり、認定資格を持っていたりする歯科医師や歯科衛生士がいるかどうかが、判断材料の一つになります。また、専門性を高めるためには、まずは「基本」を確実にすることが大事。例えば歯周病治療の場合は、器具の持ち方などについてお手本となる人がいる、教科書通りのステップで治療ができる、といった環境で学ぶことが大切です。ぜひ実際に見学に行って、先輩や歯科医師に話を聞いてみてください。
当院での歯科衛生士のアポイント枠は1時間で、時間の使い方や内容は自分で考えて決められる。ときには30分ほどヒアリングに充てることも。「『特に変わりないですか』と聞くと『はい』で終わってしまうので、日常会話の延長で『気になることはありませんか』といった尋ね方をするように心がけています」
日本臨床歯周病学会
特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会(JCAP)
1983年に「臨床歯周病談話会」としてスタートし、歯周治療の研鑽を通じて歯科臨床の向上に努め、もって国民の健康、福祉の増進に寄与することを目的としている学会。
開業医、大学病院、総合病院の歯科医師などさまざまな会員を擁し、研究発表や講演会などの開催、機関紙等の発行、内外の関係学術団体や歯周治療医との連絡および提携などの活動を行っている
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*こちらは、2023年6月発行「就活BOOKクオキャリア夏号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は取材時のものとなります。