周りの人、特に現在の職場には誠意をもって対応しよう|歯科衛生士学生 学校生活の極意【社会人学生編#2】

これまでたくさんの学生を指導してきた太陽歯科衛生士専門学校の山田美穂先生が、歯科衛生士学生の皆さんが感じている悩みや不安にお答えします。


歯科衛生士学生 学校生活の極意|社会人学生編
第1回 壁に突き当たったときどう乗り越える?
第2回 周りの人、特に現在の職場には誠意をもって対応しよう(こちらの記事)
第3回 社会人学生のあなただからこそ持っている良いところを活かそう
第4回 あなただけじゃない!頑張る社会人学生アレコレ
第5回 卒業後、歯科衛生士人生を楽しめるのはどんな人?

★【臨床実習編】はこちら


あなたの頑張りを陰で支えてくれている人がいる

前回は学校に仲間を作ろう!というお話をしましたが、読んでいただけたでしょうか。

壁に突き当たったときどう乗り越える?|歯科衛生士学生 学校生活の極意【社会人学生編#1】

さぁ、今回はあなたの働いている環境についてお話ししたいと思います。

セカンドキャリアとして学校に通っている皆さんのうち、おそらくほとんどの方が仕事と学校の両立を図っているのではないかと思います。その両立をさせるために、もちろん一番頑張っているのは『あなた自身』です。しかし、頑張るあなたのために「協力してくれている」「期待をしてくれている」人たちがいることも忘れないでほしいと思うのです。

特に夜間部に通うお仕事に就いている方々は、通常の勤務の中でも学校に行く時間を考慮した勤務体系になっていたり、試験や行事のためにお休みをとらせてもらったりしますよね。ご家庭のある方は、お子さんを見てくださる方がいたり家事の協力があったり…。
「私の周りは誰も協力なんかしてくれない!!」という方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、それでも自分で選んだ道であることに変わりありません。その環境の中で、どうクリアしていくかを考えるのです。

私が時々出会う例のひとつとして、学校での知識が少しずつ上がってきた時に「あれ?うちの医院って、何か違うのかも?」と感じる方がいます。その時点で自分の医院に対して「不信感」を抱いてしまう方もいます。
学校での知識はいっぺんに全てを習得することはできません。医院での処置や考え方が「学校で習った一部の情報」と違っていたとしても、それが『間違っている』と判断するには早とちりになる可能性もあるわけです。

そんな時は一旦立ち止まり、よく考えてみましょう。
「なぜ、自分のところでは教科書と同じでないのか。」
あなただったら、どのように考え行動しますか?

まず忘れてはいけないこと、あなたの職場は『あなたが』学校へ通うことを応援・サポートしてくれていることです。もちろんその裏には無事卒業した暁には、「この職場で歯科衛生士として活躍してほしい!」という期待もあるでしょう。
正直にその疑問を院長先生に聞いてみるのも悪くないかもしれません。また、一度芽生えた「不信感」がなかなか消えなくなってしまったとしたら、学校の先生に相談してみましょう。きっと一緒に考えてくれるはずです。そして「疑問を持てた」ことは、あなた自身の成長の一環であることも忘れないでくださいね。

学校で学ぶ中で別の進路が見えてきたら…

もう一つ、目にすることが増えた例では、学校に通っている間サポートしてもらっている医院はあくまでも在学中の勤務先であると、割り切っているケースです。

学校へ入学後、現場を知るためにアルバイトを始めるパターンは多いですよね。この場合は、アルバイト先の医院も【学生のアルバイト】である認識がありますので、その学生さんとの相性や将来に期待が持てる場合には「卒業したら、うちで働きませんか?」とスカウトにつながったりします。

私が気になっているのは、入学する前から歯科助手として勤務している中、歯科衛生士になるために学校に入ることを告げ、協力してもらっているにも関わらず「卒業したらさようなら」というケースです。特に本校の場合は、条件付きではありますが臨床実習を勤務先で行うケースがあるので、それを【踏み台】にしてしまっている学生さんを見ると少し残念な気持ちになります。
仮に今の職場では実現できない将来に向けた「別のビジョン」が見えてきたとしても、まずはそのビジョンについて話し合ってみる事、もし去ることになったとしてもこれまでお世話になったことへの「感謝の気持ち」を、誠意を持ってきちんと伝えるべきだと私は考えます。

我々のいる歯科業界は実はとっても狭い世界です。かなり色々なところで繋がりがあります。つまり「良い評判」も「悪い評判」も意外に広がりやすいのです。
歯科衛生士は「人との関わり」が重要な職業です。それは患者さんに対しても、共に働く仲間に対しても言えることですね。

勤務先への不信感が芽生えたら、一呼吸置いて対応を

仮に、勤務先の労働環境が悪い、患者さんに対して「患者さんのために」という感覚もなく高額の治療を無理に勧めて信頼を築けていないなど、明らかな問題が見え隠れする場合には、これも学校の先生に相談してみましょう。もしかしたら、長年のルーティンで気づいていないことに対して、あなたに「新しい感覚の見る目」がついたことによって明らかになり、お話をしてみたらより良い環境に変化していくといったこともあるかもしれません。知識を養っていくあなたが「将来、こんな風に患者さんと関わりたい!こんな風に働きたい!」という気持ちを受け入れてくれることも考えられるのではないでしょうか。

「うちの医院ヤバい!」と一言で済ませてしまう前に、これまであなたを歯科助手として歯科衛生士の卵として育ててきてくれたことに対する『感謝の気持ち』は忘れない人であってほしいと思うのです。
また、歯科ではない職場にいる方々も「いずれこの職場から巣立ってしまう」ことを前提に、あなたが学校へ通うためにサポートしてくださっていることを忘れてはいけません。これは身近な家族も同様ですよね。まずは今までしてもらったことへの誠意ある対応が大切です。

「相手を思いやる気持ち」は歯科衛生士として必須の感覚です。「自分だけが大変!」「なぜ私だけこんな目に?」と考えてしまう時には、一度深呼吸をして自分の周りを見渡してみましょう。色々な経験をしているからこそ持てる「思いやり」や「寄り添う気持ち」をぜひ強みにできるように、たくさん悩み考えてみてください。


次回は「社会人学生のあなただからこそ持っている良いところを活かそう」をテーマにお届けします。

先生紹介

山田美穂 先生

太陽歯科衛生士専門学校 教務課長・夜間部専任講師
日本ヘルスケア歯科学会認定歯科衛生士

やまだ みほ/休日の楽しみは愛犬とのんびり過ごすこと。「水曜どうでしょう」を観て笑い、疲れを吹き飛ばすのも自分流のリフレッシュ法。
★山田先生のインタビュー記事はこちら

学校紹介

太陽歯科衛生士専門学校(東京都荒川区)

昼間部・夜間部があり、セカンドキャリアを目指す学生や働きながら通う学生も多数。
ユニットやファントムなどの実習設備が充実しており、希望者は課外時間に実践練習を積むことができる。学生一人ひとりに合わせた親身な指導も特徴。
★学校HPはこちら

 

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