あなたはどっち派? 「新しい歯科医院」と「歴史のある歯科医院」|歯科衛生士知っとこ!職場の見極め塾#17
こんにちは!ライターのヤナギです。 これまでに10年以上、クオキャリアでたくさんの歯科医院を訪問したり、記事を執筆したりしてきました。
その経験から、歯科衛生士の皆さんに「自分に合った職場を選ぶためのヒント」をご紹介します。
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目次
求人情報の「○○年設立」に注目!
ほとんどの求人情報や医院情報には、「○○年設立」「○○年開院」などの「設立年」が書いてあります。
「見たことがなかった」という人も、「なんとなくチェックしているけど、何か意味があるの?」という人もいるかもしれません。
実はこの「設立年」も、その医院の特徴をつかむためのヒントになります。
「できて間もない新しい歯科医院」か、もしくは「長い歴史のある歯科医院」かによって、職場の雰囲気や患者さんとの関係性が、少し想像できるのです。
そこで今回の記事では、「新しい歯科医院」と「歴史のある歯科医院」で、それぞれどんなメリット、デメリットがあるのかを見ていきたいと思います。
新しい歯科医院で働くメリット
【設備が新しくキレイ】
まず挙げられる、わかりやすいメリットがこちらです。
設立時には、新築の建物でオープンするか、既存の施設に入居する場合も全面的なリニューアルを行っていることがほとんどです。
そのため、設立まもない歯科医院では、院内がピカピカの状態であることが期待できるでしょう。
また、治療に使う機材も新しいものが導入されていることが多いです。
【人間関係がフラット】
当たり前ですが、新しくできた歯科医院では、「その医院でずっと働いている」というスタッフはいません。
スタッフ全員の在籍歴が浅く、いわば、みんな「同期」のようなもの。
そのため、経験や年齢を問わず、フラットな人間関係を築きやすいでしょう。
【院長が若手のことが多い】
また、新しい歯科医院は、院長も30〜40代の若手のことが多いです。
ちょっとした相談がしやすかったり、スタッフと同じ目線で話を聞いてくれたりするといった良さがあるでしょう。
【自分たちで医院をつくれる】
こうしたフラットな関係のスタッフや院長と協力しながら、みんなで一緒に医院をつくっていけることも、新しい歯科医院で働く醍醐味です。
例えば、物の配置や診療の流れなども、互いに意見を出しながら決めていけます。
「新人だから意見が言いづらい」ということは比較的少なく、積極的に医院づくりに参加できるでしょう。
新しい歯科医院で働くデメリット
【明確に決まっていないことがある】
「自分たちで医院をつくれる」というメリットは、捉え方によっては少し不安要素にもなるかもしれません。
たとえば、「◯◯はどこに片づければ良いですか?」と先輩に質問した時に、明確な答えが返ってこないこともあります。
「まだ決まっていないんだけど、置き場所はどこが良いかなあ?」と、その都度相談しながら決めていく場面も多いでしょう。
この作業を面倒だと感じる人もいるかもしれません。
【長く通っている患者さんがいない】
新しい歯科医院では、患者さんのほとんどが、オープンしてから通い始めた方です。
そのため、医院のことを信頼してもらえるかどうかは、対応したスタッフにかかっているといえます。
また、患者さんの生活背景などの把握も、一から始めなくてはいけません。
「先輩が長く診ているなじみの患者さんを回してもらえる」ということは、新しい歯科医院ではあまり期待できません。
でも、この点も、「自分の患者さんを一からつくっていける」と考えれば、逆にメリットと感じられるでしょう。
【その医院のことをよく知っている先輩がいない】
最近では、別の医院で院長と一緒に働いていた歯科衛生士が、開院に合わせて転職してくるケースも見られます。
ですので、新しい医院=先輩がいない、とは限りません。
しかし、その医院のやり方に習熟しているとは限りませんので、見学などで実態を確認してみてください。
歴史のある歯科医院で働くメリット
【長く通っている患者さんが多い】
歯科衛生士の業務内容に直結することとして、このメリットは非常に大きいでしょう。
患者さんの治療歴を、何年、何十年にもわたってさかのぼれるので、一つの症例に対して学べることが非常に多いです。
家族構成や生活背景などもすでにヒアリングがされているので、コミュニケーションが取りやすいはずです。
また、先輩歯科衛生士やドクターと患者さんの間で信頼関係ができているため、
「この子は新人なのでよろしくお願いします」
「そうなんだ、頑張ってね」
といったふうに紹介してもらった上で、患者さんの理解を得ながら施術のデビューができるという点でも安心です。
【長く在籍しているスタッフに頼れる】
その医院のことなら何でも知っている先輩や、お母さんのように面倒見の良いスタッフ、いざというときに助けてくれる経験豊富なドクターがいたりすることも、歴史のある歯科医院のメリットです。
また、長く続けているスタッフが多い職場であれば、働きやすさも整っていると考えられるでしょう。
【歯科衛生士の育成経験が豊富】
歴史のある歯科医院では、これまでに多くの歯科衛生士の成長に立ち会っていることでしょう。研修カリキュラムやマニュアルが整っていたり、育成経験の豊富な先輩がいたりすることも多いです。スタッフ間のチームワークも安定していて、新人のフォロー体制も整っていると言えそうです。
【経営基盤が安定している】
長く医院が続いていることは、その地域の患者さんやスタッフから支持を得られ、安定して経営ができている一つの証拠です。
そういった意味でも、安心して働ける職場だと言えるでしょう。
歴史のある歯科医院で働くデメリット
【変化が少ない】
新しい歯科医院に比べると、医院の仕組みや診療内容などに、どうしても変化が少なくなりがちです。
まずは「確立されているやり方を覚えて実践する」ことがメインになるので、物足りないと感じる人もいるかもしれません。
ただ、ある程度仕事に慣れてくれば、自分から意見を出していろいろなことにチャレンジしたり改善したりすることもできるはずです。
「医院をより良くしたい」「成長したい」という気持ちさえあれば、仕事のマンネリ化を心配する必要はないでしょう。
【院長が高齢のことがある】
設立当初から院長が変わっていない場合、院長が「お父さん」や「おじいちゃん」世代であることも多いです。
若手院長に比べて、スタッフとの距離感が遠いと感じることがあるかもしれません。
とはいえ、二代目、三代目の院長に代替わりをしていたり、歳の差を感じさせないフランクな人柄の院長だったりすることも多いので、実際に話をしてみることが大切です。
【設備が古いことがある】
歴史のある歯科医院では、設備や内装を定期的に更新していなければ、ずっと古いままということもあり得ます。
ただし、大幅なリニューアルや新築移転をしている医院も多いので、この点も実際に見学をしたり、ホームページを確認してみたりすると良いでしょう。
まとめ:どちらも魅力にあふれている!
新しい医院の「ワクワク感」、そして、歴史のある医院の「安心感」、どちらも魅力的で迷ってしまいます!
自分にはどちらが合っているか、じっくり考えてみる必要がありそうです。
身近なところで言うと、例えばお菓子を選ぶときに、新商品を選ぶことが多いでしょうか? それとも、定番の商品を選ぶことが多いでしょうか?
もちろん、お菓子選びと職場選びはイコールではありませんが、こうした普段の行動を自己分析してみるのも面白いかもしれません(ちなみに私は新商品派です)。
また、本文でも触れましたが、リニューアルや院長の代替わりなどによって、両方の良さを兼ね備えている歯科医院もあります。
職場選びの際には、「設立年」を頭の片隅に置きながら、ぜひ実際に見学に訪れて、自分の目でチェックしてみてください。
ライター、インタビュアー
2010年よりクオキャリアのさまざまな媒体で歯科医師・歯科衛生士の取材や、求人原稿・インタビュー記事の執筆など、のべ6,000件以上を担当。歯科業界の採用事情に精通している。