過去問アプリ編集長直伝! 国家試験はじめてレッスン「苦手&間違えやすい問題を攻略しよう」
目次
はじめに
はじめての歯科衛生士国家試験の受験にあたって不安を抱えている皆さんのために、クオキャリアの歯科衛生士国試対策過去問アプリ編集長の笠原玄太さんが、受験にあたっての注意やポイント、そして攻略法をわかりやすくお伝えします。
今回のテーマは「苦手&間違えやすい問題」
受験生活後半戦につぶしておきたい苦手問題や、取りこぼししたくない問題を取り上げます。
過去の記事はこちら↓
・国家試験はじめてレッスン「合格のための基本のキ」
・国家試験はじめてレッスン「ただ解くだけではもったいない! 過去問100%活用法」
歯科衛生士国家試験対策過去問アプリ「クオキャリア」はこちら↓
苦手&間違えやすい問題
主要3科目と関連づけて勉強しよう
『人体、歯・口腔の構造と機能』、『疾病の成り立ち及び回復過程の促進』、『歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み』はいずれも新たに覚えることがたくさんあり、苦手意識を持つ方が多いのではないでしょうか。しかしこういった機能や仕組みに関する分野は、合格のためはもちろん、臨床に出てからの知識の土台となることからきちんと押さえておきたいところです。
これらを勉強する際にカギとなるのは、主要3科目との関連付けです。例えば『人体、歯・口腔の構造と機能』の鼻腔や咽頭に関する問題は「摂食嚥下」と、口腔組織については「プロービング」と関係していますし『疾病の成り立ち及び回復過程の促進』の細菌に連なる内容は「う蝕活動性試験や医療安全管理」と結びついています。
また、『歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み』は幅広い内容を含んでいますが、その中の例えばフッ化物に関する問題は「フッ化物歯面塗布」に、栄養については「ライフステージに応じた歯科保健指導」に、というように他科目と関わっています。
主要3科目を学習しながら関連する事項を確認していけば、ただ丸暗記をするよりも覚えやすい上、本番で形式を変えて出題されたときにも確実に得点できる力もつくでしょう。
正解を選ぶ“条件”の確認を忘れずに
第29回(2020年実施) 午前問題11 疾病の成り立ち及び回復過程の促進
正解は…a(AIDS)
この問題のような「含まれないもの」や「適していないもの」を選ばせる形式には注意が必要です。否定形であることを読み落とすと、正解は選べません。せっかく「ワクチン接種対象疾病」の知識は持っているのに、読み落としでミスしてしまったらもったいないですね。注意深く読むのはもちろん、加えて問題文の「含まれない」の部分にマークをつけたり囲んだりして目立つようにするのがおすすめ。最後に見直す際にも意識しやすくなります。
計算問題は手順を体に染み込ませよう
第26回(2017年実施) 午後問題21 歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み
正解は…d(3.5)
計算問題は公式を頭で暗記しただけでは、焦ったときに思い出せなかったりするもの。歯科衛生士国家試験での出題パターンはある程度限られていますので、頻出問題は繰り返し解いて手順を体に染み込ませ、いつでも頭に浮かぶようにしましょう。実際試験では、例えば上のようなOHI、あるいはOHI-Sに関する問題が形を変えてよく出題されています。
解き方は、上顎、下顎それぞれについて[右臼歯部(70 4)、前歯部(右3~左3)、左臼歯部(4~7)]の6つのブロックに分ける(表の該当部分を線で囲むとGOOD)、各ブロックの中で、上顎唇・側・上顎口蓋側・下顎舌側・下顎唇頬側についてDS、CSの最高値を選ぶ、で選んだDSの合計(=DI)、CSの合計(=CI)を出す、DI、CIをブロック数である6で割る、最後にを合計する、となります。答えは、DIが15÷6=2.5、CIが6÷6=1の合計で3.5です。
試験傾向から見える歯科衛生士の役割の広がり
歯科衛生士国家試験の第1回実施から30年。その間、私たちを取り巻く社会環境は大きく変化しました。例えば高齢化率は12.1%(1990年)から28.8%(2020年)と2倍以上※1となり、医療・介護・歯科の連携や在宅ケアが不可欠に。またこの間に口腔と全身疾患の関連性の研究が進んだほか、大型災害にも見舞われました。こうした情勢を受けて、第27回国家試験では出題基準の見直しが行われ、「地域包括ケア」「災害時の歯科保健」など新たな項目が出題範囲に加わったほか、口腔機能の維持向上や摂食障害への対応や医療安全や職業倫理等の出題についてさらなる充実が図られました。
近年ではさらにこれらの項目で、知識そのものに加えて具体的な場面における対応について問われる傾向が見られます。[第30回国家試験:全介助の高齢者に対する口腔健康管理(午前61問)、ICU治療中の患者に関する看護師への指導(午後82問)、88歳の男性についての口腔機能訓練(午後94問)、ヒヤリハット事例(午前33問)など]。ここから言えるのはつまり、歯科の現場では、こうした業務の出番が増えつつあるということです。 一方でこれら“社会に関連する内容”については、苦手な方が多いでしょう。また合格点をクリアすることだけを考えれば最重要とは言えないかもしれません。しかし今後10年、20年働く上では避けて通れないものでもあります。ぜひ試験勉強を通して社会から“求められる”歯科衛生士に必要な基礎を築き、長く活躍してほしいと願っています。
※1:令和3年版高齢社会白書(内閣府)
監修:笠原玄太さん(過去問アプリ編集長)
*こちらは、2021年12月発行「就活BOOKクオキャリア冬号」掲載記事を再編集したものです。