歯科衛生士インタビュースペシャル版【「働く」について教えてください!】
歯科衛生士としてデビューするにあたり、楽しみな気持ちもあれば、初めての就職や働くことに不安な思いもあることでしょう。そこで、歯科衛生士の先輩であり、東京都歯科衛生士会の会長として歯科衛生士の離職防止・復職支援などにも携わっている藤山美里さんに、仕事やキャリアにまつわる7つの質問に答えていただきました。
*こちらは、2021年3月発行「就活BOOKクオキャリア春号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は当時のものとなります。
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目次
プロフィール
藤山 美里さん
公益社団法人 東京都歯科衛生士会 会長
服飾美術の短大を卒業後、日本歯科大学附属歯科専門学校(現:日本歯科大学東京短期大学)に入学。卒業後はライオン歯科衛生研究所に勤務。
2006年からはカンボジアでの歯科ボランティアを軸に、フリーランスとして学校での歯科保健活動や学生教育にも携わる。
2019年、公益社団法人 東京都歯科衛生士会の会長に就任。目標は、生涯歯科衛生士として後輩たちに幅広い働き方を提示し続けること。
2022年現在、日本教育財団 首都医校にて、医療従事者を目指す方々の進路相談を行い、歯科衛生学科の特別講義も担当。
歯科衛生士会とは…
日本歯科衛生士会、都道府県の歯科衛生士会があり、歯科衛生の普及啓発や歯科衛生士の働く環境整備のための社会活動、卒後研修会や歯科関連学会と連携した認定単位の取得研修の開催などに取り組んでいる。経験年数や所属を問わず、一人で入会OK。日本歯科衛生士会では学生会員制度もある。
東京都歯科衛生士会では…
歯科衛生士のキャリア支援を目的とした、 歯科衛生士専門の求人サイト「aiある歯科衛生士さぽ One」の運営を行っています。また、就職・復職に関する相談窓口も開 設。ぜひ気軽にご相談ください!
★公益社団法人 東京都歯科衛生士会
https://tokyo.jdha.or.jp/
東京都歯科衛生士会会長の藤山さん「働く」について教えてください!
Q.いよいよデビュー!新卒歯科衛生士に大切なことって?
A.新人だからこそ遠慮なく質問して
「わからないので教えてください!」と言いやすいのは、新人だからこそ。疑問に思うことがあれば、「こんなことぐらい」と思わずに、先輩や歯科医師に積極的に質問しましょう。また、医療資格者ではないスタッフも、臨床現場での経験では「先輩」。謙虚に学ぶ気持ちでコミュニケーションを取れば、良い関係が築けますよ。
Q.歯科衛生士って、何歳まで働けるの?
A.保健指導などでは60代以上も多く活躍
年齢にとらわれず働けるのは、手に職を持っている歯科衛生士の強み。例えば、歯科健診や、ライフステージに沿った歯科保健指導の分野では、60代以上の先輩も多く活躍しています。視力が衰えて小さなものが見えにくくなるといった身体的な問題は生じるかもしれませんが、ルーペをはじめとした機材で補えることもいっぱい。自分の人生経験も生かしながら、長く続けられる仕事だと言えるでしょう。
厚生労働省:平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況より
Q.出産した後も仕事を続けられる?
A.育児をしながら働ける職場が増えています
最近では法人の歯科医院も増え、産休や育休を取得して職場復帰することが当たり前になりつつあります。歯科衛生士が同じ職場で長く続けられることは、本人にとっても、患者さんにとっても大きなメリット。今後、さらに産休・育休が取りやすい人員体制や就業環境の整った職場が増えていくことを願っています。
Q.自分に合った職場を見つけるコツは?
A.医院見学は必須!雰囲気や仕事内容を確認しよう
HPや求人情報だけでは、わからないことがたくさん。まずは見学に訪れて、院長のキャラクターや院内の雰囲気を自分の肌で確かめることが大切です。「見学=面接」と固く考えず、積極的に足を運んでみましょう。最近では、予防専用ユニットや分業制を導入するなど、本来の仕事に専念できる環境を整えている歯科医院も多数。そういった職場なら、専門スキルを存分に生かして働くことができるはずです。
Q.仕事で悩んだときは、どうすれば良い?
A.縁をつむいで頼る相手を広げて
職場の同僚や先輩はもちろん、卒業した学校の先生を頼ったり、一緒に実習や国家試験を乗り越えた仲間に相談してみましょう。私自身も、教員時代に担当した学生とは、今でも連絡を取っています。加えて活用してほしいのが、歯科衛生士会。さまざまな経験を積んだ、幅広い世代の「お姉さん」歯科衛生士が在籍しているので、情報交換をしながら、コミュニティや視野を広げられるはずです。懇親会や地域でのボランティア、研修など活動も盛りだくさん! お一人でも気軽に参加してくださいね。
Q.就職した後も勉強って必要?
A.「ワクワク」を大切に自分の目標を見つけよう
専門雑誌を読んだり、認定資格取得を目指したりすることは、「すてきな自分に向かっての投資」。新しい技術も日々生まれているので、純粋にワクワク楽しみながら、成長し続けてほしいですね。そうして私たち一人ひとりのスキルが高まれば、歯科衛生士という資格や仕事が、さらに世の中で認められるようにもなるはず。日本歯科衛生士会でも、摂食嚥下リハビリテーションや障害者歯科などさまざまな資格を認定しているので、ぜひ一度チェックを。
Q.歯科衛生士がコロナ禍でやるべきことって?
A.医療従事者として誇りと責任を持った行動を
誰もが初めて経験する状況の中で、多くの歯科衛生士が、本当に頑張って診療を続けています。その原動力は「自分たちの仕事は、患者さんのために絶対必要だ」という使命感でしょう。皆さんも医療従事者の一人として、デマなどに惑わされることなく、根拠のある情報をしっかりキャッチして動いてほしいと思います。また、実はコロナ禍は、各歯科医院の姿勢や本質が、目に見える形で表れる機会にもなりました。これから就職活動をする方には、「職場選びのヒントが一つ増えた」と、前向きに捉えてほしいですね。