【病院で活躍】歯科衛生士インタビュー「仕事観も変化した密度の濃い6年間」
大学附属の歯科病院や、総合病院の口腔外科なども、歯科衛生士が活躍できる場の一つ。医科を含めた多職種が連携し合い、最先端の技術を用いて、専門性の高い治療を提供する病院歯科。その魅力と、学べることを、昭和大学歯科病院で働く永里咲恵さんに伺いました。
*こちらは、2022年2月発行「就活BOOKクオキャリア春号」掲載記事を再編集したものです。掲載情報は当時のものとなります。
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目次
プロフィール
永里 咲恵さん(Nagasato Sakie)
昭和大学歯科病院 歯科衛生室 所属
日本歯科大学東京短期大学(2016年卒)/一般社団法人日本歯科審美学会 ホワイトニングコーディネーター、一般社団法人日本スポーツ歯科医学会 認定スポーツデンタルハイジニスト、公益社団法人日本歯科衛生士会 認定分野B(う蝕予防管理)、一般社団法人ジャパンオーラルヘルス学会 ドックコーディネーター/高校生まで新体操に打ち込み、全国大会への出場経験も。何事にも全力で取り組むことが習慣に。
★昭和大学歯科病院(東京都大田区)
https://www.showa-u.ac.jp/SUHD/
地域連携歯科、総合診療歯科、口腔リハビリテーション科など18もの診療科を有する歯科専門病院。睡眠歯科センターやスポーツ歯科外来など専門外来も併設している。歯科衛生士は45名在籍。うち10名は昭和大学病院など、医科連携の病院に出向している。
仕事観も変化した密度の濃い6年間
組織の中で培われる専門性と自信
新卒ではまず診療所に入職する歯科衛生士が大部分を占める中、“病院で働く”という道を選んだ永里さん。
「歯科衛生士としてだけでなく、一人の社会人として『組織』というものを学んでみたかったんです。さまざまな経験を持つ人たちから教わったり、立場の違う人と協働して仕事を進める仕組みを知ったり。職種ごとに分業が徹底されていることにも惹かれました」
入職後は、歯周病科や歯内治療科、美容歯科に配属。その後矯正歯科、そして全診療科の患者さんのメンテナンスを担う“お口の健康センター”などに所属し、現在はホワイトニング外来を担当。
「どの科も専門性が高いので、知識や技術を習得するのは正直大変です。でもわずか数年でさまざまな治療を自分の目で見ることができたことは大きな糧になりました。また病院は、地域の診療所では対応しきれない患者さんを受け入れる役割も担っています。そのため先進的な機材を使った治療や、静脈内鎮静下での治療などにも携わることができ、とても良い経験になりました」
歯科衛生士が医療の現場でできること
2020年からのコロナ禍は、永里さんの仕事にも大きな影響を与えた。
「初めて緊急事態宣言が出たときには診療体制が約1ヶ月縮小され、メンテナンスの患者さんは、全て延期に。予約変更の電話などで診療がまったくできず、『私は歯科衛生士なのに何をやっているんだろう…』と歯痒く感じました」
しかし、メンテナンスが再開して久しぶりに患者さんを診療する中で、その気持ちも変化していった。
「『1年ぶりに電車に乗ったけど、思い切って来て良かった』と喜んでくれる方や、『リスクが高い仕事だけど大丈夫?』と、気づかってくれる方もいて。また、コロナ禍を通して、口腔ケアの大切さに改めて気づいた方も多いと感じました。私を必要としている人がいる。ならばまずは自分が置かれている環境でできることを精一杯やろう。今はそう吹っ切れたんです」
いずれは昭和大学の他の附属病院で医科と連携して入院患者さんを診る機会もあるかもしれないという。
「全身疾患を持つ患者さんに口腔ケアをすることで入院日数を減らせたり、終末期の患者さんに寄り添いお口をきれいにしたりと、できることも多いはず。そうやって私に助けられる命があるのなら、ぜひ挑戦してみたいですね」
教えて永里さん!
新卒学生に伝えたいことは?
仕事はできることが増えてからが楽しいもの。初めは大変かもしれませんが、どうか続けてほしいと思います。いろいろ教えてもらえるのは新人の特権です。就職先で吸収できるものはすべて吸収して、技術・知識・接遇をどんどん伸ばしていってください。
今取り組んでいる仕事は?
高度な自費治療を長持ちさせるためのメンテナンスや、大学時代から関心があったホワイトニングに力を入れています。各診療科の患者さんを担当するので、さまざまな治療について知識を得ることができ、スキルアップにつながっています。