理想の歯科医師像に向かってぶれずに患者さんと向き合う

歯科医師だった父から「口の中の健康が全身の健康につながる」と教わり、単に歯を治すだけの仕事ではないのだと感じてこの道を志しました。研修修了後は総合病院で口腔外科の研鑽を積み、外科手術なども任せてもらっていました。

総合病院からクリニックに転職したのは、患者さんの幅広い悩みにしっかり対応できるような歯科医師になりたかったからです。病院と一般歯科の大きな違いは、診療方針を全て自分で組み立てなければならないこと。最初は患者さんとのコミュニケーションや診断に慣れておらず、難しさを感じることもありました。一方、総合病院で学んだことが生かされる場面もたくさんあります。たとえば、飲んでいる薬や全身の情報を把握した上で診療する大切さをスタッフに伝えること。また病院時代から得意にしてきた手術を任されたり、難しい症例の相談をもらったりすることもあります。そうやって院内でできることが増えるうち、少しずつ自信をつけていけました。

そんなあるとき、父の歯科医院を継承する話が持ち上がりました。もちろん歯科医師を目指し始めた頃から開業や継承は考えていましたが、いざ継承するとなるとためらいもあって。どうするか悩んでいたところ、当院の理事長から「副院長として働かないか」と言ってもらったんです。経営の勉強にもなりますし、何より理事長からそれだけ評価されていることがうれしく、ありがたく承諾することにしました。

まだ就任して間もないのでわからないことだらけですが、スタッフ教育や経営など、これから学ぶべきことは多くあります。いまの目標は、任される仕事をきっちりこなすこと。将来的に父の歯科医院を継ぐかどうかはまだ悩んでいますが、できることを増やしながら、納得した選択ができればと考えています。今後も「患者さんに寄り添う歯科医師」という目標からぶれることなく、まっすぐ突き進んでいきたいです。