やりたい診療を追求すれば 自ずと道が見えてくる

私の父は産婦人科の開業医。その影響を受け、私も医療の道を志し、学生の頃から「開業医として地域に貢献できる人になりたい」と考えていました。

開業に向け、事業計画を考えるときに大切にしたのは「自分がやりたい診療」を明確にし、軸を持つこと。「どのような診療をどう行っていきたいのか？」「実現するためには何をすればいいのか？」という基準で考えたほうが、診療体制の構築や物件などを決めるうえで効率がいいと思ったんです。

僕が志していたのは小児歯科。でも、大学の先生からは「ドクターひとりで小児の治療をやると赤字で経営が成り立たない」と聞かされていました。だったら小児だけではなく、大人も診られるようにドクター2人体制でやろう。採算がとれるように診療科目を増やそう。2人体制でやるならユニットは4〜8台。その数のユニットを置くなら物件の面積はこのくらい。家族で通ってもらうなら都心への通勤圏内がいい…。こんな感じで掘り下げながら考えていくと、プランを実現するために必要なものが見えてきました。

分院の展開も当初から考えていた計画のひとつ。理由は、万が一自分が倒れたとしても、スタッフや患者さんたちが困らないようにするためです。医院がひとつだけだともうひとりのドクターに負担が偏ってしまうけど、もう1院あれば支え合える。2院だと〝線〞なので、もう1院増やして〝面〞にすれば、より安定するだろうと考えました。

今後の目標は、地域医療のポータルになること。当院でできる治療に全力を尽くしつつ、より高度な治療が必要な場合は大学病院などに紹介できる存在でありたいです。正直、大変なことも多いですが、患者さんのお役に立てたと思えることがあると、この仕事をしていてよかったなとうれしくなるんですよ。これからもスタッフと力を合わせて、多くの方に笑顔になっていただけるような治療を提供していきたいです。