真面目に、ぶっとんで、地域と社会に貢献したい

私が開業した経緯は少し変わっています。勤務医として働いている最中に、勤務先の院長が亡くなってしまったんです。経営が立ち行かなくなって閉院が決まったときに、「私が買い取ります！」と手を挙げました。多くの患者さんやスタッフを抱えている医院を、このまま無くしてしまうわけにはいかないと思ったんです。

でも、引き継いだ後は大変でした。当初は不採算経営だったので、従業員の給与も家賃も、自分の貯金から支払って。そして状況を打破するために、今ほど普及していなかったインプラントを前面に掲げてブランディングをしたんです。もともと大学時代から口腔外科に関心があり、「インプラントで名を馳せてやろう」という野望を持っていました。ありがたいことにスタッフもついてきてくれ、1年後には業績がプラスに。そして2020年には、高度医療メインの分院を立ち上げました。

ところがここで問題が発生しました。私は分院の方に完全にシフトして、本院は勤務医に任せていたのですが、ちょうどコロナ禍に入ったこともあり、本院のスタッフの不満が爆発してしまったんです。そこで私が本院にも入って、スタッフと対話をするようにしました。すると、むしろ分院の立ち上げ前よりも雰囲気が良くなったんです。コミュニケーションの大切さを改めて実感しましたね。今は〝キラポジ〞、「キラキラ輝いているポジティブな人」というのを採用条件にしていて、職場の人間関係が良いことが自慢です。

今後の展望は大きく二つあります。一つは、私が身につけたインプラントのスキルを若手歯科医師に伝えること。そしてもう一つは、健康の観点から地域創生に貢献することです。具体的には「食・美・楽」をコンセプトにしたレジャー施設の建設を計画しています。これからも、歯科医療には真面目に堅実に取り組みながら、ちょっと〝ぶっとんだ〞こともやっていきたいですね。やっぱり、面白い方が良いですから。