「自分にしかできない治療」を追求していく

留学を考えるきっかけとなったのは、大学を卒業して2年目のこと。補綴と咬合について学ぶため歯科臨床の研修会「藤本研修会」に参加し、そこで出会った先生にアメリカでの留学時の話を聞き、同地での研修を勧められたんです。「アメリカでの教育は日本とは全然違うから学んでみたらいいよ」と言われ、海外での研鑽に興味が湧きました。また、当時勤めていた医院の理事長もカナダ留学の経験があり、インプラントを究めている方で。同じように私も専門性を身につけたいと思うようになったのも、転機のひとつとなりました。その後、ニューヨーク大学で基礎研究をしている先輩を訪ねて旅行した際に留学プログラムがあることを紹介され、留学を決意。受験をし、ニューヨーク大学歯学部の歯周インプラント科へ通うため渡米しました。

そこは3年以上臨床経験のある歯科医師がエントリーできるコースだったのですが、日本との違いは治療に集中できる環境が整っていて、とにかく患者さんをたくさん診られること。また論文を書き、それをベースに臨床をするという考え方があるため、学術面と技術面の両方を伸ばしていくことができました。さらに厳格な上下関係がなく、わからないことがあれば教授に気軽に質問できるのもありがたかったですね。アジアやヨーロッパ、アフリカなど世界中から意欲のある歯科医師が集まっていたので、そんな仲間たちと共に研鑽を積めたことも良い刺激になりました。

帰国してからは実家のクリニックに入り、父が理事長、私が院長に。2023年には医院をリニューアルし、より質の高い治療ができる環境を整えました。今後の目標は、アメリカで学んできた自由診療の割合を増やし、患者さんの満足度を高めていくこと。インプラントと歯周病という専門性をベースに「自分にしかできない治療」を手掛けることができたらと考えています。