<7月の対策講座>基本を押さえて得点源に! 保存系科目の勉強法とコツ
合格までナビゲート!【第117回歯科医師国家試験】年間対策レクチャー #3 会員限定暑い日が続くようになってきましたね。国家試験に向けて対策は進んでいますでしょうか。夏から秋の時期にかけてじっくり苦手範囲を潰しておくことは大切なことです。国家試験が迫ってきている意識を持って頑張っていきましょう!
歯科医師国家試験の勉強方法について伝えている本連載ですが、今回から科目ごとの勉強法やコツをお伝えしていきます。今回は、保存系科目(保存修復、歯内、歯周病)です。
保存系科目は臨床系科目の中で具体的な臨床手順をイメージしやすく、多くの人がなんとなく出来るという感覚を持ちやすい範囲です。基本的な内容をしっかりと押さえて点数の取りこぼしがないようにしましょう。
保存修復の問題の特徴と国試勉強のコツ
はじめに保存修復の勉強方法を考えてみましょう。
保存修復治療は、非常に頻度の高い歯科疾患で臨床実習でも治療の経験がある学生が多いはずです。そのような背景もあってか、国家試験の保存修復範囲は治療手順や使用する器具を細かく問われやすい科目です。特に治療の順番に沿って並べ替えを行う問題では、あやふやな理解では答えることが難しいです。治療の術式、使われる器具は、教科書や大学での実習書を見直して細かいところまで確認しておきましょう。
ここでは、特に頻出のコンポジットレジン修復の手順について簡単にまとめておきます。その他にもグラスアイオノマー修復の手順、各接着システムでの接着操作やインレー装着(接着や合着)の手順は頻出ですので必ず確認しておいてください。臨床実習で治療の経験がたくさんある方も、本番で足をすくわれないように教科書的(理想的)な手順を見直しておくようにしましょう。
その他の確認事項もまとめておきました。保存修復の科目としての範囲は多岐にわたりますが、それぞれの項目は簡単なことが多いのでひとつひとつのことを正確に覚えていくのが良いでしょう。
最後に、歯科医師国家試験の勉強をしていて「窩洞の特徴を覚えるのが難しい」というお悩みを多く聞きますので、理解の仕方を解説していきます。
窩洞が具備すべき特徴として、窩洞外形、保持形態、抵抗形態、便宜形態、窩縁形態の5つがあります。ただこのままでは何がどういう特徴かを理解するのが少し難しいですね。これをまずは言い換えてみましょう。
窩洞外形 → 窩洞そのものの外形
保持形態 → インレーが外れないようにするために窩洞に付与する工夫
抵抗形態 → 修復物、もしくは歯質が割れないようにために窩洞に付与する工夫
便宜形態 → 修復物を充填もしくは製作しやすいように窩洞に付与する工夫
窩縁形態 → 窩洞にベベルをつけるかつけないか
このように言い換えてみると整理されて覚えやすいと思います。
例えば、遊離エナメル質の除去は「歯質が割れないようにために窩洞に付与する工夫」なので抵抗形態です。窩縁形態と間違う方が多いですが、窩縁形態はベベルがあるかないかであると単純化して覚えておけば間違えにくいです。
予防拡大は「窩洞そのものの外形」なので窩洞外形に入ります。「う蝕に抵抗する」と考えて抵抗形態だと間違えてしまう方がいますが、抵抗形態とは修復物や歯質が力によって壊れないようにするものなので全然違いますよね。
歯内治療の問題の特徴と国試勉強のコツ
歯内治療範囲は、今回取り上げる保存系3科目(歯周病、保存修復、歯内)では一番点が取りにくい科目かもしれません。保存修復や歯周病よりも、症状やデンタルX線写真などから診断させる問題の重要度が高く、疾患を区別する特徴を把握して自分で歯内疾患を鑑別できる目を養わなければなりません。過去の記事で、急性歯髄炎/根尖性歯周炎の鑑別について解説しているので確認してみてください。
国家試験本番の戦術としては、判断に難しい問題は時間をかけすぎずに、最後に余った時間で再考することも必要でしょう。もちろん、本番までに歯内範囲の勉強をしっかり行った上での話です。歯内治療の科目の中で基礎的だと思われる事項も下にまとめました。
理解が不足している項目がないように本番までにしっかり準備しましょう!
歯周病の問題の特徴と国試勉強のコツ
歯周病範囲は、歯周組織や歯周病原細菌といった基礎的範囲、また歯肉炎・歯周炎や咬合性外傷といった基本的な病態を理解した上で、垂直性骨欠損や根分岐部などに対する歯周外科治療の適応を理解することが重要です。
歯周病範囲が苦手な国家試験受験生の特徴として、歯周外科治療や根分岐部病変などの具体的な問題を苦手と認識し、それらの勉強に集中してしまう方が多いように感じています。
ですが、そのような方々に「付着上皮と付着歯肉の違いはなんですか」といったような歯周組織の基礎的な質問すると答えられない場合が多くありました。
一度、歯周組織の正常な構造や歯周病の病態、歯周病の病原細菌の特徴といった基礎的な分野を復習して理解し正しいイメージを持った上で勉強するのは歯周病の点数を伸ばす一つのコツだと考えています。
歯周病の基礎的な内容と、歯周病範囲が苦手な方が答えられないことが多いと感じている問題をまとめていますので確認してみてください。
基礎をしっかりと作った上で考えると歯周病範囲は、歯周外科手術に関する問題など、問われるパターンがある程度決まっておりシステマティックに正答を導きやすいと言えます。これを機に得点源にしてしまいましょう!
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