先輩はどうしてた? “マッチング”フロー徹底解説 前編
【歯科医師臨床研修マッチングプログラム】今さら聞けない"マッチング"の基本とリアル #1 会員限定「6年生になったらマッチングが始まるのは知っているけれど、実際に何をするのかわからない…」。
そんな歯学部生の声に応え、歯科医師臨床研修マッチングのすべてを解説! これさえ読めば、自信をもって新年度を迎えられるはずです。
第1回・第2回では、6年生の4月から始めるマッチングの流れを、研修を終えた先輩たちの実体験とともに紹介します。
さらにBRUSH編集部に寄せられた「マッチングうわさ話」も必見。信じるか信じないかはあなた次第です!
6年生の4月からでも間に合う! 月別マッチングスケジュール
<4月>臨床研修の方向性を決める
研修期間をどう過ごすかは人それぞれ。まずは「あまり忙しくない医院で研修しながら将来をじっくり考えたい」「やりたい分野が決まっているので、その分野をバリバリ実践できる医院がいい」など、1年間どんな施設で何がしたいのかを考えてみましょう。
まず、研修施設は下記の4つに分けることができます。
出身大学の附属病院 | 慣れ親しんだ環境で研修したい人に |
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他大学の歯科附属病院 | 学びたい分野がある人、環境を変えたい人に |
医科大学/一般病院 | 口腔外科を経験したい人に |
開業医 | 就職活動も兼ねたい人、とにかく手を動かしたい人に |
もっとも多くの研修医に選ばれるのが「出身大学の附属病院」。知っている先生も多く、安心感のあることが大きなメリットとなります。
その次に多いのが「他大学の歯科附属病院」。たとえば昭和大学には美容歯科が設けられているなど、各大学にカラーがあるので、やりたい分野で選ぶ人に向いています。
医科大学や一般病院は、「口腔外科」での研修になるのが特徴。研修中から本格的なオペを経験したい人に最適です。
開業医は早くから治療に携われるところが多数。また研修後にそのまま就職できるケースもあるので、マッチングと同時に就職活動も行いたい人にオススメです。
方向性が決まったら、臨床研修プログラム検索サイト「D-REIS」を使って情報収集。どの研修先なら自分の希望がかなえられるのかを調べていきます。
BRUSHでは、主な臨床研修施設のカリキュラム・試験日程・給与などが一目でわかるリストを公開予定! ぜひチェックしてください。
マッチングうわさ話
某大学はヒマすぎる!?
東日本にある某大学は、研修が楽なことで有名なんだとか。担当の患者さんが少なく、アシストも頻繁には回って来ないので、昼寝したり、抜け出して遊びに行ったりと自由に過ごせるそうです。
のんびりしたい人にはいいかもしれませんが、ちゃんと手を動かしたい人には物足りないかも?
<5月> 説明会に参加&見学する
研修内容や雰囲気は実際に見てみないとわからないもの。研修が始まって「想像と違った」と後悔しないように、候補の研修先にはきちんと足を運んでおきましょう。
特に開業医の場合は先輩や院長と話す機会を設けてもらえることが多いので、疑問点を書き出して行くのもオススメです。
見学・説明会の案内は各施設のWEBサイトに掲載されているので、申し込みフォームから応募するか、電話・メールでコンタクトを取ります。いきなり電話をかけて「見学したい」と伝えるのは勇気が要るかもしれませんが、施設側は研修生を受け入れることにメリットがあるので、見学も大歓迎だそう。遠慮せず、どんどん申し込みましょう!
マッチングうわさ話
見学時にスカウトされることも!?
院長と直接話ができる開業医の場合、見学時に「希望順位を1位にしてくれたら採ってあげるよ」とこっそり言われる人もいるんだとか。
ただ、それを鵜呑みにするのは危険! いざ1位にしてみたらマッチできなかったということも起こりうるので、甘い言葉に惑わされず、本当に自分の行きたいところを選ぶようにしましょう。
<6月> 参加登録スタート! 気になる施設に願書を提出
登録開始日になったら、「歯科医師臨床研修マッチングプログラム※」からマッチングへの参加登録を行います。2024年度の登録期間は6/11(火)~7/30(火)。これを忘れると、マッチング自体に参加できなくなってしまうのでご注意を!
また同時期に、各研修施設の選考申し込みもスタート。選考を受けなければマッチングできないので、気になる施設の数だけ願書を出す必要があります。
応募締切は6月から9月までと施設によってまちまち。気づいたら募集期間が終わっていた…なんてことのないように、必ず確認しましょう。
※「歯科医師臨床研修マッチングプログラム」:一般財団法人 歯科医療振興財団が運営するマッチングシステム。6~7月の間に、学生・研修施設がそれぞれ参加登録を行う。9月になったら、学生は「研修したい施設の希望順位」、施設は「採用したい学生の希望順位」を登録し、一定のアルゴリズムのもと自動的にマッチングされる。
提出物の例
- 願書
- エントリーシート(志望動機、自己PRなど)
- 卒業見込み書
- 成績証明書
- 推薦状
- 健康診断書
●学びたい科があるか、人間関係が良さそうか(国立大学/出身大学附属病院)●実際に患者を診れるかどうか(私立大学/他大学附属病院)●忙しさ。ヒマなところがよかった(私立大学/他大学附属病院)●同期がいるか(国立大学/出身大学附属病院)●研修医試験の手軽さ(国立大学/他大学附属病院)●院長の人柄(私立大学/開業医)●厳しくないか、給料(国立大学/出身大学附属病院)
※(卒業大学/研修施設)
やりたい分野がある人は、研修内容を重視していたよう。一方、「楽ができるか」を基準にしていた人も。
マッチングうわさ話
成績を一切見ない施設もある!?
願書を出す際は成績証明書を添えることが一般的ですが、中には「完全に人柄重視、成績は不問」という施設もあるそう。
学生にはありがたい話ですが、マッチングした学生が国家試験に落ちてしまうこともあるので、施設側にとっては賭けかもしれません。
<7~8月> 各施設の選考試験を受ける
大学の面接は短時間で行うことがほとんど
選考方法は筆記試験や面接、小論文など施設によってさまざま。たとえば昨年の東北大学は書類選考と事前提出の小論文でしたが、新潟大学では書類選考、筆記試験、面接に加えてグループ討議も行われていました。何を準備すればいいか、あらかじめ調べておきましょう。
筆記試験は大学で習った知識を問われるものがほとんど。過去問を入手することもできないので、日頃の勉強がものを言うことになります。
面接では志望動機や「どんな歯科医師になりたいか」を聞かれることが多いようです。ただ、大学病院の場合は面接が5分程度とかなり短めなんだとか。短時間でも良い印象を残せるよう、笑顔でハキハキした受け答えを心掛けましょう。
●低学年の時から勉強(私立大学/他大学附属病院)●内部生なので、普段のテストです(私立大学/出身大学附属病院)●面接で自分の意見を伝える練習(国立大学/他大学附属病院)●過去数年分の国試の必修問題(私立大学/出身大学附属病院)●診療に対する自分の信念を持つこと(私立大学/他大学附属病院)●研修先の先生に情報をもらう(国立大学/総合病院)
※(卒業大学/研修施設)
やはり国試対策や、普段の勉強が要になるようです。中には「髪型、スーツのシワなど身だしなみ。面接でチェックしていたと聞いた(私立大学/総合病院)」という声も。
マッチングうわさ話
歯科医院で英語のリスニング!?
当日まで何が出るかわからないのがマッチング選考試験。とある医院では、いきなり英語のリスニングテストが始まったんだとか。
歯科の知識に加え、一般教養や語学力も身につけておいたほうがいいかも?
<9月> 希望順位を登録
「歯科医師臨床研修マッチングプログラム」で、事前に選考を受けた中から研修先候補の施設を選び、希望順位をつけます。
希望数に制限はなく、過去には80近くの施設を登録した人も。とはいえ、第4希望以下の施設に決まる人は5%とかなり少ないため、希望数も3~4施設に絞っておくのが一般的なようです。
●配当新患数が多いこと(私立大学/他大学附属病院)●研修期間から専門診療科に所属できるため(私立大学/他大学附属病院)●大学院進学を考えていたため、出身大学を選んだ(国立大学/出身大学附属病院)●家賃補助がある(私立大学/出身大学附属病院)●各科を十分に回れ、スモールステップで成長できると感じたから(国立大学/他大学附属病院)●先輩が1から教えてくれる環境(国立大学/開業医)
※(卒業大学/研修施設)
研修内容が決め手になったという声が多く見られましたが、中には「実家の近くだから」「同期が多いから」という理由で選んだ人も。
マッチングうわさ話
最後のとりでは母校?
成績が思わしくなかったり、コミュニケーションがうまく取れなかったりして、外部の研修先に行くのが難しい人も、母校なら受け入れてくれることもあるとか。
とはいえ、それも受け入れ枠の多い私立大学に限った話。国立大学など、そもそも募集人数が少ない場合は希望してもマッチングできないことが多いそうなので、油断は禁物です。
後編では、臨床研修先決定から研修開始までの流れを解説します。
第一志望の研修先にマッチできる人はどれくらい? 選んだ研修先に後悔している人は? お楽しみに!
監修/野田太世 企画協力/AP(歯学部生エディターズ) 文/編集部
※「マッチングうわさ話」は現役歯科医師からの口コミを収集したものです。公式な情報ではありませんのでご注意ください。