歯科業界の就活にも応用できる「選択力」とは?
茂木健一郎さんに教わる就活での「最高の選択」 #1「選択」から実行へのプロセス
プロセスを理解することで、選択の精度が上がり、スピードも格段にアップ。よい結果につながる選択ができるようになります。ショートカットすることなく、図のプロセスひとつひとつを、順を追って自分のものにしていきましょう。
選択のプロセス
1 “リサーチ沼”にハマるべからず
気になる医院の詳細やキーパーソン、海外を含めた歯科業界の動向などを調べるのは基本中の基本です。ただし、リサーチそのものが目的化しては本末転倒。リサーチとはあくまでも、自分の頭で考えて選択するための情報を得る手段です。ありもしない“正解”を求めて時間をかけすぎたり、リサーチだけでやった気になる“リサーチ沼”に気を付けましょう。
2 絞り込みは「勝ち抜き戦」
絞り込みのコツは「勝ち抜き戦」です。AとBを比べてAが良いとなったら、次はAとCを比較、やはりAがよければ今度はDと。これを続けて、最後に残ったものを選択します。長所から見ることで、より自分にフィットしたものや、いい結果につながるものを選びやすくなります。逆に消去法は、あるはずの長所を見逃してしまうことになりかねません。
3 ボーッとして選択の質と精度を上げる
ある程度、就職先が絞れてきたら、一旦結論を脇に置いてボーッとする。これが選択の質と精度を上げるコツです。何かに集中しているときの脳は、特定の回路だけが稼働していますが、ボーッとしているときは、全回路がアイドリング状態。普段は稼働しない回路も開きやすく、ひらめきを得やすいので、確信をもって選択に踏み切ることができます。
4 選択と同時にプランBもつくっておく
3つのプロセスを経てたどり着いた選択は、まさに自分の頭で考えたもの。それが現時点での最適解ですが、100%確実ではないのも事実です。状況の変化などで軌道修正せざるを得なくなった場合に備え、プランBを用意しましょう。使わなければそれに越したことはないし、プランBがあることで、安心してプランAに邁進することができます。
5 選択したら即行動を開始
自分で考え選択し、プランBまでつくったのによい結果に結び付けられないのは、多くの場合いつまでもグズグズしているからです。選択と実行はセットと考え、決めたら即、行動を開始しましょう。新しい経験をすればするほど脳内にはドーパミンが放出され、行動が加速し、それによりさらにドーパミンが放出される、好スパイラルに突入します。
6 しつこく続ける
もうひとつ大事なのは、「しつこく続ける」こと。就活で言えば、これという医院に出会い、就職できたら、自分の選択を信じて一生懸命、頑張ることです。選択の結果が出るまでには、それなりの時間がかかるもの。でも、ものごとを成し遂げるには続けていく以外に方法はありません。プランBの存在をお守りに、全力で仕事に取り組みましょう。
プロセスを理解することで、選択の精度が上がり、スピードも格段にアップ。よい結果につながる選択ができるようになります。ショートカットすることなく、図のプロセス一つひとつを、順を追って自分のものにしていきましょう。
いかがでしたか? 本講義では選択のプロセスの導入部分をレクチャーしてもらいました。次回は2時限目からです。選択力を高める行動や脳のトレーニング方法の講義になります。少しずつ、選択力を高めていきましょう!
撮影/泉山美代子 文/伊藤由起
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