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吐き出す? 吐き出さない? ミネラル含有ペースト【+αの予防製品 後編】 連載コラム

吐き出す? 吐き出さない? ミネラル含有ペースト【+αの予防製品 後編】

みんなでハマろう! オーラルケアグッズ沼 #8

歯学部生なら興味がある、歯ブラシや歯磨き粉、フロス、歯間ブラシなどのオーラルケアグッズ。

でも、種類やトレンドについてそんなに詳しく知らないのではないでしょうか。

本連載では、オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長であり、オーラルケアグッズの魅力を知り尽くしている酒向淳さんに、オーラルケアグッズ沼へといざなっていただきます。

液体歯磨剤と洗口液の売れ筋は?

そろそろ本題に。今回はややこしいこと抜きで、医療用医薬品や第3類医薬品は除いて、化粧品と医薬部外品の大手ブランドに絞っていこうと思う。

まずは液体歯磨剤。

やはり一番売れているのはジョンソン&ジョンソンのリステリンだ。アメリカで外科用の消毒液として1865年に生まれ、その後口腔用として進化した。日本では化粧品の洗口液として1985年に販売が開始され、1990年に医薬部外品に格上げされた歴史がある。そして現在は種類によって液体歯磨と洗口液の両方がラインナップされていて、歯科用もある。
さらに付け加えると、1990年に医薬部外品に格上げされたのだが、一部の商品は再度化粧品に格下げして、再販売している。歴史的にも、分類的にも、もうわけがわからない状態なのだ。ちなみにリステリンの有効成分はエッセンシャルオイル(1,8-シネオール、チモール、サリチル酸メチル、ℓ-メントール)なのはご存じの通りだ。

さて、その次だが、世の中の売れ筋ランキングを見ると別の商品が入るのだが、注意が必要だ。売れ筋ランキングは単種単位で集計するので、たとえば複数のフレーバーが存在すると、順位が入れ替わる。だから今回はブランドで再編すると、販売総数は、やはりサンスターGUMだ。こちらは歯科用の化粧品をひとつ除いて、すべて医薬部外品だが、液体歯磨と洗口液があり、薬用成分の基本は塩化セシルピリジニウム(CPC)だ。その他、種類によって、塩化ベンザルコニウム(BKC)、グリチルリチン酸2K(GK2)、トラネキサム酸(TXA)、酢酸トコフェロール(ビタミンE)、β-グリチルレチン酸(β-GR)が添加されている。

そしてその次はアース製薬のモンダミンだ。リステリンに続く、化粧品の洗口液として1987年に販売が開始され、いまでも販売が続く日本発の洗口液の老舗ブランドだ。ちなみにモンダミンという語呂はフランス語由来なのだそう。2017年に液体歯磨カテゴリーを出すまで、洗口液一筋で、成分によって化粧品と医薬部外品だけで、わかりやすいラインナップだった。ただ商品自体は、化粧品の強みを活かして、多種の変わった商品にも挑戦している。また、昭和生まれの消費者であれば、「お口クチュクチュモンダミン」フレーズのCMを記憶しているのではないかと思う。
ただ近年オリジナルの化粧品分野では元気がなく、売り上げシェアを下げていて、液体歯磨タイプも2019年に挑戦して発売していたが、いまはすべて取りやめている。一方、高級路線では人気が高く、2018年には歯科用にも参入しているが、歯科用洗口液ではもっとも伸びているブランドだ。

ちなみに歯科用洗口液1位はウェルテックのコンクールFで、成分はグルコン酸クロルヘキシジン(CHX)だ。世界でも有力な成分の一つだが、日本では医療事故の歴史や、粘膜に使用禁忌となっている法律が存在することから、薬剤濃度の自主規制が始まり、昭和な時代の成分として、徐々にシェアを落としている。

左は歯科用コンクール洗口液で医薬部外品。右は歯科用リステリン液体歯磨剤で医薬部外品
左は歯科用コンクール洗口液で医薬部外品。右は歯科用リステリン液体歯磨剤で医薬部外品

いま伸びているのは?

もともと「液体歯磨剤&洗口液」カテゴリーは群雄割拠で入れ替わりも激しい。ただ、数量では次点だし、ランキングも上がったり下がったりだが、ライオンのNONIOが伸びていると感じている。ライオンはクリニカとシステマに、OCH-TUNEとデントヘルスも展開しているので、全方向で分散されていて、気まぐれな消費者の受け皿になっていると筆者は分析している。

そして最後は花王。こちらもピュオーラに、クリアクリンとディープクリーンで展開していて、商品種類はすさまじい一方、本家HPで、液体歯磨で検索すると「該当なし」、マウスウォシュで検索しても「該当なし」。洗口液で検索すると一部商品のみ。仕方ないので、「液体・泡ハミガキ」と検索すると、こちらも一部商品だけ表示される。「全部でないんかい!?」と思うのは筆者だけなのだろう。たぶんだが、あまり会社として洗口液関連に関心がないのだと思う。大手ドラックストアの大型店舗にさえ、花王の商品がないことも珍しくない。ただし商品自体は、凝って尖った良い商品が多いと思う。諦めが早くすぐリニューアルするけれど…。

ブームは?

筆者も把握できない種類の製品が存在し日々販売され、マイナーブランドは、誕生と消滅を繰り返している分野だが、その中で記憶に残っているブームは「汚れが見える」製品だ。要は「カテキン」が唾液のタンパク質と反応しているだけなのだが、一時期よく目にした。ただ、栄枯盛衰が早い世界だけに瞬く間に縮小していった。

ミネラル含有ペーストとは

最後に「〇〇で歯が元気!」の分野であるミネラル含有ペーストだ。筆者が「もう少し法律整備したら?」と一番思っているカテゴリーで、もっとも混沌としている世界だ。今回ペーストとしたが、パウダーや他形状も存在する。

成分としてはハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウムが代表格だが、化粧品分類になると自由度が増すので、卵殻、貝殻、サンゴと挙げたらきりがない。目的もさまざまで、歯がつるつる、黄ばみ対策などなど。

ただ、ミネラル含有ペーストという法律上の区分けはなく、ハミガキ分類に含まれてしまっている。だからこのカテゴリーにおいて歯科医院で一番有名なのは、GCのMIペーストだが、使用説明書には「使用開始30分後に吐き出す」表記がある。口の中に成分が残っていないと思う時間が無理矢理に書いてあるのは、前述したが、そもそもハミガキは「吐き出す」という言葉がないと販売ができない法律があるからだ。店舗でも「これが、歯医者さんがいう、塗ってそのままにしていいやつ?」と聞かれて、返答に困ることが多々ある。子どもの虫歯予防として歯科医院で推奨されている製品なのだから、口腔化粧品のまま放置せず、いいかげん整理をして欲しいと思うのは筆者だけなのだろうか?

ミネラル含有ペーストの商品。左は医薬部外品、右は化粧品
ミネラル含有ペーストの商品。左は医薬部外品、右は化粧品

理解できた?

サブカテゴリー3つの、まぜまぜの世界を紐解いてきたが、理解が深まっただろうか? より混迷を深めただけかもしれないが、とくに「液体歯磨剤&洗口液」に関しては、医療用フッ化物洗口液を薬剤師が販売できるようになってから久しい時間が経過したが、あまり関心が高まったようには感じない。

筆者としては医療従事者には、「ぐじゅぐじゅぱ」系を毛嫌いしないでもらいたいと感じていて、今回の「沼」記事がお役に立てればと思っている。

酒向淳

酒向淳

オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長。2001年にドイツに移住・転職した際、ドイツの「メガデント」本店の「自分に合った道具でより効果的にケアを行って健康的に生きる」というコンセプトに共感。「メガデント」本店での研修を経て、2009年に銀座店を開業した。店頭にはヨーロッパ製品を中心に1000種類を超えるアイテムが並び、そのすべてを試している。
「メガデント銀座店」
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-10 松楠ビル1F
http://www.megadent.co.jp/index.html

オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長。2001年にドイツに移住・転職した際、ドイツの「メガデント」本店の「自分に合った道具でより効果的にケアを行って健康的に生きる」というコンセプトに共感。「メガデント」本店での研修を経て、2009年に銀座店を開業した。店頭にはヨーロッパ製品を中心に1000種類を超えるアイテムが並び、そのすべてを試している。
「メガデント銀座店」
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-10 松楠ビル1F
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