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混沌を極めるフッ化物配合ジェルと洗口液の分類【+αの予防製品 前編】 連載コラム

混沌を極めるフッ化物配合ジェルと洗口液の分類【+αの予防製品 前編】

みんなでハマろう! オーラルケアグッズ沼 #7

歯学部生なら興味がある、歯ブラシや歯磨き粉、フロス、歯間ブラシなどのオーラルケアグッズ。

でも、種類やトレンドについてそんなに詳しく知らないのではないでしょうか。

本連載では、オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長であり、オーラルケアグッズの魅力を知り尽くしている酒向淳さんに、オーラルケアグッズ沼へといざなっていただきます。

フッ化物配合ジェルと洗口液とミネラル含有ペースト

今回のテーマは、多くの人から二度手間で「めんどくさい」と言われても、歯医者さんたちは使って欲しいと思っている、フッ化物配合ジェルことフッ素ジェルと洗口液、そしてミネラル含有ペーストにスポットライトをあてていこう。

フッ化物配合ジェルとは

医薬医療機器法等の分類によると、「歯みがき類」は歯ブラシを併用する歯磨剤と、歯ブラシを併用しない洗口液に大きく分類され、そして歯磨剤は「固形・粉・潤製・練・液状・液体」の6系に分類されている。つまり全部で7系あるわけだ。
そのうち液体歯磨剤と洗口液だけは、清掃剤(研磨剤)と粘結剤が配合されていないのが特徴である。

そして巷でよく使用される名称の「フッ素ジェル」はというと、歯磨剤カテゴリーの液状に分類され、清掃材・粘結材はもちろん発泡剤さえも含まれるケースがあるのだ。

つまり見た目はトロトロの性状でも、研磨性はゼロとは限らないし、ネット情報だと誤解して間違っているケースが多々あり注意が必要だ。

とくに広告にいたっては「研磨剤無配合」と前面に堂々と書いてあっても、成分を確認すると、清掃材や粘結材としてシリカが入れてあるなど、嘘ではないにしても深~い闇がある。

フッ化物配合ジェルは3種類ある

さて本題に入ろう。口腔向けのフッ化物自体は、世界を見ればたくさん種類があり、日本でも医療用には多くの選択肢がある。ただ、国内ではネットショップも含めて、一般店に広く流通しているフッ素ジェルは、フッ化物の違いで2種類、歯科用を含めると3種類だけだ。

フッ化ナトリウム(NaF)とモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP=MnF)。それにフッ化第一スズ(SnF)だ。「薬」としての細かい効能説明は、専門書にゆずり、今回はもっと生活密着な点から掘り下げよう。

おそらく多くの人にとっての疑問点は「薬機法を守りつつ一般店で、どう説明しているのか?」だと思うが、当店ではとてもシンプルに「まじめな人」用と「それ以外の人」用と説明している。

「反応が早く、汚れにも取り込まれやすいけど、浅くしか浸透しないタイプ(フッ化ナトリウム)と、反応は遅いが、深いところまで浸透するタイプ(モノフルオロリン酸ナトリウム)がある。普通は前者だけど、熱心に時間をかけて磨ける人は後者を選ぶといいね」とアドバイスして「後は自分で考えてみてね。細かい話は歯科衛生士さんに聞いてね」である。

そして虫歯が多い子どもがいて家族が困っているときだけは、「もう一つ種類があって、より効果は高いのだけれど、歯に茶色の着色がついてしまうよ(フッ化第一スズ)。歯科医院でなら取れるけど、家庭では取りにくいから、歯科衛生士さんに聞いてからがいいかも?」と説明している。

そして薬剤濃度は、本来は乳歯と永久歯の数や、口の中の状態によって変えるべきなのだろうが、一般店なので厚生労働省の推奨どおり、2歳から5歳までが500ppm、6歳から14歳までが950ppm、15歳以上は1450ppmと、わかりやすい年齢別に考えてもらい、商品に書いてある濃度を確認して選ぶよう推奨している。

そして大人も子どもも、就前はフッ素ジェル、それ以外の時間帯はハミガキを使用することを推奨している。

また歯科医院では「使用後はゆすがなくてもよい」と説明をしている場合もあるが、法律上はハミガキの使用書には「口から吐き出す」と記載がないといけないので、一般店ではやはり「使用書に書かれている以外の方法については、歯科衛生士さんに聞いてください」となる。

ただ、実際質問が一番多いのは「フッ素って本当は体に良くないんでしょ?」なのが、この国の現状だ。ここでは詳細は避けるが「PFAS」報道も含め、ナチスやKGBでの歴史関連話や、インプラント用歯磨剤の過大広告など、やはり心配している人は一定数いるので、巷の一般店としては、医療機関には丁寧な対応をしてもらいたいと感じている。

左からモノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム×2、フッ化第一スズ×2の商品。すべて歯科用、医薬部外品
左からモノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム×2、フッ化第一スズ×2の商品。すべて歯科用、医薬部外品

ややこしい液体歯磨剤と洗口液

大事なのでもう一度。法律上「歯みがき類」は「歯磨剤」と「洗口液」に大きく2つに分類され、そして歯磨剤は「固形・粉・潤製・練・液状・液体」の6系に分類されている。つまり全部で7系あるわけだ。

そしてこれに医薬品としての分類分け、医薬品、指定医薬部外品、医薬部外品、化粧品が重なり、さらには歯科用なる分類も存在する。それぞれ義務表記と任意表記が混在して、複雑な様相を呈している。

さらに巷には「リンス」という言葉があり、一部の製品上にも書いてある。このいわゆる「デンタルリンス」という表記は曲者で、液体歯磨剤でも洗口液でも使用され、ときには同じブランドで医薬部外品だったり化粧品だったりする。さらには「マウスウォッシュ」なる言葉もあり、もうまぜまぜに使用されていて、分類上どれになるのか、使用方法はどうすればよいのか、ほとんどの人が、いや自分でさえ理解できない状態にある。

だから、製品の表には「ブクブクするだけ。簡単!」と書いてあるのに、裏には「リンス後はブラッシングをしてください。」と書いてあることがあり、「誰か法律を整理してくれ~」と筆者はいつも思っている。

「ぐじゅぐじゅぱ」の商品たち
「ぐじゅぐじゅぱ」の商品たち

洗口液の有効成分による使い分けは?

さて、そんなハチャメチャな分類を理解してもらった後は「お前は使い分けているのか?」について答えていこう。

ここまで文句言っておいてなんだが、実際は「特にしていない」のである。理由は、もともと “ぐちゅぐちゅぱっ“系のオーラルケア商品は、この10年で、もっとも売り上げを伸ばしたオーラルケアカテゴリーで、CMが流れている大手商品のみならず、OEM商品・ネット専売品・歯科用を含めると、もの凄い数の商品が売られている。

理由としては、製造販売業者にとって、特に化粧品分類の洗口液は、参入障壁が低く、歯ブラシのように単価が安く価格競争も激しい上に交換頻度も低い分野とは違い、オーラルケア商品なのに単価が高くても買ってもらえて、しかも減ってなくなり繰り返し購入してもらえるので、十分な利幅が確保できる「おいしい」商品なのだ。

一方消費者側としては、そもそも病気のためではなく、「口臭」を防ぐのが主目的の人が多いし、味や香りの嗜好性も高く、美を追求する理美容品に近い感覚なのだ。

ところが、肝心の医療従事者はというと、「洗口液はイオン系と非イオン系に分かれて~、バイオフィルムにはエッセンシャルオイル系が浸透しやすくて~、でもそもそも薬用成分は0.5mmしか歯周ポケットには入らないからな~。それに商品ブランドはよくわからないし、患者さんが使ってくれるなら、どれでもいいや!」ではないだろうか。

つまり商品を売りたい業者に、効果期待値が高すぎる一般消費者と、諦めている医療従事者に、何もしない行政者。筆者は、この四者の意識の差が、いまの「はちゃめちゃ」な市場形成に落ち着く原因と感じている。いずれ整理することになるのだろうけど、いつになることやら。ちなみに、2016年の日本人の洗口液の使用率は33%で、アメリカ人は63%となっている。

後編へ続く…。

酒向淳

酒向淳

オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長。2001年にドイツに移住・転職した際、ドイツの「メガデント」本店の「自分に合った道具でより効果的にケアを行って健康的に生きる」というコンセプトに共感。「メガデント」本店での研修を経て、2009年に銀座店を開業した。店頭にはヨーロッパ製品を中心に1000種類を超えるアイテムが並び、そのすべてを試している。
「メガデント銀座店」
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-10 松楠ビル1F
http://www.megadent.co.jp/index.html

オーラルケアグッズ専門店「メガデント銀座店」の店長。2001年にドイツに移住・転職した際、ドイツの「メガデント」本店の「自分に合った道具でより効果的にケアを行って健康的に生きる」というコンセプトに共感。「メガデント」本店での研修を経て、2009年に銀座店を開業した。店頭にはヨーロッパ製品を中心に1000種類を超えるアイテムが並び、そのすべてを試している。
「メガデント銀座店」
〒104-0061 東京都中央区銀座1-14-10 松楠ビル1F
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