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1年目はどんな働き方をする? 認定医の資格は必要? 女性のキャリアプランは? キャリア

1年目はどんな働き方をする? 認定医の資格は必要? 女性のキャリアプランは?

歯学部生と入職1年目の歯科医師で夜キャンプ #3

臨床研修のこと、就活のこと、キャリアのこと…。学生時代は、まだまだわからないことだらけ。コロナ禍で先輩とのつながりも薄くなってきた昨今、「相談できる人がいない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、歯学部5・6年生と、入職1年目の先輩たちで夜キャンプを開催! バーベキューやお酒で距離を縮めながら、普段気になっていることをざっくばらんに語ってもらいました。

最終回となる第3回では、「歯科医師のキャリア」についてお話しています。

※座談会は10月中旬に行われ、撮影時以外はマスクを着用していただきました。
※座談会は10月中旬に行われ、撮影時以外はマスクを着用していただきました。

参加メンバー

質問した歯学部生

西田泰雅さん

東京医科歯科大学6年生

西田泰雅さん

大学ではアカペラサークルとジャズ研究会に所属。トロンボーンを担当していた。現在はサウナめぐりにハマっている。

大学ではアカペラサークルとジャズ研究会に所属。トロンボーンを担当していた。現在はサウナめぐりにハマっている。

松波香穂さん

東京医科歯科大学6年生

松波香穂さん

子どもの頃に前歯を折り、東京医科歯科大学で治療を受けたのがきっかけでこの道へ。大学では卓球部に所属。

子どもの頃に前歯を折り、東京医科歯科大学で治療を受けたのがきっかけでこの道へ。大学では卓球部に所属。

柴岡 良さん

日本歯科大学5年生

柴岡 良さん

5年生の後半を迎え、今何をするべきか悩んでいる。将来の目標は、地域医療に貢献できる歯科医師になること。

5年生の後半を迎え、今何をするべきか悩んでいる。将来の目標は、地域医療に貢献できる歯科医師になること。

大村聖良さん

日本歯科大学5年生

大村聖良さん

人と関わることが好きで歯科医師を志す。視野を広げるため、さまざまな先生と話しながら進路を模索中。

人と関わることが好きで歯科医師を志す。視野を広げるため、さまざまな先生と話しながら進路を模索中。

答えてくれた先輩

野田太世先生

北上尾歯科勤務

野田太世先生

東京医科歯科大学卒。5年生の頃から医院見学を始めていた行動派。将来は9割の治療に対応できる歯科医師が目標。

東京医科歯科大学卒。5年生の頃から医院見学を始めていた行動派。将来は9割の治療に対応できる歯科医師が目標。

西山みき先生

医療法人社団 誓栄会勤務

西山みき先生

九州大学卒。大学は福岡、研修は大阪、就職は東京と北上中。就活では人間関係を重視していた。今年結婚したばかり。

九州大学卒。大学は福岡、研修は大阪、就職は東京と北上中。就活では人間関係を重視していた。今年結婚したばかり。

渡部準也先生

東京医科歯科大学 大学院1年

渡部準也先生

東京医科歯科大学卒。大学を首席で卒業し、現在は同大学院で基礎研究に従事。当サイトでは国試対策の連載も執筆。

東京医科歯科大学卒。大学を首席で卒業し、現在は同大学院で基礎研究に従事。当サイトでは国試対策の連載も執筆。

小山瑶生先生

医療法人社団 桜宗会勤務

小山瑶生先生

日本歯科大学 新潟生命歯学部卒。学生時代はESSとワンダーフォーゲル部に所属。5年生の頃にマンチェスター大学へ2週間留学した。

日本歯科大学 新潟生命歯学部卒。学生時代はESSとワンダーフォーゲル部に所属。5年生の頃にマンチェスター大学へ2週間留学した。

歯学部生のお悩み⑤ 入職後は、どんな働き方をするの?

先輩に聞いた! 入職1年目の理想と現実

野田先生
野田先生
理想:仕事もプライベートの時間も充実させる
現実:勉強や患者さんの資料作りで意外と忙しい
西山先生
西山先生
理想:患者さんひとりひとりに時間をかけて治療する
現実:限られた時間の中で全力を尽くす
渡部先生
渡部先生
理想:研究をしながら臨床もきちんと経験する
現実:診療補助や医局の仕事も多く、バランスを取るのが大変
小山先生
小山先生
理想:自分の枠を持ち、実践を重ねていく
現実:初めのうちはアシストと模型練習が中心

やはり、皆さん入職後に「イメージと違った!」と感じることがあったようです。

でも、何事も思い通りにいかないのは当たり前。

先輩たちは、そのギャップをどのように乗り越えてきたのでしょうか?

働き始めるとやっぱり大変ですか?
忙しくても、やりがいがあるから頑張れる!

西田:皆さん、入職後はイメージしていた通りに働けていますか? 研修と違って仕事となると、思ったより大変なんじゃないかと…。

西山:自分の職場に対してイヤなところは全然ないなあ。でも、入職前はもっと患者さんひとりひとりに時間をかけられると思ってた。やっぱり医院全体のことを考えると、そうもいかないことはあって…。

野田:時間に関してはみんな多少なりともギャップはあるんじゃないかな。僕は治療時間は自由に決められるけど、意外と臨床以外の仕事が多くて忙しい。あと、大学で学んだことが臨床ではほとんど役に立たないのを実感してショックだったな。

松波:えっ、そうなんですか…。

小山:やっぱり勉強と実践は違うよね。私はもっとたくさん治療に取り組めるのを期待してたけど、初めは模型練習ばかりで、「なんか違うな~」と思ってた。

大村:今は治療もできるようになったんですか?

小山:うん。むしろ、模型でできないことは口腔でも絶対にできないし、ひたすら練習する時間は大切だったんだと思うようになったよ。先輩が模型を細かくチェックしてアドバイスしてくれたから、患者さんの治療にも活かせているし。

柴岡:練習でちゃんと自信をつけられると、実践のときも緊張が軽くなりそうですね。 渡部さんは、大学院で毎日研究をされているんですか?

渡部:僕は研究が基礎系なのもあって診療枠は週1日で、外来がある日も含めて毎日研究してる。臨床系の大学院だと、1年目はしっかり臨床をするところもあるみたいだよ。

松波:ほぼ毎日研究なんですね。大学院ってやっぱり忙しいですか?

渡部:想像以上にハードではあったかな。研究と自分の臨床以外にも、診療補助や外来の仕事がいろいろあって。でも、できなかったことができるようになったり、新しい実験に挑戦したときはやっぱり楽しい。臨床もそうだと思うけど、結果が出てくるとやりがいが大きいよね。

野田:たしかに。その喜びがないとどんな仕事も続かないよね。

柴岡:研究は大変そうだけど、絶対面白いだろうなあ。卒業後はどうされるんですか?

渡部:研究者になろうと思ってます。

全員:かっこいい~!

渡部:だから、早いうちにいい論文を出さなきゃいけないんだけどね。大学院では研究を頑張りつつ、医局の勉強会でいろんな症例や論文を見て臨床も勉強していきたい。

小山:渡部さんはきっと将来、日本の歯科業界を背負うと思う!

柴岡:今は大学で実習をしているんですが、本当に技術がちゃんと身についているのか不安で…。他の大学だともっと治療を経験できるって噂を聞くと焦ります。学生時代にやったことで差はついてしまいますか?

野田:学生のとき、実習で来てくれた開業医の先生に「最初の1~2年は大学の実習で培ってきた手先の器用さで差がつく。でも、3年たつとみんなできるようになる」って言われたことがあるよ。もちろん実習で経験したことでスタートラインは変わってくるけど、その後はどれだけ熱心に練習したかで決まるんだなって、僕自身も先輩たちを見て思う。

大村:学生時代の差は埋められるものなんですね。

小山:全然埋められる! 結局はCRを10回したか、15回したかってくらいの違いだと思うから。私は「3年目で一旦差が埋まって、5年目からは本当の差がつき始める」って聞いたよ。

松波:5年目から! それはなぜですか?

小山:「自分はできる」って過信した人と、「こうしたい、こうなりたい」って理想を持って頑張る人の差かな。手先が器用じゃなくても、向上心があればそれがアドバンテージになるって。

西田:そうかあ。あと、治療を短い時間でこなすのが不安なんですが、慣れていくものですか?

小山:アポの時間は医院によるけど、治療は自然と早くなっていかない?

西山:そうそう。入職したての頃は毎回1時間のアポを取ってもらって、今は自分で時間を決めてるけど、「この処置なら30分でできる」ってわかるようになった。

野田:自分で区切っていくのは大事だよね。30分を目標にしていても、1時間枠を取っているとなんとなく時間がオーバーしちゃう。「絶対に30分で終わらせる!」って決めて、練習していかないと。

渡部:前の診療が長引いたり、予定通りにいかないこともあるから、患者さんにもきちんと説明して、臨機応変に対応する。それができれば、だんだん自信もついてくるよ。

西田:よし、頑張ります!

歯学部生のお悩み⑥ どうすれば自分らしいキャリアを築ける?

結婚や出産でキャリアが途切れたら…
最初の3~4年で経験を積んで!

松波:女性の場合、出産や育児で一定期間のブランクができることもあると思うんですけど…そのあたりはどう考えてますか?

西山:実は私、最近結婚したばかりで。

全員:わ~! おめでとうございます!

西山:ありがとう! 遠距離で付き合っていた人と、就職で一緒に東京に出てきて結婚したんだけど、だからこそ最初の職場はたくさん経験できるところを選んだのもあるかな。すぐに子どもがほしいわけじゃないけど、いつか出産しても私はバリバリ働きたいから。

大村:そうか、やっぱり若手のうちが大切になるんですね。

西山:初めの3~4年にとことん技術を身につけて、勝手に手が動くくらいになっておけば、1~2年休んだ後でも復帰しやすいと思う。技術に自信のないまま休業すると、復職後が大変かも…。

松波:たしかに、歯を削るのも怖くなりそう…。

小山:私も西山さんと同じでずっと働きたいタイプだから、「途中でやめることになったら…」って悩んだこともあった。でも、それまでに身につけたことは絶対に力になるし、ブランクがあっても受け入れてくれるところはあるから、とにかく今できることを頑張ろうと思うようになったよ。

西山:そうだね。歯科医師は引く手あまただし、非常勤で週に何回か働くっていう手もあるし。

小山:うんうん。あんまり怯えなくても大丈夫だと思うよ!

松波:そう言っていただけてホッとしました!

大村:スキルを身につけておく話だと、認定医を取るっていう選択肢もありますよね。皆さん、そういった資格取得は目指してますか?

小山:研修医時代は自分に何もないのが不安だったから、ひと目で「歯周病に強い」「エンドに強い」ってわかる資格を取ろうと思ってた。でも実際に働いてみると、上手い人は資格に関係なく上手いし、患者さんはそんなに肩書きを見ていないし、あんまり関係ないのかなと思い始めたよ。

渡部:僕も大学院で認定医を取ると思うけど、そんなにこだわってはいないな。資格って手札のうちの1枚みたいなもので、持っているだけでどうにかなるわけじゃない。もし認定医を取るなら、そのカードの使い方も考えるのがいいと思うよ。

野田:うちの理事長いわく、「認定医や専門医の顧客は患者さんじゃなく、歯科医師」なんだって。

西田:えっ、なぜですか?

野田:患者さんが資格を見て来院するんじゃなくて、GPの先生では対処できない症例を受け入れるのがメインになるってことみたい。認定医も、矯正やインプラントは少し前は希少だったけど、今は飽和状態の傾向もある。逆に小児とかエンドとか、専門的に学ぶ人の少ない分野の資格はすごく重宝されるらしいよ。どんな資格も、取った後の工夫が必要かな。

大村:なるほど、「取った後」のことを考えるのが大事なんですね!

西田:最後に、5年後・10年後のビジョンを教えてください!

渡部:僕はやっぱり研究者になっていたい。今やっている研究は、歯科というより医学分野。だからこれまで学んできた歯科の知識と、今学んでいる最先端の研究を掛け合わせて、5年後・10年後に何ができるのかを考えていきたいな。

大村:いつか学術書で渡部さんの名前を見るのが楽しみです! 西山さんはどうですか?

西山:正直、まだわからない。子どもがいたら育児しながら働いているかもしれないし、実家の歯科医院を継いでいるかもしれないし…。でもどんな状況になっても、きっと楽しめると思う!

小山:私も具体的には考えられないけど、10年後に恥ずかしくない歯科医師になっていたいと思う。患者さんから何を聞かれても、「こういう理由でこの治療をしています」って胸を張って言えるような。それから、患者さんの口腔をきちんと管理して、機能させられるスキルも身につけたい!

柴岡:「恥ずかしくない歯科医師」ってステキですね。最後に野田さん、お願いします!

野田:僕は今の法人で分院長になれるように頑張りたい。あとは、1年目の子が入ってきたときに何でも答えられるように実践を積んでいきたいな。後輩が「インプラントやりたいです」って言ったとしても、やっぱり経験がないと教えられないから。将来的には、9割の治療に対応できるようになるのが目標!

西田:9割! 大変そうだけど、できるようになったらかっこいいですね。

松波:私も自分の目標を持って頑張ります!

歯科医師として長く働くためには、若手のうちにしっかりと土台を作っておくことが大切なんですね。常に理想と目標を持って、自分らしいキャリアを歩んでいってください!

3回にわたってお送りしてきた「歯学部生と入職1年目の歯科医師で夜キャンプ」も、今回が最終回。皆さんの不安や疑問を、少しでも解消できたでしょうか?

もし今後、臨床研修や就活、働き方に悩んだとき、またこのページを思い出して開いてみてください!

撮影/武井メグミ 文/編集部

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