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子どもたちの悩みを減らしていくために――元 予備校講師の歯学部生 キャリア

子どもたちの悩みを減らしていくために――元 予備校講師の歯学部生

セカンドキャリア歯学部生のプロフィール #3

「医療に興味があった」「親の医院を継ぐため」「資格を取りたかった」…
歯学部入学の背景は人それぞれですが、最近増えているのが“別の仕事を経験してから歯学部に入った人”。
その人たちはなぜ大きな方向転換を決意したのでしょうか?

本特集では、そんな“セカンドキャリア歯学部生”を取材。
これまでの経歴から歯学部入学の理由、編入・再受験のために行ったこと、歯学部に入ってよかったことなどの体験談を、ありのままに語ってもらいました。

第3回は、予備校の講師をしていた歯学部生。「歯科医師になれば自分の理想をかなえられる」と考えた理由とは?

話をしてくれたのは…

猫好き さん
地方国立大学歯学部の6年生。工学部を卒業後、大手予備校の講師に。1年間勤務した後、歯学部に再入学した。猫をなで回して生きていきたい。

教育に対する熱い想いがあった

以前の大学では工学部に通っていましたが、入学時から教員免許を取得して教職に就くことを志していました。単純な理由ではありますが子どもが好きで、教育に携わることで子どもたちの健やかな成長の一助になれたらと思ったんです。

昨今は業界として悲しくなるようなニュースも多いですが、せめて自分の手が届く範囲内では子どもたちの悩みを減らし、望む場所にたどり着くための手助けをしたいと強く願っていました。当時から教員という職業自体の大変さは耳にしていたものの、やはりその想いが変わることはありませんでした。

卒業後は、大学時代にアルバイトをしていた大手予備校に正社員として就職し、集団授業の講師を担当していました。学校の教員ではなく予備校を選んだのは、より一人ひとりの生徒とじっくり向き合いたかったからです。仕事をするなかで「子どもたちの力になれた」と感じられた瞬間は大きなやりがいがありましたし、私がそれまでの学生生活で得た勉強法や覚え方、引っ掛かりやすいポイントなどを伝えられることも、自身の努力が活かされているようでうれしく思っていました。

自分の理想を取り戻すため歯学部へ

そんなあるとき、保護者から私にクレームが入りました。内容は「特定の生徒を優遇しているのではないか」ということ。確かに私は休憩時間や授業終了後に質問の時間を設けたり、「大丈夫?」と声を掛けて生徒のフォローをするようにしていました。勉強が得意な生徒は勉強時間の確保と教科ごとの時間配分さえ指導できれば自然と成績が上がっていくので、勉強が不得意な生徒にフォローが偏りがちだったのも事実です。ただ、私が教育業界に入ったのは「子どもたちの悩みを減らしたい」という理想を実現するため。そのためには“勉強が苦手な生徒を克服させる”ことが不可欠だったんです。

しかし、そんな想いは伝わらず、上司から「アルバイト時代は授業外の指導も許していたけれど、社員としては改善してほしい」と言われ、悩んでいる生徒たちを放置せざるを得なくなってしまいました。同じ授業料を払っているのだからフォローの度合いも平等にするべきだという考えもわかりますが、それでは勉強に悩む子どもを支えてあげられません。自分のしたいことに反する仕事がだんだんストレスになり、この業界にいては私の望みをかなえられないのではと考えるようになりました。

同業他社への転職も考えましたが、周囲に話を聞いた限りではどの大手予備校も“全員に対する均一の指導”を基本としているようでしたし、個別指導塾や家庭教師では給与面での不安がありました。そこで「勉強を教える」以外のアプローチで子どもたちの悩みを減らす方法はないかと考え、思い至ったのが歯科医師です。というのも、子どもたちの悩みは学習面・容姿面・人間関係に帰着すると考えており、そのなかで歯列矯正は“もっとも手軽に取り組めて効果が絶大な美容整形”のようなイメージで有効性を感じていたからです。

その後は仕事を続けつつ、それまで遊びや休息に使っていた時間を歯学部再受験の勉強に充てることにしました。予備校講師の仕事を通じて勉強から離れていなかったことは、再受験においてもアドバンテージになったのではと感じます。7ヶ月ほどの準備を経て試験に合格し、退職と同時に歯学部へ入学しました。

画像はイメージです
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猫好きさんへのQ&A!

Q. セカンドキャリアならではのエピソードは?
A. しっかりしているように見られがち。実際はそうでもないのですが…。また、前職でさまざまな生徒と向き合った経験から、現在も幅広い年齢の方と打ち解けやすいと感じています。

Q. 周りの学生とのギャップはある?
A. マッチング先を選択する際、ゆっくり成長できそうなところを希望する学生が多かったこと。私は年齢面と奨学金返済の必要から、「経験を積める」「待遇が良い」ことを軸にしていました。

Q. 同級生にセカンドキャリアはいる?
A. 社会人を経験した方が1人、別学部から入ってきた方が3人ほどいます。

いま、新しい学びがとても楽しい

歯学部入学後は、目の前のことに一生懸命取り組み続けてきました。勉強も面白く、組織像やX線像を見て疾患の鑑別ができるようになったりと、新しいことを習得するのがとても楽しいと感じています。

最近は矯正歯科に加え、口腔外科にも興味が湧いているところ。唇顎口蓋裂や顎変形症の患者さんに矯正治療を行うには口腔外科との連携が必須ですし、将来開業をして矯正前に埋伏智歯抜歯を行うことになった場合も、技術を身につけておけば自分で対応ができるからです。卒業後は安全かつ有効な治療を追求するために、矯正と口腔外科の両面で学びを深めていこうと思っています。

一方、学生生活で大変だったのは、学費や生活費を工面すること。あまり浪費するタイプでもなく、入学時から一定の貯金はありましたが、奨学金を使ってもきちんと賄えるか不安でした。この年齢になって親のすねをかじるわけにもいかず、特に試験前は勉強とアルバイトの両立に苦労していました。そんな状況だったので、いま6年生になり、なんとか卒業までたどりつけそうなことに心から安堵しています。

過去の自分に報いる生き方を

この6年間を振り返ると、思えば遠くに来たものだとしみじみ感じます。素敵な友人にも出会うことができ、あっという間の学生生活でした。もしもいま、私のようにもとの道をあきらめて歯学部に来た方がいたら、「いろんなものを捨ててまで選んだ道なのだから、どうか過去の自分を裏切らないように努力を重ねてほしい」と言いたいです。歯科に対する想いは人によって異なると思いますが、努力を重ねれば愛着が出ます。やりがいが生まれます。その道を邁進していけば、きっと後悔はないはずです。

私もときには「自分は本当に前進できているのだろうか」と悩み、モチベーションを失いそうになることもありましたが、いまは歯学部を選んでよかったと思っています。人間のQOLに直結する“食事”を根本から支えることは大きな社会的意義がありますし、職業としての安定性も私にとっては魅力的。これから歯科医師という素敵な仕事に就けるのを楽しみに、まずは国家試験に向けて頑張っていきたいです。

さまざまな想いで歯学部に入学した3人を紹介してきました。
6年間という長い学生生活ですが、「歯科医師になってこんなことがしたい」という強い理想があれば、大変なことも乗り越えられるんですね。
読者の皆さんも、将来の自分の姿を想像しながら日々の勉強に取り組んでみてください!

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