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<11月の対策講座>所見の読み方をマスター!歯科矯正学の勉強法 国試&CBT

<11月の対策講座>所見の読み方をマスター!歯科矯正学の勉強法

合格までナビゲート!【第117回歯科医師国家試験】年間対策レクチャー #7

今月は歯科矯正学の国家試験対策のポイントをまとめました。この記事を読んで歯科矯正学の点数アップにつながるヒントがあれば幸いです。

臨床系科目の中では歯科矯正学は点数が取りやすい科目です。補綴系に比べると難問が少なく、出題パターンがある程度決まっているので、その出題パターンさえ知っていれば攻略は可能です。国家試験で9割程の点数を取るのもしっかり対策をすれば可能だと思われます。本記事では臨床実地問題に焦点をあてて、どうすれば点が取れるようになるかを書いていきます。

矯正の口腔内写真の読み取り方

歯科矯正の臨床実地問題はセファログラムから生成されたポリゴン表だけでなく、口腔内写真もきちんと見ることが重要です。問題に口腔内写真が含まれるときには、写真から読み取ってほしいヒントがあると考えてみてください。歯科矯正での口腔内写真で特に注意するべきポイントは歯式とAngle分類です。この2つを順番に見ていきましょう。

歯式

問題を解くことに慣れないうちは、余白に歯式を書き出すほうがいいでしょう。まずは、上の6-6、下の6-6までの永久歯があるかどうか確認します。矯正の問題では永久歯が先天的に欠損している場合があり、治療で変わることが多々ありますので注意しましょう。例えば、左下側切歯が先天欠如の場合は、左下の歯が1本ないので、右下、右上、左上の3箇所から1本ずつ抜歯して合わせることが考えられます。

続いて、乳歯を確認します。小学生くらいの年齢であれば、乳歯がある可能性があります。どの歯が乳歯でどの歯が永久歯なのかをパノラマX線写真の所見も含めながら確認してください。13歳以降で乳歯が残っている場合は乳歯の晩期残存といえます。抜歯を伴う問題では、永久歯より乳歯を優先的に抜くことが多いです。乳歯の存在に先に気づいていないと抜歯する歯の選択をミスすることがありますので注意しましょう。

それでは過去の国家試験の写真をみて正しく歯式をとれるかどうか練習してみましょう。
1問目は、108回のD-13の問題の口腔内写真とパノラマX線写真です。

問題

答え

この症例は左右の下顎側切歯が欠損している症例でした。

続いて、113回のC-54はどうでしょうか。

問題

答え

こちらは左上の乳犬歯が晩期残存している症例でした。

自信を持って回答できたでしょうか。このようにまずは口腔内写真とパノラマX線写真をみて歯式を読み取れるようになることが重要です。

Angle分類

歯式に続いて、Angle分類を確認するようにしましょう。口腔内写真の側方面観の写真から分かります。Angle分類の定義は必ず、暗記するようにしてださい。左右でAngleの分類が同じとは限りませんので、きちんと左右を分けて見ていきましょう。

確認になりますが、Angle分類の定義は以下の通りです。

上顎第一大臼歯の近心頬側咬頭と下顎第一大臼歯の頬面溝が一致していればAngle Ⅰ級

上顎第一大臼歯の近心頬側咬頭より下顎第一大臼歯の頬面溝が遠心にあればAngle Ⅱ級

上顎第一大臼歯の近心頬側咬頭より下顎第一大臼歯の頬面溝が近心にあればAngle Ⅲ級

稀にAngle分類の定義を無視して自己流で考える方を見かけます。具体的には「SNAが大きかったり、歯性上顎前突だったりするとAngle Ⅱ級?」と考えていたりはしませんか。

SNAが大きい(つまり骨格性上顎前突)状態でAngle Ⅱ級のパターンもたしかにあります。ただしそれは結果的にそうなっているだけであって、SNAが大きくてAngleⅠ級のパターンもあります。きちんと、定義に沿って、口腔内写真を確認して、上顎第一大臼歯の近心頬側咬頭と下顎第一大臼歯の頬面溝の位置関係を把握して判断しないといけません。

それではAngle分類も実際の歯科医師国家試験の口腔内写真で練習してみましょう。 114回のB-54の写真です。

問題

答え

この症例では右はAngleⅠ級、左はAngleⅡ級です。

セファログラムとポリゴン表の読み取り方

セファログラムの読み取りが必要な問題が苦手な方は、問題を解くのに必要な値をピックアップできていないことが多いように思います。問題を解く上では、上下顎の骨格的な位置と上下の切歯の歯軸の傾きの4つの計測角が大切です。

はじめに上顎と下顎の骨格的な位置を示す値を確認しましょう。確認すべき値は「SNA」と「SNB」です。SNAが大きいとき上顎の骨格が前に出ており、SNBが大きいとき下顎の骨格が前に出ていることになります。SNAとSNBに加えて、上顎突出度やANBで上下顎の相対的な前後的な位置関係を確認しておくとより良いでしょう。

上顎突出度やANBが大きい場合は、上顎が下顎よりも前に出ている(=下顎が上顎よりも後ろに下がっている)ことを意味します。ANBですが、「ANB角=SNA角-SNB角」というように式変形できますので、ANBが大きいということはSNAがSNBに比べて大きいことがいえるので、上顎が下顎より前突傾向であることが分かりますね。

骨格の位置を確認したのちに上下の切歯の歯軸の傾きを確認しましょう。確認すべき値は、「FH平面に対する上顎中切歯歯軸傾斜角(FHーU1)」と「下顎下縁平面に対する下顎中切歯歯軸傾斜角(IMPA)」です。どちらの値も、大きいときは歯が唇側傾斜していること、小さい場合は舌側傾斜していることを示します。

問題を解く上ではあまり影響ありませんが、IMPAは下顎下縁を基準とした下顎切歯の傾きのため下顎の傾斜角度に影響を受けます。基準平面であるFH平面に対する下顎中切歯の角度であるFMIAはその影響を受けないので、念のために確認するとより良いでしょう。

FH―U1とIMPAを確認した後、上下顎中切歯歯軸傾斜角(U1―L1)を確認して矛盾がないことを確認すると安心でしょう。前歯が唇側傾斜しているとき、上下顎中切歯歯軸傾斜角は小さくなります。

111回のC65のポリゴン表を見て確認してみましょう。上顎/下顎についてそれぞれ骨格性/歯性でそれぞれどのような状態か答えられるでしょうか。

まずは骨格から確認します。この症例では、SNA角とSNB角は共に正常範囲にあり、上下顎の骨格は正常です。強いて言うならば、ANB角が基準よりわずかにプラスの値を示しており、上顎は下顎より少し前方に位置していることを示しています。

続いて、歯軸はどうでしょうか。FH平面に対する上顎中切歯歯軸傾斜角(FHーU1)は基準よりも大きくなっており、上顎切歯が唇側傾斜して歯性の上顎前突となっていることが分かります。下顎下縁平面に対する下顎中切歯歯軸傾斜角(IMPA)は正常範囲ですね。上下顎中切歯歯軸傾斜角が小さくなっていることは、FH平面に対する上顎中切歯歯軸傾斜角(FHーU1)が大きいことから説明でき、矛盾ないといえます。

きちんと所見を読み取ることが(矯正に限らずですが)臨床実地問題を解けるようになる近道ですので、是非頑張ってください。

※ブループリントHP

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