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歯学部生からの相談内容【外胚葉由来と上皮性の意味の違いは何ですか? 】 国試&CBT

歯学部生からの相談内容【外胚葉由来と上皮性の意味の違いは何ですか? 】

歯学部生の学習お助けユニット“JYP”のCBTレベル「勉強相談室」Q&A #5

歯学部生なら避けては通れないCBT。臨床実習を受ける資格を得るためにパスしなくてはいけない試験ですが、コンピューターで行われるテストということもあり、問題の予測はなかなか難しいところ…。そこで、CBTを受験するまでにマスターしておきたい学習範囲のなかから、歯学部生から募集した難問について、勉強お助けユニットJYP(ジュンヤとジュンペイ)がレクチャー! 毎月1問、じっくり教えてもらいます。

     ※ブループリントHP

【今月の相談内容】
歯の由来は何胚葉? 三胚葉と神経堤細胞について確認しよう

Q.  外胚葉由来と上皮性の意味の違いを教えてください。 (昭和大学4年生 Sさん)

ご質問ありがとうございます。三胚葉(外胚葉・中胚葉・内胚葉)と上皮性・間葉性(結合組織性)はどちらも主に発生段階の組織の分類の方法ですが、発生学的な観点に厳密な「胚葉」と、部位と細胞の特徴からみた「上皮間葉」と切り取り方が違います。共通する部分も多いですが、違う部分も(特に歯科範囲で)あり、勉強していて混乱しやすいところですよね。今回は胚葉と上皮間葉に由来する組織構造について、また頻出の神経堤細胞(外胚葉性間葉)についても解説していきます。


①三胚葉(内/中/外胚葉)の発生の流れ

まず始めに、三胚葉形成までの発生過程を簡単に確認しておきましょう。教科書的な硬めな文章となってしまいますが、少しお付き合いください。

卵巣から排卵された卵子は卵管採から取り込まれて卵管に入り、卵管膨大部で受精します。受精卵は卵管を子宮へ向かって移動しながら、卵割を繰り返して胚盤胞となり約1週間で子宮内膜上に着床します。胚盤胞は受精卵が分裂を繰り返してできた細胞の塊のようなものと考えてください。第2週では、胚盤胞中の内部にある一部の細胞(内部細胞塊)が胚盤葉上層と胚盤葉下層という二層に分かれ二層性胚盤を作ります。第3週になると胚盤葉上層の表面に原始線条という溝ができ、第2週で現れた胚盤葉上層の細胞が原始線条から内部に入り込む運動(陥入)が生じます。陥入した胚盤葉上層の細胞は、その下に位置していた胚盤葉下層の細胞を押しのけて内胚葉を作ります。同時に胚盤葉上層と内胚葉の間にも細胞が入り込み、これが中胚葉となります。残った胚盤葉上層の細胞が外胚葉となります。  

このように3週で生じた内胚葉、中胚葉、外胚葉の3つの構造がその後に全身の組織へと分化していきます。

②三胚葉から発生する組織

さて、それでは三胚葉のそれぞれから発生する組織を確認していきましょう。

内胚葉は、主に消化器や呼吸器の組織へと分化します。内胚葉は陥入によって胚の内部に生じる原腸を作る組織で消化管へとなっていきます。従って、口から肛門までたどっていける消化管と気管・肺また消化管が内胚葉から分化する組織の中心となります。また消化管に付属して消化器官も内胚葉由来と覚えてください。その他、少し覚えにくいですが膀胱・尿道、甲状腺や副甲状腺も内胚葉由来の組織に含まれますので注意してください。

中胚葉は、内胚葉と外胚葉の間の体の中の組織と考えると分かりやすいです。すなわち、骨、筋肉や血球(血液中の細胞成分)、血液に関連して通り道である血管、血液を送り出す心臓、腎臓や生殖器、脾臓といった臓器も中胚葉由来の組織となります。

外胚葉は、主に皮膚と外胚葉が体の中に入り込んでできる神経系と神経堤細胞へと分けられます。皮膚は表皮の他、毛や汗腺などの線組織も外胚葉由来のものに含まれます。(真皮は中胚葉由来です。)神経は具体的には、脳や脊髄といった中枢神経系の他、脳下垂体、末梢神経が当てはまります。目、耳、鼻などの感覚上皮も忘れないようにしてください。神経堤細胞からは頭頸部を中心に様々な組織が作られます。後ほど詳しく解説します。

 最後に、大唾液腺のうち顎下腺と舌下腺が内胚葉由来で耳下腺が外胚葉由来であることも歯科領域では頻出なので覚えておくようにしてください。

③上皮と間葉(結合組織)

 三胚葉に引き続いて、上皮と間葉の違いについてです。

 上皮とは体の表面を薄くシート状に覆う細胞組織です。体の外側と内側としっかりと分けるために細胞同士はびっしりと隙間なく結合しています。ここで、体の外側とは体の外側の物質(食べ物、空気や水など)が直接接触する場所と考えてください。ですので、食べ物が接触する消化管や空気が接する気管・肺、膀胱や尿道が上皮となります。ですので、先ほどの内胚葉・外胚葉に由来する組織と被る部分が多いことがわかります。

しかし、内胚葉のうち肝臓、甲状腺といった体の内側にある臓器や、外胚葉のうち神経や神経堤細胞由来の組織は体の外側の物質が直接接することがないことからも分かるように上皮ではないので注意してください。

 間葉(結合組織)は体の中身を埋める細胞組織で、細胞同士は上皮と違いバラバラに分かれており、細胞の種類によってはゆるく繋がっています(疎性結合)。細胞と細胞の間は細胞が作り出したコラーゲンなどの細胞外基質で埋められています。なお、上皮組織の対比として(上皮ではない組織の総称として)、間葉や結合組織と言われることもあります。同じように三胚葉との比較でみてみると、間葉は中胚葉の支持組織と外胚葉の神経堤由来の組織が主に含まれると言えます。

④神経堤細胞

 3週目で三胚葉が作られていくことと並行して、外胚葉である背中の真ん中に溝(神経溝)ができます。その溝が中に入りこみ、溝の上端が合わさることで体の中に外胚葉由来の管ができます。これが神経管でのちに脳や脊髄に分化します。溝が合わさった部分(表面と神経管のつなぎ目)の細胞はバラバラになり体の中に入って移動していき体の様々な細胞へ分化します。このバラバラになって体の中に入っていく細胞が神経堤細胞です。神経堤細胞は外胚葉由来でありながら、表面の上皮のようなシート状ではなくバラバラに分かれて体の内部に存在するので間葉組織となります。ですので、神経堤細胞のことを外胚葉性間葉ともいいます

 神経堤細胞は体の内部を移動して様々な部位に移動(遊走)して、多様な組織に分化します。特に顔面・歯科領域では、顔面の骨と結合組織や歯胚の歯乳頭、歯小嚢になります。なお頭の骨のうち、頭頂骨や後頭骨といった後ろ半分の骨や顔面の筋は中胚葉由来ですので混同しないように注意してください。

全身においては神経堤細胞は、自律神経の一部や副腎髄質、メラニン産生細胞、甲状腺傍濾胞細胞や心臓の一部などにも分化します。細かいですが、問題で聞かれやすい範囲でもあるので表を見て確認してください。

顔面の骨や心臓に先天性の異常がある疾患では、歯の異常も同時に生じることが多いですよね。顔面の骨や心臓や歯の成分に同じ神経堤細胞が関わっていると理解すると納得しやすいのではないでしょうか。

⑤歯の由来は外胚葉!

最後に歯の発生の由来について解説します。歯は表面の外胚葉と神経堤細胞由来の外胚葉性間葉から作られます。ですので、歯はズバリ、全て外胚葉由来です。ネット上で「歯は中胚葉に由来する、三胚葉の全てに由来する」といった情報が書かれているのを見ることがありますが、これは誤りですので注意してください

 歯胚についても確認しておきましょう。歯胚はエナメル器、歯乳頭、歯小嚢の3種類から構成されます。(思い浮かばなかった人はよく復習してください)エナメル器は表面の外胚葉(上皮)由来で、歯乳頭と歯小嚢が神経堤細胞(外胚葉性間葉)由来です。この上皮と外胚葉性間葉がお互いにシグナルを伝えて(上皮間葉相互作用)、歯の組織へと変化していきます。

 エナメル器のうち内エナメル上皮がエナメル芽細胞となりエナメル質を分泌します。内エナメル上皮と外エナメル上皮は歯胚の歯根側の端で合わさってヘルトヴィッヒ上皮鞘(HERS)となり歯根の形成に関わります。歯根が伸びていくとともに断裂して、歯根が完成した後も歯根の周り(歯周組織)に網状に残存する上皮組織がマラッセの上皮遺残でしたね。歯乳頭からは歯髄細胞や象牙芽細胞が作られ、それぞれ歯髄、象牙質を作ります。歯小嚢は歯乳頭の外側を覆うように存在しており、セメント芽細胞、線維芽細胞、骨芽細胞とあり、それぞれがセメント質、歯根膜、固有歯槽骨を作ります。

執筆/渡部準也 宇梶淳平

次回はまた来月公開です!

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