緊張で頭が真っ白に…こんなとき、どうする? マナー講師が教える「面接シーン別・ピンチの切り抜け方」
【歯科医師臨床研修マッチングプログラム】採用を勝ち取れ!「マッチング選考試験」完全攻略 #3 会員限定歯科医師臨床研修マッチングが動き出した今。そろそろ願書を出したり、説明会に参加している人も多いのではないでしょうか。
それと同時に始めておきたいのが、「選考試験」への対策です!
でも、試験対策って何をすればいいのか、面接では何を見られているのかよくわからない…。そんなあなたのために、今回はマッチング選考試験の攻略法を特集します!
第3回はマナー講師の尾形圭子先生に、「用意していた答えを忘れてしまった…」「面接官が想像以上にフランクに接してきた…」など、面接で困ったときの対処法を教えてもらいます。さらに付録として「身だしなみチェック表」「オンライン面接のポイント一覧」も掲載。
面接官から好感を持たれる振る舞いを学び、採用をつかみ取ってください!
教えてくれたのは…
マナー講師・人材育成コンサルタント
尾形圭子先生
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役。航空会社で研修やOJTのノウハウ、接遇の心とスキルを学び身につける。その後、大手書店、外資系化粧品会社での人事育成を経験し、2005年に会社設立。現場感覚を理解した実践的な研修・セミナーを、官公庁、各種団体、企業、大学、病院、寺院など多岐に渡って展開している。
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役。航空会社で研修やOJTのノウハウ、接遇の心とスキルを学び身につける。その後、大手書店、外資系化粧品会社での人事育成を経験し、2005年に会社設立。現場感覚を理解した実践的な研修・セミナーを、官公庁、各種団体、企業、大学、病院、寺院など多岐に渡って展開している。
面接での基本マナー5ヶ条
本題に入る前に、まずは社会人として身につけておきたい基本マナーを紹介します。
大学病院、歯科医院、企業など面接のシチュエーションは違っても、気をつけたいことは同じ。そして面接時だけでなく、実際に仕事を始めた後にもマナーは必要です。
学生である今のうちに、一生使える“5ヶ条”を知っておきましょう!
1. 姿勢を正しく
体の軸を意識すること! 背筋をピンと伸ばした姿勢には自信や熱意が表れるものです。猫背でうつむいていると「うちの病院が第一志望じゃないのかな…」という印象を与えてしまうので注意。
2. あいさつは自分から
これは基本中の基本! 患者さんやスタッフの方とすれちがったときも、笑顔で「こんにちは」と声をかけましょう。
3. 清潔感は必須
相手からどう見えるかを考えて身だしなみを整えることが大切です。髪の乱れ、靴の汚れ、スーツやワイシャツのシワには特に注意。もちろん、歯磨きも忘れずに! 面接前は記事最後の身だしなみチェックシートで確認してください。
4. 表情管理で魅力をアピール
笑顔とアイコンタクトを意識して。また、相手の表情や動作をさりげなく真似する「ミラーリング」も効果的です。
5. 受け答えは明瞭簡潔に
正しい言葉遣いは大前提! 返事と相槌もおろそかにならないよう気をつけて。話し始めについ「そうですね~」と言ってしまう人も多いですが、これは避けるのがベター。「はい、〇〇につきましては…」と、無駄なくハキハキ答えましょう。
シーン別に見る「ピンチの切り抜け方」
ここからは、面接でありがちな“ピンチ”への対処法を解説。
思いがけない事態が起こったときも冷静さを保てるよう、しっかり準備しておきましょう。
<ピンチ①> 面接の待ち時間が長すぎて手持ち無沙汰に…
診療が長引いたり、前の人の面接に時間がかかったりして、自分の番がなかなか来ないこともあるもの。そんなときは、面接前の最終確認をするのが一番! 研修先のパンフレットや、自分で書いたメモやノートを読み返して、言いたいことをまとめておきましょう。
ただし、メモは“紙”限定。スマホやタブレットでは、メモを見ているのか、動画やSNSを見ているのか区別がつきません。いらぬ誤解を生まないように、事前にメモ帳や小さめのノートに書き写しておくと安心です。また歯科関連であっても、読書や勉強は面接の待ち時間にふさわしくありません。最終確認を終えたら、静かに座って待ちましょう。
他に面接を受ける人がいた場合、同じ部屋で待つこともあるかと思いますが、もちろん雑談はダメ。もし話し掛けられたら、小さい声で「そうですね」などひと言だけ答え、会話を終わらせてください。
<ピンチ②> 面接官が思ったよりフランクに接してきて、対応に悩む…
面接官の先生は、きっとリラックスして楽しく話してほしいという意図があるのでしょうね。だから、こちらもある程度心を開き、堅くならないようにするのがいいと思います。
ただし、面接であることを忘れてはダメ! 「ですます」体は崩さず、丁寧な言葉遣いをキープしましょう。「ちょっとわかんないっすね」「マジすか、ヤバいっすね」のように、くだけすぎた話し方はさすがに良くありません。
フランクさを演出するには、「本音を言いますと…」と前置きしてから話すのもオススメ。もちろん失礼なことを言ってはいけませんが、具体的な自分の経験などを“本音”として語ると、「素直な気持ちを話してくれたんだな」と印象が良くなりますよ。
<ピンチ③> 緊張で、用意していた答えを忘れてしまった…
想定外の質問がきたときも同様ですが、即座に答えが出てこないときはまず「○○についてですね、それにつきましては…」と質問を復唱します。黙ってしまうのではなく、話しながら頭を整理して答えを探しましょう。
面接官も、お手本のような格好いい言葉を要求しているわけではありません。その場でふと思いついたことから「先生のお言葉で思い出したのですが、〇〇ということがあったので、今後〇〇をしていきたいです」とつなげても大丈夫ですよ。
また“丸覚え”は、用意していた答えを忘れてしまう大きな原因に。文章で覚えていると一言間違っただけで総崩れし、しどろもどろになってしまいます。
そのため、話したいことは箇条書きにして頭に入れておくのがベスト。まずひとつの結論を立てて、それに対する根拠を3つ覚えておくと、その場でうまく話を組み立てられるはずです。面接前には必ず自己分析をして、「自分はこれがしたいんだ」という着地点を見つけてください。
そして何より、面接は練習が命! 鏡に向かって話したり、動画に撮って見返したりしながら、最低20回は練習しておきましょう。
<ピンチ④> 「お酒は好きですか?」と聞かれたけど、どう答えるべきか…
アイスブレイクとして、仕事には関係ない話題を振られるのはよくあること。こちらから雑談を始めるのはやめたほうがいいですが、相手から聞かれたときは素直に答えてOKです。
とはいえ、ただ「はい、好きです」とだけ答えるのはあまり味気がありません。こういった質問には「相手が興味を持っていること」が表れるもの。たとえば「お酒は好き?」と聞かれたなら、その面接官はあなたと一緒に飲みに行きたいと思っているのかもしれませんし、ゴルフにまったく興味がないのに「ゴルフはしますか?」とは聞かないでしょう。
だから聞かれたことに答えつつ、「お酒は好きです。この職場ではよく飲みに行かれるんですか?」「ゴルフは未経験ですが、やってみたいと思っているんです。先生はお上手そうですね」とプラスアルファで返してみると、会話がさらに弾むかもしれません。
また歯科医院の見学・面接時は、代表者抜きでスタッフとざっくばらんにお話をする機会もあるようですが、ここで調子に乗って根掘り葉掘り聞くのはNG。
もしも「うちの院長、実はね…」「この職場ってこういうところが変で…」と愚痴のような話題が出てきてしまったら、決して同調せず、かといって反論もせず静かに聞き流しましょう。「そういえば、診療について教えてほしいのですが…」と、さりげなく話を変えるとスムーズです。
<ピンチ⑤> 「質問はありますか?」と言われたけど、何も思い浮かばない…
自分のやりたいことを軸に考えて
“逆質問”は面接の定番ですが、絶対に避けたいのは「特にありません」と答えること。この研修先には興味がないのかと思われてしまいます。研修先のサイトやパンフレットの情報から、聞きたいことを考えるのが一番です。
質問するときは、研修先の理念や診療内容を踏まえ、「この施設では〇〇を実践されていますが、私も△△な経験から、ぜひ深く学びたいと思っております。新人でもそれに携わる機会をいただけるのでしょうか」という方向で聞くのがオススメ。研修先を理解しているアピールになりますし、自分のやりたいことも伝えられますよ。
全国展開している歯科医院なら、「〇〇地方は歯科医院が少ないと聞いています。その周辺に分院を出す予定はありますか? 実は、実家が近いこともあり、地域の役に立ちたいと考えています。」のような質問でも、使命感をアピールできますね。
逆にやめたほうがいいのは、待遇や福利厚生、勤務体制に関する質問。こういったことは事前の説明会や求人情報を見て解決しておくべきです。
すべての質問を終えたときや、考えた末にどうしても質問が出てこなかったときは「十分に説明していただきましたので、現時点で質問はございません。ありがとうございます」と、質問する機会をもらえたことにお礼を言いましょう。「現時点で」を強調するのがポイントです。「お話を伺って、ますますここで研修したいと思いました」と添えると、より意欲的な印象になりますよ。
面接前に確認! 身だしなみチェック表&オンライン面接のポイント
基本的な身だしなみはどこに行っても共通ですが、歯科医師の場合は医療人としての意識も求められます。院内で靴がコツコツ鳴らないようにしたり、ネイルをオフしたりと、患者さんへの印象も考えて身支度するとベストです。
また、コロナ禍以降はオンラインでの面接も定番になってきています。対面で話をするよりも伝わりにくい可能性があるので、オンラインならではの対応を覚えておきましょう。
「これから歯科医師になる皆さんには視野を広く持ち、立ち位置を変えてものごとを考えてほしいと思います。相手が求めていることを想像しながら自分がすべきことを考えれば、面接だけでなく、きっと今後のキャリアもうまくいくはずですよ」と尾形先生。
今回教えていただいたポイントは、将来患者さんやスタッフとコミュニケーションを取るときにも応用できるものです。
相手を想う姿勢を身につけて、愛される歯科医師を目指しましょう!
【歯科医師臨床研修マッチングプログラム】採用を勝ち取れ!「マッチング選考試験」完全攻略の記事一覧
- #1 想定外に備えよ! 研修医に聞く「マッチング試験体験談」
- #2 採用しなかった学生の特徴は? 臨床研修施設に聞く「面接ではここを見ています」
- #3 緊張で頭が真っ白に…こんなとき、どうする? マナー講師が教える「面接シーン別・ピンチの切り抜け方」