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歯学部生からの相談内容【歯髄壊死と歯髄壊疽の違いは何ですか?】 国試&CBT

歯学部生からの相談内容【歯髄壊死と歯髄壊疽の違いは何ですか?】

歯学部生の学習お助けユニット“JYP”のCBTレベル「勉強相談室」Q&A #2

歯学部生なら避けては通れないCBT。臨床実習を受ける資格を得るためにパスしなくてはいけない試験ですが、コンピューターで行われるテストということもあり、問題の予測はなかなか難しいところ…。そこで、CBTを受験するまでにマスターしておきたい学習範囲のなかから、歯学部生から募集した難問について、勉強お助けユニットJYP(ジュンヤとジュンペイ)がレクチャー! 毎月1問、じっくり教えてもらいます。

     ※ブループリントHP

【今月の相談内容】
歯髄壊死と歯髄壊疽の違い

Q.  歯髄壊死と歯髄壊疽の違いは何ですか? 歯髄壊死では細菌感染はまったくないという理解で良いのでしょうか? (昭和大学5年生 Bさん)


問題

非感染性歯髄疾患はどれか。2つ選べ

a. 急性単純性歯髄炎

b. 急性化膿性歯髄炎

c. 慢性潰瘍性歯髄炎

d. 歯髄壊死

e. 歯髄壊疽

正答:a. 急性単純性歯髄炎 d. 歯髄壊死

Answer!

ご質問ありがとうございます! 今回は、113回の国家試験の問題(113回A52)を解いていて出てきた疑問ですね。

今回の問題自体は国家試験が出典ですが、内容や考え方自体はぜひ低学年のうちからみなさんに理解していただきたいものです

歯学部で勉強をしていると歯科学でしか使わない専門用語をたくさん覚えて使うようになります。これらの言葉を、なんとなくで覚えている人も多いのではないでしょうか。

専門用語や歯科学で使われる言葉の定義を意識してみるとより理解が深まり、問題文を正しく理解できるようになります。

今回の質問をきっかけにして、普段の勉強から新しい言葉の定義や意味する内容を正確に理解するトレーニングをしておきましょう


①歯髄疾患の病理学的分類と臨床的分類

歯髄炎を中心として歯髄疾患は大きく、顕微鏡でみた歯髄の病理組織状態を元にした病理学的分類と治療を行う立場から歯髄を保存することが可能か除去する必要があるかで分類した臨床的分類の2つがあります

病理学的分類(例:化膿性歯髄炎)は一般的によく使われていますが、実際の診療においては歯髄の状態を顕微鏡で観察して診断することは不可能であるため、患者さんの訴える痛みなどの症状や、様々な検査の結果から歯髄の病理学的な状態を予想して診断名が付けられています。しかし、痛みの感じ方は患者さんによって異なることなどから、診断と実際の組織の状態が異なることも多く、治療に役に立つ分類とは言いにくい面もありました。

そこで臨床的分類(例:不可逆性歯髄炎)では、治療の方法を選択する観点から治療法に対応する歯髄疾患の分類がいくつか考えられています。とくに、歯髄を残すこと(保存)ができるのか、残すことができないと判断し歯髄を取り除く(除去)必要があるのかを判断することを重視した分類となっています。

参考までに、歯髄炎での病理学的分類と臨床的分類の対応をまとめた表を下に示しています。確認してみてください。次に本題の歯髄壊死と歯髄壊疽の病理学的分類と臨床的分類の違いについてみていきましょう。

②対病理学的分類と臨床的分類の「歯髄壊疽」は少し違う! 

壊死とは「体の一部の細胞や組織が死んでしまった状態」であり、壊疽は壊死に含まれています。では歯髄壊疽とは具体的にどのような状態なのでしょうか。

病理学的な分類では、細菌感染がないものを歯髄壊死、細菌感染があるものを歯髄壊疽としています。つまり、病理組織学的な定義では質問にあった歯髄壊死での細菌感染はないと言うことができます。

続いて臨床的な分類ではどうでしょうか。歯髄壊死と歯髄壊疽の治療は基本的に同じなので、臨床的分類では歯髄壊死と歯髄壊疽を特別に分けず、どちらも歯髄壊死としてしまうことが多いです。なかでも、腐敗菌の感染があり、ものが腐った強烈な悪臭(腐敗臭)がする場合を歯髄壊疽としています。髄腔開拡などの治療の際に壊疽した歯髄から腐敗臭が生じることが多いです。つまり、臨床的な分類での歯髄壊疽は腐敗菌の感染が感染している状態となり、腐敗菌以外の細菌が感染している場合(や感染がない場合)は歯髄壊死となります

ですので、腐敗菌以外の細菌が感染しているときは、病理学的な分類では歯髄壊疽に分類され、臨床的な分類では歯髄壊死と分類されることになります。

③質問の問題の具体的な解き方と考え方

問題の選択肢の歯髄壊死や歯髄壊疽については、病理学的分類なのか臨床的分類なのか記載がなくどのように問題を考えて良いのでしょうか。一緒にこの問題の解き方を考えてみましょう。はじめに臨床的診断における歯内疾患の流れと感染の有無についてまとめた表を示します。青の四角で非感染性の疾患を赤の四角で感染性の疾患を表しています。表からも分かるとおり、感染性の歯髄疾患が進行して生じることが多い歯髄壊死の実態は細菌が感染していることが多そうです。これでは問題を解く上で混乱してしまいますよね。

絶対的な正解が選びにくい今回のような問題では、間違った選択肢から除いていく消去法で解いていくと良いです。今回の問題ではまず確実に感染性の歯髄疾患は何かを考えてみましょう。

先ほど解説した通り、eの歯髄壊疽は、病理学的分類や臨床的分類のどちらでも細菌感染がある状態といえます。b、cの急性化膿性歯髄炎や慢性潰瘍性歯髄炎も、細菌を食べる好中球が大量に歯髄組織に存在している状態で細菌が感染している状態となります。したがってb、c、eはどのような場合も感染性歯髄疾患とわかるので消去法でa、dを選択することができました。

また、選択肢から出題者の意図を推測して問題を解くことも大切です。今回の問題では、a、b、cの選択肢は全て病理学的な分類による診断名ですので、d、eの歯髄壊死と歯髄壊疽についても病理学的な定義を聞いているのだと考えることができます。

参考書籍:

「歯内治療学 第4版」 医歯薬出版
「エンドドンティクス 第5版」 永末書店

執筆/渡部準也 宇梶淳平

第3回は来月公開!

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