好感度を上げる「美しい履歴書」。かわいい字は就活で不利に? “丸文字”編
書道家・武田双龍の「個性を生かす」履歴書美文字~筆跡での性格診断つき! #2最近はパソコンで履歴書を作る人も増えていますが、採用担当者への印象を高めるにはやはり手書きが一番。そして無理に書いたお手本のような字よりも、その人ならではの個性が表れた字の方が、想いがよく伝わるものです。
本連載では書道家・武田双龍先生が、それぞれの字の個性を生かしながら美文字にする方法を伝授! 第2回では、“丸文字”を大人の字に変えるコツを教えてもらいました。ぜひ、自分の字と見比べながら読んでみてください。
文字から性格や仕事の傾向を分析する双龍流「筆跡診断」も必見です!
どんな字の人でも守りたい3つの基本
字にはそれぞれ個性がありますが、履歴書をキレイに見せるための基本は誰にとっても同じ。まずは「これさえ守れば美文字に近づく」3つのポイントをご紹介します。
【その1】中心をそろえる
履歴書を美しく見せるためには、これが何より重要。枠線の中心に字をそろえて書き、上下を均等に空けるのが理想です。どんどん字が斜めになっていく人は、初めに鉛筆で中心の軸線を引いておくのがオススメ。
【その2】字間を詰める
パソコンで書いた文章が読みやすいのは、字と字の間が詰まっているから。字間に無駄な余白があると読みづらくなってしまうので、できるだけくっつけて書くようにしましょう。
【その3】横に広げない
整った字を書くには、一文字ずつ正方形を意識することが大切。横線が右に向かって伸びたり、縦線が右にズレたり、偏とつくりの間が空いたりすると、字が横長になってしまうので注意です。
これが双龍先生の美しい履歴書!
丸文字は基本を押さえるだけで大人の字に!
今回は、歯学部生Kさんの履歴書を添削!
でも、丸文字で履歴書を書くのは、いわばツインテールで面接に行くようなもの。「子どもっぽい」「頼りない」という印象を持たれ、採用で有利に働くことはないと思われます。
とはいえ、この柔らかい雰囲気は生かしたいところ。字はそのままでも、「3つの基本」を押さえていくと印象が大きく改善します。個性を保ちながら、TPOをわきまえた大人の字に変えていきましょう。
いざ、添削!
A: 頭の字が大きいと「かわいい」印象に
世の中のかわいいキャラクターは、だいたい頭が大きく、足にかけて小さくなるもの。字もこれと同じで、文節の頭の字を大きくすると子どもっぽい雰囲気になります。
そのため大きさを均等にするだけで、同じ字でもぐっと大人に! 大小のメリハリをつけるなら、画数の多い字を大きくするとバランス良く見えます。
先生がKさんの個性を生かしたまま美文字にすると…
△Kさんの字
〇先生が少し手直しした字
B: 中心線を意識してまっすぐ書く
大きさが尻すぼみになると共に、全体が右上がりになっています。「3つの基本」でも出ていますが、中心がそろっていないとガタガタして雑な印象に。
字の大きさを整え、横軸をしっかり通していくと、幼い感じが軽減します。
先生がKさんの個性を生かしたまま美文字にすると…
△Kさんの字
〇先生が少し手直しした字
C:字が横に間延びしないよう注意
「利」の偏とつくりの間が空いていたり、「校」の右払いが長かったりと、全体的にのっぺりと横に伸びています。
ひとつひとつの字を立たせ、正方形の中に収めるように意識すると、間延びした字がシャッキリと姿勢よく見えます。
先生がKさんの個性を生かしたまま美文字にすると…
△Kさんの字
〇先生が少し手直しした字
D: スカスカな字間で読みにくく
字と字の間が大きく空いています。短い文章が枠いっぱいに広がってしまうことで、なんとなくパラパラして寂しい印象に。
隙間を減らし、字を詰めていけば読みやすさがアップ!“スカスカ”感も改善されます。
先生がKさんの個性を生かしたまま美文字にすると…
△Kさんの字
〇先生が少し手直しした字
E: 大きな丸い句点は幼さの象徴
句点の大きさがひらがなの半分ほどになっていますが、やはり大人っぽく見せたいなら控えめにしたいところ。
文末の字に沿わせ、小さく丸を書きましょう。それだけで落ち着いた印象に変化するのがわかるはずです!
先生がKさんの個性を生かしたまま美文字にすると…
△Kさんの字
〇先生が少し手直しした字
採用者も見てるかも!
筆跡でわかる仕事の傾向
「筆跡診断」とは、書かれた文字の特徴から、その人の性格や心理状態を分析すること。
一見占いのように思えますが、実は学問としても確立されているものです。
筆跡からは潜在意識がわかるので、自分では気づかない適性も表れているかもしれません。
これまで多くの人の字を見てきた双龍先生に、今回の履歴書から読み取れる性格や、合う仕事の傾向を教えていただきました!
今回注目した文字はこれ!
曲がり角の尖りは頑固さ・気の強さを表しますが、この人は角がとても丸いんですよね。また枠にきっちり収めて書いていることから、反抗したり文句を言ったりすることも少ないとわかります。
きっと、ちょっと頼りないけど心優しい、チームに一人はいてほしいタイプの方なんでしょう。ただ、その分他人に流されやすいので、ものごとが不本意な方向に運んでいかないよう気をつけて。
一方で、「尾」などのハネの強さには根気よく継続する相も。また横線が右上がりになる人は情熱的ですが、この人の場合は枠線と並行にまっすぐ引かれているので、何事も冷静に判断できるタイプだと思われます。
そのため歯科医院に就職するなら、大型法人に長く勤めるのがオススメ! 大人数のスタッフの中でもトラブルを起こすことなく、人間関係をうまくまとめていけるはずです。
昔から書いている文字の形を変えるのは難しいもの。でも、ちょっとしたコツを意識するだけで印象は大きく変えられるんですね。かわいい字を大人の字にアップデートして、ぜひ内定をつかみ取ってください!
第3回“癖文字編”は3月に公開予定です!
書道家
武田双龍
1984年熊本生まれ。3歳より母である武田双葉に師事し、兄に武田双雲・武田双鳳を持つ。2006年4月に上京し「ふたばの街 書道教室」を主宰、生徒数は300名に達する。ふたば書道会理事長として運営しながらも、商品ロゴや題字制作など、その活動は多岐に渡る。YouTube『美文字辞書 武田双龍』を開設し、書道文化の発展に尽力する。
YouTube「美文字辞書 武田双龍」
ブログ「武田双龍の美しい文字を身につける方法」
Instagram
1984年熊本生まれ。3歳より母である武田双葉に師事し、兄に武田双雲・武田双鳳を持つ。2006年4月に上京し「ふたばの街 書道教室」を主宰、生徒数は300名に達する。ふたば書道会理事長として運営しながらも、商品ロゴや題字制作など、その活動は多岐に渡る。YouTube『美文字辞書 武田双龍』を開設し、書道文化の発展に尽力する。
YouTube「美文字辞書 武田双龍」
ブログ「武田双龍の美しい文字を身につける方法」
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撮影/武井メグミ 文/編集部
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