歯学部生の私がアイドル⁉
元SKE48 矢作有紀奈の“歯科医師への道はひとつじゃない” #1みなさんはじめまして! 矢作有紀奈といいます。
皆からは矢作ちゃんとかゆきなって呼ばれてるよ~。
今私は某大学病院で歯科研修医として毎日奮闘してます! この度、歯学部に入ってからSKE48でアイドル活動も経験した私が、皆さんに向けてのエッセイを書かせていただくことになりました。
今は、ちょっと変わったストーリーオブマイライフを語る機会をいただけたことへの感謝とわくわくでいっぱいです。しかも連載!
私はいたって普通の人ですが、少し変わった経歴の持ち主かもしれません。
皆さんは将来歯科医師になりますよね。でもきっと歯科医師と同じくらい他にもやりたいことや夢がある人もいると思うんです。
とりあえずなんだこの女! くらいの気持ちでこのエッセイを読んでいただいて、こういう人もいるんだな〜と思ってくれるくらいでかまいません。
ぜひ最後まで読んでくださいな♩ 人生は千も万も道がある!
私は埼玉県出身で、一応進学校と呼ばれる高校に進学し、周りの影響や親からの期待もあっていつしか医者になるという夢を持ち始めました。
といっても両親とも医療系とは全く関係ない家柄。ただ母親がよく、「将来旦那と離婚しても路頭に迷わないように、国家資格のある職についていたほうがいいよ」と言っていました笑。
当時の私は自己主張がまだあまり無くて、とりあえず親の言う通りにしてみようと思いました。そこから、医学部に向けて受験を頑張りましたが、夢叶わず…。
二浪したところで歯学部には合格したのですが、三浪するか、諦めて歯学部に入るか悩み、紙にメリットデメリットをそれぞれ書き出して何日も悩んだのが懐かしいです。
結局、歯学部に入学することを決意。だから正直、最初は歯学に対するモチベは低かったですね笑。歯学部に合格した時も歯学部に入れて嬉しいというよりは、あーやっと受験が終わった(泣)という気持ちの方が強かったです。
でも今は、歯学部でよかったなって思っています。だって歯医者さんって、結構楽しいから! それに、2018年に発覚した医学部入試女性差別事件…。あのまま三浪の道を選んでいたら、かなり茨の道だったかもしれないと思うと心が震えました。
当時まだアイドル活動していたので、Twitterで「1点引かれてたのかぁ‥」ってツイートしたらニュースに取り上げられたんですよ。突然夕方のニュースに自分の顔面出てきてびっくりしました笑。
たかが一点されど一点。周りの友達も同じように医学部目指してた子もいたのでやるせなさを感じました。
あと、浪人中はどちゃくそ”陰キャ”で友達が1人もいなくて辛かったから、早く素敵なキャンパスライフ送りたかったってのもあります笑。
歯学部に入ってみて思ったことは思ってたキャンパスライフとは違かったってことかな。もっと自由な時間があると思ったら結構忙しかった笑。
私が入学した大学は、一年生の間は山梨で寮生活をするんですけどそれがすっごく楽しくて、色んな学部の友達ができて今でも人生で忘れられない思い出の1つです。
そして大学2年生。この年は人生の転機と言える年でした。解剖実習やら進級試験やらで目まぐるしい日々を送っていた時、ひょんなことからミスコンテストのお誘いを受けました。自分に自信がなく断ろうとしましたが、出演するだけで一万円、優勝すればディズニーチケットがもらえるとのことで、完全に物に釣られて参加してみました。
どうせ最下位だろうという軽い気持ちで参加したのですが、なんと結果は優勝。少しだけ自分に自信がもてるようになりました。
それからしばらく経ったある日、実家暮らしだった私は、帰宅後突然母親から紙を手渡されました。
「合格通知書」。
「え? なんのこと? 」。私が困惑している私の横で、「意外といけるんじゃないかと思って応募してみたらイケた笑」と言う母。
そう。それはSKE48のオーディション1次書類審査の合格通知…。
これがアイドルになるきっかけでした。ちょうどこの頃、妹がAKB48になりたいと言っていました。SKE48も受けるつもりだったらしく、ついでに私の履歴書も勝手に出したようです。
実家の埼玉から名古屋まで、中学生の妹を1人旅させるのは危ないからお姉ちゃんついていってあげてと。年齢制限ぎりぎり(当時私は21歳)だし、たぶん2次試験は落ちるけど、旅行がてら姉妹水入らずで”ひつまぶし”でも食べてきな〜と笑。
いやいや、なんで事が勝手に進んでるの、しかもなんか失礼笑。ってことで、私も半分落ちるつもりで妹に同伴しました。
2次試験は数人で部屋に入り、審査員の前で自己紹介するものでした。「現役で歯学部に通っています。合格してアイドルになったら皆さんを笑顔にしたいです。あとセクシーダンスが得意です」ってたしか言ったと思います笑。
そしてまさかまさかのそのままトントン拍子に最終試験まで進み…。これ、ワンチャンいけるんじゃない? 私。というドキドキ感で胸いっぱいでした。
この時期、歯学部2年生への進級試験も無事に終わり、少し時間に余裕がありました。なので、オーディションの度に名古屋に行くのは苦ではありませんでした。交通費はえぐかったけどね♡
最終試験は「歌」。その場で合否が出ます。最終試験ともなるとさすがに緊張しましたよ。
もし受かったらどうしよう。通えるかな? いや、休学するべきかな? とか色々頭の中がぐるぐるしてそうこうしてるうちに私の番。
私が選んだ曲は「キスだって左利き」というSKEの曲。後はやれることをやるのみ! 心配事は一旦忘れておもいっきり歌いきりました。
歌い終わり、あとは名前が呼ばれるのを待つだけ…実は高校の時文化祭でAKBの会いたかったと少女時代のgenieを踊ったのですが、その時の歓声を浴びる快感が忘れられなくていつか本物のステージの上に立てたらどんなに素敵な事だろうと夢見ていました。
それがアイドルになるという形で叶うかもしれないと思うと心臓のバクバクが止まらなくて、ほんとうにほんとうに合格発表の時が1番緊張してました笑 さて結果は…。
次回はアイドル時代の話と歯学部の両立についてお話したいと思います! ぜひ読んでね♡
それでは、虫歯なんてグッバイキーン!
写真提供/矢作有紀奈
矢作 有紀奈
1995年埼玉県生まれ。歯学部に入学して2年生の時、芸能界入りしSKE48に所属。アイドルをしながら歯科医師を目指す。現在は臨床研修医として研修中。
矢作 有紀奈Instagram/Twitter/YouTube/TikTok lit.link/teethchan95