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元AERA編集長 浜田敬子さんに聞く女性がライフイベントを乗り越えて長く働くには? キャリア

元AERA編集長 浜田敬子さんに聞く女性がライフイベントを乗り越えて長く働くには?

女性歯科医師が長く働くために心がけたいこと #2

前編では、浜田さんの実体験をもとにした、ライフイベント後も長く働くために必要な心構えを伺いました。後編では、仕事と育児を両立する上で有効な時間の使い方、そして若いうちにやっておくべき「キャリアの土台」の作り方を教えていただきます。

お話を聞いたのは…

ジャーナリスト 浜田敬子さん

元AERA編集長 前ビジネスインサイダージャパン統括編集長

ジャーナリスト 浜田敬子さん

1966年生まれ。上智大学から朝日新聞社に入社。支局、週刊朝日編集部を経て、AERA編集部へ。2014年女性初のAERA編集長に就任。2017年に退社し、同年、ウェブサイト「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長に。現在はジャーナリストとして数々の記事を執筆する一方、テレビ朝日「モーニングショー」などのコメンテーターとしても活躍。著書に文庫版『働く女子と罪悪感』(集英社)、『男性中心企業の終焉』(文藝春秋)など。

1966年生まれ。上智大学から朝日新聞社に入社。支局、週刊朝日編集部を経て、AERA編集部へ。2014年女性初のAERA編集長に就任。2017年に退社し、同年、ウェブサイト「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長に。現在はジャーナリストとして数々の記事を執筆する一方、テレビ朝日「モーニングショー」などのコメンテーターとしても活躍。著書に文庫版『働く女子と罪悪感』(集英社)、『男性中心企業の終焉』(文藝春秋)など。

子育て中に自分と周りを比べて「私はダメな母親だ」と落ち込む女性も多いと聞きます。

浜田 育児って、人と比べても何も得することがないんですよね。専業主婦の母親に育てられた人の中には「自分がしてもらったことを子どもにもしてあげないと」と考える人もいるようですが、現代の共働き家庭の女性は環境も立場も違います。働きながら家事や育児を完璧にこなすなんて無理なことなので、割り切って考えたほうがいいと思いますね。

「できない」と割り切る?

浜田 はい。私もそうしていましたが、ベビーシッターを雇うとか、家事代行サービスに掃除や料理の作り置きを依頼するとか。デパ地下で惣菜を買ったり、冷凍食品を取り入れたりするのもいいと思います。そうやって、子どもと過ごす時間を増やしたり自分の体を休めたりするほうが、メリットが多いです。

時間を買うということですね。

浜田 そうです。「お金がもったいない」と言う人もいるかもしれませんが、何に投資するかは人それぞれです。今は育休取得に積極的な職場が増えているので、復職する人も多いですが、頑張って全部一人でやろうとしたら、心身ともに疲弊し続きません。家事も育児もパートナーと分担しつつ、できないことはアウトソーシングをうまく活用する自分の心と体を大事にしながら長く働くことが、結局は育児も仕事も充実させることになるので、罪悪感を抱く必要はないんですよ。

キャリアを考える上で意識しておいた方がいいことはありますか?

浜田 時間的な制約がないうちにできるだけ多く打席に立ち、たくさんの経験を積んだほうがいいと思いますね。たとえばみなさんなら、スキルを上げて治療の引き出しを増やしておけば、歯科医師としての自信につながるのではないでしょうか。

子育て中は、バリバリ働いていた頃の8割の力が出せればいいほうです。その前に知識を蓄え経験値を上げておけば、出産や育児などで現場を離れてブランクができたとしても十分カバーできます。

昔はライフイベントを機に退職する人も多かったですが、現在は仕事を続ける人がほとんどです。皆さんも、頑張って歯科医師になったのに辞めることになったら残念ですよね。もし結婚や子どもを望むのであれば、今から戦略的にキャリアを描くことが大切。そうすれば、どんな状況になっても自分らしく仕事を続けられるはずです。

歯科の場合は、インプラントや口腔外科、矯正など、さまざまな専門分野がありますよね。オールラウンドに技術を習得するのか、一つの分野を究めるのか、考えておくのもいいかもしれません。臨床以外にマネジメントや経営の経験を積むのもよいでしょう。周りの先輩にどのジャンルだと働き続けやすいか聞いてみるのも一つの方法です。「仕事だから」とこなすように働くのではなく、将来を見据えて行動することが、長いキャリアの実現につながると思いますよ。

浜田さんのライフイベント

時代的にも試行錯誤だったという浜田さんの「仕事」と「ライフイベント」の両立。その軌跡を辿ります。

 Age 

22 朝日新聞社に就職
上智大学卒業後、中学生の頃からなりたかった新聞記者に。前橋支局に2年、仙台支局に2年勤務。
26 週刊朝日編集部に配属
週刊朝日編集部で週刊誌編集を学ぶ。
29 結婚
人生設計について深く考えず結婚。
31 AERA編集部に配属
念願だった『AERA』の編集担当に。3ヶ月のニューヨーク出張もあり、記者としての視野が広がる。仕事に夢中になり、まだ出産は考えなかった。
36 離婚
子が欲しいと思った時期が夫とずれるなど、価値観の相違で離婚に。
36 『AERA』の副編集長に
管理職としての仕事に悩みつつ、企画をどんどん形にできる喜びを実感。
37 再婚
再婚後、子どもがほしいと思っていたが、翌年に妊娠。
39 出産、育休
産後、家にいる生活に耐えられずプチうつ状態に。ママ友に励まされる。
40 復職
10ヶ月の産育休を経て復帰。スタバでコーヒーを飲む時間がうれしかった。
41 両親を呼び寄せる
子の体調不良で夫婦共倒れ。山口県の両親を同じマンションの隣に呼び、子育ての手伝いをお願いする。将来の介護のことも考慮。
47 AERA編集長就任
1年半編集長代理を務めた後、編集長に。出版不況のなか、大特集主義に舵を切るなど改革を断行。
49 本社勤務に
本社の「総合プロデュース室」へ異動。社の新事業を模索する部署。
50 朝日新聞社を退社
本当にしたいことはメディアの仕事だと実感した頃、別会社から新雑誌立ち上げ編集長の打診。3月に退社。
51 ビジネスインサイダー日本版統括編集長就任
4月、NYのニュース専門ウェブサイト日本版の立ち上げにあたり、統括編集長に就任。その年、小学校高学年の娘が祖父母宅では過ごさないと宣言。夫と協力して娘との時間を確保。
52 子供の中学受験
仕事にも娘の受験準備にも全力投球。過労で入院することも。娘は希望の中学に合格。
54 退社しフリーランスに
立ち上げから3年で、軌道に乗せ後進に引き継ぐ予定を全うし、ビジネスインサイダージャパンを退職。
現在 フリージャーナリスト

女性歯科医師が活躍する時代となりましたが、女性医師の数が増えてきたのはまだ最近のこと。そういった意味では、女性が長く働き続けるにはまだ手探りの部分もあると思います。皆さんも浜田さんのコラムを読み、ぜひ今後の歯科医師人生をどう送っていきたいか考えるヒントにしてください! (編集部)

前編が読みたい方はこちら

文/上條真由美 イラスト/佐伯ゆう子

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